※本記事は、2024年1月刊行の『MarkeZine』(雑誌)97号に掲載したものです
【特集】2024年の消費者インサイト
─ 電通消費者研究プロジェクトDDDより 「2024年の欲望トレンド」を発表
─ カード決済データから読み解く若年社会人のリアルな消費動向
─ 共働きファミリーの消費活動は、時短のその先へ チームで動く新しい家族のかたちとは?
─ シニア層の消費行動から見えた5つのトレンド(本記事)
─ ピンチをチャンスに 消齢化社会でインサイトをどう掴む?
2023年、シニア層の消費行動から見えた5つのトレンド
──2023年を振り返って、シニア層の消費行動で特徴的だったものはありますか。
ハルメク生きかた上手研究所の「2023-2024シニアトレンド」では、2023年のシニア層の関心や価値観を調査し、以下5つのトレンドを発表しています。
- 孫と推し活
- 投資はじめました
- 筋トレシニア
- #インスタグランマ
- シニアは体パ
1.孫と推し活
2023年5月に新型コロナウイルスが5類に移行してから、外出意識の高まりがシニア層でも見られ、ショッピングや旅行、スポーツ観戦、イベントなどあらゆるところで消費が活発化しました。中でも、顕著な伸びが見られたのが推し活です。ハルメク生きかた上手研究所の調査では、推しがいる50歳以上の女性は2022年から12.7%増加して47.9%になり、年間平均約10万円を推しに費やしていることがわかっています。
また、一人ではなく孫や子などの家族や推し仲間と一緒に活動するのも特徴的でした。推している対象もシニア層で根強い人気を持っているアイドルやスポーツ選手はもちろん、若者層に人気があるようなゲームやアニメのキャラクターなど様々です。
2.投資はじめました
物価上昇の影響を受け、2023年に投資を始めるシニア層が増加しました。50歳以上女性の資産運用者は2019年との比較で6倍まで増加しました。これまでは投資することに対するリスクを鑑みて慎重でしたが、今後シニア層の投資は増加していくと考えられます。
3.筋トレシニア
外出意識が高まるにつれて、これまでのおうち時間からのギャップで疲れが見えてきています。その結果、体力を付けるために筋トレを始めるシニア層が増加しました。特にコンビニジムの登場が筋トレに対するハードルを下げ、フィットネスジム市場全体が盛り上がりを見せています。これまでシニア層の運動はストレッチやウォーキングがメインでしたが、今後は筋トレに励み、予防の健康に取り組むシニア層が増加する可能性があります。
4.#インスタグランマ
コロナ禍でSNSに触れるシニア層が増加し、SNS利用率は2019年の11.9%から31.9%になりました。特にInstagramの利用率は増加し、50代から80代までファッションやライフスタイルを投稿するシニア層が増加しました。とてもキレイで輝いている方が多く、シニア層だけでなく、下の世代の方が憧れてフォローするケースが増えています。
5.シニアは体パ
若年層がタイムパフォーマンスを気にするのに対し、シニアは体力をいかに消耗させないかという体パを重視する傾向が高まりました。特に家事や買い物の手間を省く動きが顕著になり、博報堂生活総合研究所「生活定点」調査によると、コロナ前に比べ調理済み食品を使う割合が8〜10ポイント上昇しています。