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【特集】2022年の急上昇ブランド~本質的なブランディングの核に迫る~

事業成長を通じて社会課題を解決する。味の素グループが全社で取り組んできた「ASV経営」の現在地

 味の素グループは、インターブランドジャパンが発表したブランド価値ランキング「Best Japan Brands」でトップ50に入るなど、ブランドコミュニケーションの成果を上げている。ブランド価値の向上の背景には、どんな取り組みや思想があるのか。全社で注力しているパーパスブランディングをテーマに、サステナビリティ・コミュニケーション担当 執行役員 森島千佳氏にお話をうかがった。

2022年、市場における3つの潮流

──2022年を振り返って、市場やブランドが置かれている環境の変化をどう感じられていますか?

森島:大きく3つあります。まず、長きにわたるコロナ禍や紛争によって、世界全体で先が見えない不安感が高まっていますよね。その中で、国だけでなく企業の社会的な責任も非常に高まっており、企業ブランドへの期待値も大きくなっています。

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味の素株式会社 執行役 サステナビリティ・コミュニケーション担当 森島 千佳(もりしま・ちか)氏
1963年生まれ、滋賀県出身。1986年お茶の水女子大学文教育学部卒業後、味の素入社。1990年に総合職に転換。調味料部、加工食品部等で商品開発を担当。その後ダイレクトマーケティング部長を経て、2015 年より執行役員。

森島:2つ目は、コロナの影響で「元気で健康に暮らせる」という普遍的なテーマに改めて人々が関心を持つようになったこと。味の素はパーパスとして「アミノ酸のはたらきで食と健康の課題解決をする企業になる」ことを目指しているので、そういった変化は追い風とも言えたと思います。

 3つ目としては、サステナビリティの取り組みや生活者のエシカル消費が、グローバルで一層活発になってきたこと。日本は欧州と比べると後れをとっていますが、徐々に日本の生活者の意識も高まりつつあります。この3点が、昨今の大きな環境の変化ではないでしょうか。

 そんな中で味の素グループのブランドコミュニケーションにおいては、「アミノ酸のはたらきで食習慣や高齢化に伴う食と健康の課題を解決し、人びとのウェルネスを共創する」というビジョンを2020年に策定してから変えていません。サステナビリティは、もちろん企業責任として取り組むべきテーマですが、成長のチャンスにもなると思っています。そのため、このパーパスブランディングをより強く推進していく形で取り組んできました。

──味の素は、インターブランドジャパンが発表したBest Japan Brands 2022でトップ50、C Space Tokyoが発表した顧客体験価値ランキング2022で第5位となりました。この結果についてどう受け止められていますか?

森島:当社では2017年からCEOがブランディングに関与し強力に推し進めてきました。積み重ねてきたものが一つの成果として表れたという意味で、とても嬉しいです。また顧客体験価値の調査のフリーアンサーに「健康をサポートしている企業」「美味しいだけじゃなくて健康のことを考えてくれている」といったワードがありました。ランキング上位に入ったことはもちろん、内容としても我々が目指したいパーパスの方向で、生活者の方からコメントをいただけたことが嬉しかったです。

~インターブランドジャパン 代表 並木将仁氏より選定理由に関するコメント~

 味の素は「ASV」という概念を掲げ、共有価値の創造に本気で取り組んできた企業です。弊社実施の調査でも、「味の素」というプロダクトブランドだけではなく、「食を通じて健康をサポートするという会社の存在意義に共感する」という声が見られました。パーパス(非財務の領域)の目標を掲げ、経営マターで取り組んできた結果、ブランド価値の向上と顧客体験の向上の両方を実現しています。企業価値も顧客にとっての価値も上げられているというのは、顧客基点のブランディングができている証しであり、その意味でブランディングのお手本となる企業例であると感じています。

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この記事の著者

岡田 果子(オカダ カコ)

IT系編集者、ライター。趣味・実用書の編集を経てWebメディアへ。その後キャリアインタビューなどのライティング業務を開始。執筆可能ジャンルは、開発手法・組織、プロダクト作り、教育ICT、その他ビジネス。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/12/20 09:30 https://markezine.jp/article/detail/40753

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