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これからも選ばれ続けるメーカーになるために。ヤマハ発動機のデジタル施策のカギ「UXグロース活動」とは

 ヤマハ発動機は、2020年よりアプリ「My Yamaha Motor」を通して、購入後もユーザーとつながり続け価値提供を創出する取り組みに着手。アプリは現在バイクユーザー分布が特に多いインドネシアとベトナムで展開され、100万DLを超えている。同プロジェクトの推進にあたり、LTV向上につながる「UXグロース活動」をビービットの支援のもと続けたことがカギとなったという。本稿では両社に取り組みの背景や内容、「UXグロース活動」のポイントについて聞いた。

ヤマハ発動機の「つながる」戦略

MarkeZine編集部(以下、MZ):はじめに、皆様の業務内容および事業についてお話しください。

山田:ヤマハ発動機のMCつながる推進グループの立ち上げを行い、現在は主に「車両とつながる」サービスの企画や全体の戦略を担当しております。弊グループには「車両とつながる」「顧客とつながる」の二つの意味が込められており、顧客と二輪車・バイクおよび私たち企業がそれぞれつながるようなサービスを提供しています。

ヤマハ発動機株式会社 MC事業部GB統括部 MCつながる推進グループ 山田氏
ヤマハ発動機株式会社 ランドモビリティ事業本部LM戦略統括部LMつながる推進グループ 山田宗幸氏

村松:「My Yamaha Motor」というモバイルアプリのプロジェクトリーダー・プロダクトオーナーとして、「顧客とつながる」領域を担当しています。このアプリ「My Yamaha Motor」は現在インドネシアとベトナムの2ヵ国で展開をしており、顧客が所有するバイクを登録することで、メンテナンスのリマインドやクーポンなどのロイヤルプログラムを受けることができるサービスになります。

ヤマハ発動機株式会社 ランドモビリティ事業本部MC事業部グローバルブランディング統括部 MCつながる推進グループ 村松蒼介氏
ヤマハ発動機株式会社 ランドモビリティ事業本部LM戦略統括部LMつながる推進グループ 村松蒼介氏

川口:IT領域を扱うヤマハ発動機の子会社のヤマハモーターソリューションに所属しており、「My Yamaha Motor」のシステムエンジニアとして参画しています。アプリの運用・改善を行っており、特にUXグロースの主担当をしています。

ヤマハモーターソリューション株式会社 デジタルソリューション事業部コトサービス推進部コネクテッド推進グループ 川口祐史氏
ヤマハモーターソリューション株式会社 デジタルソリューション事業部コトサービス推進部コネクテッド推進グループ 川口祐史氏

進藤:私はビービットのUXグロースというチームに所属しており、エンドユーザーの体験改善によるサービスの継続的な成長を、「仕組みづくり」と「実践」の両面で支援しています。ヤマハ発動機さんの支援に加え、社内では新しいサービスの設計や方法論のアップデートも担当しております。

必要なのは「次も選んでもらうブランドになること」

MZ:アプリ「My Yamaha Motor」は2020年にインドネシア、2021年にベトナムでリリースされた新しいサービスと伺っております。まず、サービス提供に至った背景や課題感についてお教えください。

山田:背景には大きく二点ありまして、まず一つ目は顧客ニーズの変化です。近年は「モノからコトへ」と言われるように、顧客にとって実現したい何らかの体験があったうえでそれに最適な手段が選択される時代になっています。

 たとえば週末の過ごし方として、バイクでツーリングに行く以外にもどんどん選択肢が広がり競合が増えていく中で、私たちはこの先も良いモノを届けるだけで戦い続けられるのだろうか、という危機感がありました。ですから良いモノを作るだけではなくコトにあたるサービスの質を上げていかないと、選ばれ続けるブランドでいるのは難しいと考え、デジタルサービスに着手しました。

 二つ目は事業環境です。MC(モーターサイクル)という商材上、市場のモータリゼーション、すなわち二輪から四輪自動車への代替の流れによる影響は避けられません。昨今私たちのMC事業において最大の市場国であるASEAN、特にインドネシアが成熟を迎えつつあり、総需要が横ばいになってきています。

 このような状況の中で、新規顧客の獲得や売り上げ台数の伸長を図ろうとすると、結局は競合からシェアを取る戦い方をせざるを得ません。パイの奪い合いとなると、顧客の獲得コストは悪化の一途をたどりますよね。そのような中で事業規模を維持するために重要なのは「既存顧客にいかにヤマハ発動機を選び続けてもらうのか」、つまりLTVの視点です。

 加えて私たちが扱うのは耐久消費財ですので、購入前より後の利用期間が当然長いです。したがって、購入後の体験が次も選んでもらうブランドになるために非常に大切なフェーズになります。そこにリーチできるサービスを提供する必要がある、というのが二つ目の背景です。

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この記事の著者

吉永 翠(編集部)(ヨシナガ ミドリ)

大学院卒業後、新卒で翔泳社に入社しMarkeZine編集部に所属。学生時代はスポーツマーケティングの研究をしていました。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/01/12 08:00 https://markezine.jp/article/detail/40802

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