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【特集】2023年、マーケターたちの挑戦 ──未来を拓く人・企業・キーワード

経営がパーパスにリードされる状態を目指して。博報堂 藤平氏が目指す、パーパス起点の「整合」

 マーケターたちの“2023年の挑戦”について聞いている本特集、1人目は博報堂/SIXのストラテジック・クリエイティブ・ディレクター 藤平達之氏を取材した。メイントピックは「パーパス」だ。2020年頃からパーパスが流行している日本だが、パーパスブランディングについてはその論調や実態の分岐も見受けられる。2016年の終わり頃からパーパスに着目し、多数の企業のパーパス起点のプロジェクトを手掛けてきた同氏は、パーパスを巡る現状をどう捉え、また自身のこの先をどのように描いているのだろうか?

※本記事は、2023年1月25日刊行の『MarkeZine』(雑誌)85号に掲載したものです。

【特集】2023年、マーケターたちの挑戦 ──未来を拓く人・企業・キーワード

2023年、私たちの挑戦(エージェンシー編)
2023年、私たちの挑戦(EC事業者編)
2023年、私たちの挑戦(マーケティングベンダー編)
2023年、私たちの挑戦(SNS/プラットフォーマー編)
2023年、私たちの挑戦(動画/音声メディア編)
─ 経営がパーパスにリードされる状態を目指して。博報堂 藤平氏が目指す、パーパス起点の「整合」(本記事)
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価値観や行動が揺れ動いた2022年を振り返って

――藤平さんには、2021年11月号のパーパス特集でも本誌にご協力いただきました(参考記事:パーパス大流行の背景 過渡期を迎えた今、企業に求められる条件)。当時はパーパスの大流行を受け「パーパスが日本に定着するか否か、今が過渡期にある」とお話しされていましたが、あれから約1年、2022年を振り返るとどんな変化があったでしょうか?

 まずパーパスに限らず2022年を振り返ると、2022年は“戻り始め”の年だったと思っています。コロナ禍になり生活が激変する中で、2020年と2021年、我々はコロナ禍を“大転換”として捉えました。新しい生活様式と銘打って、生活者の行動や価値観に非常に大きな変化が起こったわけです。しかし、今、オフィスへの出社も増え、国内/海外旅行も増え、飲食店も以前より活気が出てきているように思います。色々な行動や価値観がビフォーコロナとウィズ/アフターコロナの間で揺れるようになり、そんな中で「何がベストなのか?」「何がノーマルなのか?」を、それぞれが探り続けていたのが2022年でした。ゆえにブランドという視点においては、態度表明の仕方やコミュニケーションの在り方を決めるのが非常に難しい年だったなと思います。

株式会社博報堂/株式会社SIX Strategic Creative Director/UX Designer 藤平達之氏</br>2013年博報堂入社。パーパスと生活者発想の両視点から設計したコアアイデアを、様々な手法で形にする。広告・統合コミュニケーションにとどまらず、サービスやプロダクトの開発、番組制作やアーティストのクリエイティブパートナーなども手掛ける。自身のプランニングを「PJMメソッド」 として体系化し、『クリエイティブなマーケティング』(現代書林)として出版。これまでに「2020 60th ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS 総務大臣賞/ACCグランプリ」などを受賞し、セミナーや講演も多く実施。2023 年の興味関心は、カヌレとオレンジワイン。
株式会社博報堂/株式会社SIX Strategic Creative Director/UX Designer 藤平達之氏
2013年博報堂入社。パーパスと生活者発想の両視点から設計したコアアイデアを、様々な手法で形にする。広告・統合コミュニケーションにとどまらず、サービスやプロダクトの開発、番組制作やアーティストのクリエイティブパートナーなども手掛ける。自身のプランニングを「PJMメソッド」 として体系化し、『クリエイティブなマーケティング』(現代書林)として出版。これまでに「2020 60th ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS 総務大臣賞/ACCグランプリ」などを受賞し、セミナーや講演も多く実施。2023 年の興味関心は、カヌレとオレンジワイン。

 だから、パーパスに関しては、どこか停滞を感じた年でした。日本はコロナ禍を契機にパーパスブランディングが加速したので、多くの企業の場合、パーパスを決める/見つめ直すとき、そこには大きな前提として「コロナ禍以後の社会にどう貢献するか?」ということがありました。過去2年はその問いがお題のように存在していたので、それを“解く”こととパーパスブランディングがほぼイコールの関係にありました。パーパス起点のアクションも、コロナ禍に一石を投じるような、Braveなもの(勇敢で大胆なもの)が多かった印象です。ですが、先述の通り、戻り始めの1年においてはコロナ禍に勇敢に向き合う/立ち向かうことだけが正解ではなくなった。むしろ、現状をどう捉えるのか、それ以外の課題や兆しとどう向き合うかというスタンスの探索と明示のほうが重要になりました。ですので、2022年のパーパスブランディングを一言でまとめると、“戻り始めの中での探索期”みたいな感じです。

 僕もその中で解を探しているのですが、現時点では「“勇敢さ”に加えて、“バランス感覚のよさ”がすごく重要なのかもしれない」という仮説を立てています。多くのテーマにおいて、100 vs 0 で善悪が分かれることはそうありません。そんな中で、ブランドは態度表明をし、行動を起こしていく必要がある。このとき、エッジーで勇敢なアプローチもあれば、清濁併せ吞みながら、そのブランドらしいジンテーゼ(高次の概念で矛盾を解決すること)を提示して社会をよくしていくようなアプローチもあるでしょう。つまり、そうなると、バランス感覚が肝なわけです。この先は、バランスよく社会と向き合えるブランドが生き残っていくのかなと思います。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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MarkeZine(マーケジン)
2023/01/25 09:30 https://markezine.jp/article/detail/40966

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