【特集】2023年、マーケターたちの挑戦 ──未来を拓く人・企業・キーワード
─ 2023年、私たちの挑戦(エージェンシー編)(本記事)
─ 2023年、私たちの挑戦(EC事業者編)
─ 2023年、私たちの挑戦(マーケティングベンダー編)
─ 2023年、私たちの挑戦(SNS/プラットフォーマー編)
─ 2023年、私たちの挑戦(動画/音声メディア編)
─ 経営がパーパスにリードされる状態を目指して。博報堂 藤平氏が目指す、パーパス起点の「整合」
─ メーカーは多様性にどう向き合うか? 次の時代のあるべき姿を探すPanasonic Beautyの挑戦
─ 消費者の選択肢が増えすぎた今こそ、ブランド価値の最大化を。ユニリーバ木村氏が語る、これからの戦い方
─ 半径10mのマーケティングへ 「広告だけでは売れない時代」にマーケターに求められる力
─ ブランド戦略論の第一人者 田中洋氏が見据える視点 二極化するブランド、その背景にあるトレンドを探る
─ トレンドに惑わされず本質を見きわめるためにすべきこととは? ブランド戦略論の第一人者 田中洋氏の提言
─ ひとりマーケターになったとき、必要な心得とは?
─ 「にしたん」の4文字の認知度・ブランドをもって次の10年へ。西村社長が仕掛ける2023年の戦略
─ 【注目領域】データの力でOOH市場の拡大へ。LIVE BOARDの牽引で進化するDOOHの現在地
─ 【音部氏取材前編】2023年は自主的な職住一致で消費が変化する
─ 【音部氏取材後編】マーケターに必要なのは洞察力と道具を超えた本質的スキル
以下5名の方からコメントをいただきました。
アクセンチュア ソング 黒川順一郎氏/ADKマーケティング・ソリューションズ 竹下伸哉氏/サイバーエージェント 若林真悟氏/電通 貝塚康仁氏/博報堂 徳久真也氏
アクセンチュア ソング
2022年を振り返って
2022年は、業種・業界を問わず多くの日本企業が変革に挑み、「新事業・新サービスを世に出したい」という機運が高まった一年だったと捉えています。経営層の本気度はこれまで以上に強まり、実行フェーズが本格化しています。実際に創造的な事業やサービスが登場しましたし、アクセンチュア ソングはそうした事業転換のご支援でお客様企業と伴走してきました。
経営層は自社と顧客の関係性をより強固に、より長期的関係性へと発展させたいという想いを強くしています。こうした意識は、マーケティング部門に対しても「マーケティングのあり方そのものの変革を迫る」といったプレッシャーになって伝わっています。さらに2022年は、地政学的リスクを多くの経営者に突き付けた一年でした。柔軟なリスク管理がますます重要なテーマとなるでしょう。
2023年、アクセンチュア ソングは多様性のある組織と人材を掛け合わせ、より高い価値の創出に向けて取り組みを加速させます。
2023年に向けて
アクセンチュア ソングは「ライフ起点ビジネス」を提唱しています。ライフは顧客の日々の生活だけでなく人生や価値観を意味します。人は多面的で複雑な存在です。ときにはその矛盾にも寄り添いながら、長期的な関係を構築するために顧客に接する機能を起点にビジネスを変革することが重要です。2023年は、先進企業の多くが自社のビジネスモデルをライフ起点で設計し直す一年になるでしょう。
このライフ起点ビジネスの考え方のもと、アクセンチュア ソングはデータに基づいたクリエイティブなアプローチで、デジタルを使って実装し、状況に応じて柔軟に運用する取り組みを推進していきます。これまでのマーケティングは「財布の紐を緩めさせる」ために、顧客の認知や購買、消費の瞬間にフォーカスした活動が主体だったといえます。しかしライフ起点ビジネスでは、顧客との関係性そのものを問い直しているのです。
CMOやマーケターは今年、ブランドと顧客の新しい関係づくりに着手するでしょう。その過程では、企業内や業界内での慣例を打ち破り、革新的な新事業を立ち上げ、収益化へと導かなくてはなりません。 本当の顧客理解とコミュニケーションとはどうあるべきか、アクセンチュア ソングはお客様企業と共に考え、実行してまいります。
アクセンチュア
執行役員/アクセンチュア ソング 統括本部長
黒川順一郎氏
アクセンチュアに入社後、業界横断でIT戦略、デジタル戦略を中心としたコンサルティングに従事。世界的クリエイティブエージェンシーであるDroga5、デザインスタジオFjord、CGIスタジオMackevisionなどを日本で立ち上げ、IMJやビジネットシステムのM&Aを牽引し、数々の企業の事業変革・新サービス創出および収益化を支援。現在は「ライフ起点のビジネス戦略」の実現へ向けた幅広いサービスを世界有数のブランド企業へ提供している。「2022年エージェンシー・オブ・ザ・イヤー賞」(Campaign Asia-Pacific主催)にて、「エージェンシー・ヘッド・オブ・ザ・イヤー」受賞。
ADKマーケティング・ソリューションズ
2022年を振り返って
「フルファネル」というキーワードが広く浸透し、従来の広告という領域でマスやデジタルと呼んでいたものはその各ファネルでの構成要素の一つに過ぎない、ということを広告主・広告会社共にあらためて認識できた一年だったと捉えています(もちろん依然として重要です)。また、Cookieレスに代表されるプラットフォーマーの動向に左右させられた面もありましたが、「今日と同じ明日が来るとは限らない」と認識させられ、行動が促されたという意味では悪くなかったとも言えます。
そんな中、この一年ADKマーケティング・ソリューションズ は「フルファネル」の視点で対応できる力を伸ばすため、ケイパビリティとチームワークを磨くための取り組みを実戦で積んできました。その中で、オウンドメディア対応や統合データのハンドリングといった伸ばすべき知見や、それらの統合的な活用ができる体制を整え、引き続き来期以降に臨んでまいります。
2023年に向けて
各社ともマーケティング支援機能の垂直・水平統合が進んでいますが、「フルファネル」を象徴的に体現したアウトプットが多く出てくるのはまだこれからという状況と捉えています。戦略プランニング、アナリティクス、体験設計、発揮するクリエイティビティ等、これらを統合的に提供したものとはこういうことだ、というものを世に出せないと、「やっている」「できている」とは言えません。
ただし、これらのテーマで完成形を目指すことは偶像を追っている類のものでは決してなく、従来手掛けてきた様々なマーケティングサービスにおいて得意としてきた考え方や手法、着想力といったものが「これから」に合わせてアップデートされれば良いだけ、とも言えます。我々は各領域のプランナーだけでなく、フロントの営業含め今年はそれらを重点的に自らをアップデートし、一つでも多くのアウトプットをクライアントと共に世の中に提供していきたいと考えております。
ADKマーケティング・ソリューションズ
マーケティングインテリジェンスセンター長
竹下伸哉氏
1998年日本電信電話(NTT)に入社し、システムインテグレーション、宣伝・プロモーション、コンテンツ配信サービス企画などを経験。2006年博報堂に入社以降はマーケティング領域に従事し、デジタル&データプランニングを中心に携わる。2020年からはADKマーケティング・ソリューションズにてデジタル&データを活用したマーケティングプランニングを推進する組織を統括中。