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【特集】Web3、メタバース、NFT──最新技術がマーケティングに及ぼす影響

メタバースで消費行動・ビジネスはどう変わる?仮想空間で問われる「サービスの本質的な価値」

 近年、ビジネス領域において急激に注目度が高まっている「メタバース」。まるでSFのような「3Dのオンライン空間で社会生活を送る」という世界が近未来に実現しそうな勢いだ。果たして今後、メタバースは人々の生活やビジネスにどのような変化をもたらすのか? またWeb3やNFTなどのテクノロジーとメタバースはどのように関係しているのか。VR/ARコンテンツの開発やメタバース事業を手掛け、『図解まるわかり メタバースのしくみ』(翔泳社)の著者であるビーライズ代表取締役の波多間俊之氏に、マーケティング担当者が押さえておくべき基礎知識を聞いた。

※本記事は、2022年11月25日刊行の『MarkeZine』(雑誌)83号に掲載したものです。

メタバースとは、オンラインでつながった“持続的な”仮想空間

──昨年あたりからメタバースが急激に注目されています。メタバースとはそもそもどういうものなのでしょうか。

波多間:メタバースとは「オンラインでつながった仮想空間」です。特定のゲーム機などを使う必要はなく、様々なデバイスからその仮想空間に気軽にアクセスして人とコミュニケーションが取れるというイメージです。

 またゲームではそのゲーム世界の設定に従ってミッションをクリアしていくことが求められますが、メタバースはそうではなく、日常の一部を代替します。メタバース内の企業に勤務し、仕事の間はメタバースに入るといった感じですね。メタバースはおおよそこのような基本概念になっています。

株式会社ビーライズ 代表取締役社長 波多間俊之(はだま・としゆき)氏 3DCGクリエイターを経て、2012年にVR/ARの専門企業としてビーライズを設立し、様々なXRシステムの開発に従事。近年では大企業やスポーツ球団向けのメタバース開発などを積極的に展開。事業の軸をメタバースへと移行している。
株式会社ビーライズ 代表取締役社長 波多間俊之(はだま・としゆき)氏
3DCGクリエイターを経て、2012年にVR/ARの専門企業としてビーライズを設立し、様々なXRシステムの開発に従事。近年では大企業やスポーツ球団向けのメタバース開発などを積極的に展開。事業の軸をメタバースへと移行している。

波多間:仮想空間は自分のアバターで入ることになりますが、アバターなので人種や性別、年齢、居住地などは一切関係ありません。なりたいアバターに自由になれるし、自由に移動できる世界です。

 メタバースという用語は「超越的」を意味する「メタ(meta)」と、宇宙や正解を意味する「ユニバース(universe)」を組み合わせた造語です。文字どおり何か超越した別の世界があるということですが、その世界が「持続的な場」であるということがポイントだと考えています。

──持続的な場とは?

波多間:たとえばこの取材はZoomで行われていますが、取材が終了してZoomを切るとそこには何もありません。ですから「来週またここでお会いしましょう」という文脈は成り立たないですよね。

 これに対し「場」が持続しているということがメタバースの大切な要素です。その「場」には瞬時に行けますし、空間内ならばどこでも瞬時に移動できます。そこで日常の一部が代替できるのであれば、それはもはや移動革命になるでしょう。このようにメタバースの使い方や可能性について、妄想も含めて様々な分野から人々の期待が膨らんでいるのが現状です。

メタバース=VR? 様々な方向から語られる「メタバース」

──初歩的な質問ですが、メタバースとVRはどう違うのでしょうか。

波多間:先ほど「様々な分野から人々の期待がある」と話しましたが、メタバースは、本当にいろいろな方向から語られています(図表1)。

図表1 様々な方向から語られる「メタバース」
図表1 様々な方向から語られる「メタバース」

波多間:まずVR方向からのメタバースですが、VRではゴーグルなどを用いて空間にいるような没入感を再現します。そこで「これを使ってコミュニケーションをしたらおもしろいのではないか」という期待値の先にメタバースがあります。

 そのコミュニケーションがさらに進化すると「SNSのようなメタバース」という発想が登場します。友だちと一緒に旅行や飲み会に行ったりするイメージです。そのため「SNSの進化系がメタバース」という捉え方もあります。

 そしてゲームから見たメタバースもあります。『FORTNITE』や『ファイナルファンタジー』などのオンラインゲームがあり、そこではユーザーが集まってゲームを通じたコミュニケーションを行っています。ところが2020年8月、ミュージシャンの米津玄師が『FORTNITE』でライブを開催するという出来事がありました。ゲーム空間がゲームではないイベントに使われたという点が注目され、こういう動きが加速すればそれがメタバースになるのではないかという文脈が生まれました。

 一方、ブロックチェーンやNFTという技術があります。これらの技術の使い道がメタバースにあるのではないかという流れもあります。

 そしてビジネス領域からもメタバースが注目されています。というのもコロナ禍でリモートワークが進み「オンライン商談や展示会がメタバースでできるのではないか」「リモートワークが広まってきたけど社員同士の顔が見えないからバーチャルオフィスにシフトすればいいのではないか」という意見が広まったからです。実際、マイクロソフトがOffice365をメタバース空間でも利用できるようにするというニュースもあります。

 このように現在はいろいろな領域からメタバースという分野に入ってきている状態です。だから期待値は非常に大きいのですが、それが逆にわかりにくい原因にもなっています。

──なるほど、メタバースを理解しやすくなりました。ただブロックチェーンやNFTとメタバースの関係がまだ理解しにくいので、詳しく教えていただけますか。

波多間:ブロックチェーンの肝は「非中央集権型」であることです。Web2.0までのインターネットは、誰かがサーバーを保持し、誰かがサービスを管理するという中央集権的なモデルでした。これに対しブロックチェーンは分散型で管理・監視していくモデルです。これを応用したのが暗号資産で、データ改ざんできないという信用が資産となり、仮想通貨の取引が生まれました。

 さらにもう1つ、ブロックチェーンの応用としてNFTがあります。これはNon-FungibleTokenの略で非代替性トークンと呼ばれています。ブロックチェーンを応用しデジタルデータに識別できるコードを付与し、データの固有性を判別する仕組みです。

 NFTが期待されているのがデジタルアート領域です。これまでデジタルアートの世界では「すぐにコピーできてしまう」という課題がありましたが、NFTを使えばクリエイターが作った作品の固有性が保証されるわけです。

 とはいえ、ではどうやって作品の価値を出していくのか、どうやって使うのか、誰が欲しいのかなど、考えるべき課題は多数あります。それに対し「メタバースのような仮想空間での経済活動を支えるコアテクノロジーになるのでは」ということで、メタバースとの親和性の高さが注目されているわけです。

 ただし私の個人的な感覚では、現状だとNFTはまだ使いづらい部分があります。一般人が簡単に買えるものでもないですし、一度パスワードを忘れるともう自分の資産がゼロになるというリスキーさもあるので、まだ手は出しにくいと思います。

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/11/29 09:30 https://markezine.jp/article/detail/40647

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