経営においてマーケティングが果たすべき3つの役割
──南雲さんは、経営においてマーケティングが果たすべき役割について、どのように考えられていますか?
やはり、第一には成果(業績)を出し続けることが求められると思います。1年勝つだけなら、何でもできる。けれど、3年5年と持続的に成果を出し続けるというのは、そう簡単なことではありません。それを達成するのがマーケターです。
次は、ミッションを果たし続けること。トリドールは「食の感動で、この星を満たせ。」というスローガンを掲げ、自社の存在意義として「本能が歓ぶ食の感動体験を探求し世界中をワクワクさせ続ける」というミッションを策定しています。トリドールがトリドールである意義、丸亀製麺が丸亀製麺である意義は「感動の創造」にありますから、単に売上を作り続けるだけでなく、ミッションを果たし続け、同時に成果を出し続けなければならないのです。この両輪を創るのもマーケティングの役割です。
最後3つ目は、未来の画を描き、社員の共感を作りながら全社を巻き込んでいくこと。これもとても大切なマーケターの仕事だと思います。自分で言うのもおこがましいですが、トリドールに入社してからの約6年間で、「南雲に任せておけば何とかなる。マーケティング部に頼めば何とかなる」という信頼関係や温度感をつくることができたと感じています。まだまだ十分ではありませんが、社内外でマーケティング部の存在価値を高めることができています。
世界中にトリドールの成長モデルを示していきたい
──最後に今後の展望をお聞かせください。
トリドールは、日本発の唯一無二のグローバルカンパニーに、また丸亀製麺は日本発の唯一無二のグローバルブランドになろうとしています。日本だけでなく世界中に、トリドールと丸亀製麺の成長モデルを示していきたいです。

そして、その先には、「外食産業とそこで働く人の地位を高める」という目標があります。何十年も前からチェーンストア理論が採られてきた外食産業は、従業員の約9割がアルバイトの方で成り立っています。「お客様の喜びのために」と言いつつ、働く人の環境は劣悪で、給料も安い。未だに安売り合戦が続いていて、改善される見通しもありません。
外食産業は、良い意味でもっと儲けられるようにならないといけないと考えます。今より儲けられるようになれば、従業員の給料を上げ、働く環境を良くできる。外食産業もビジネスとして面白いんだと思ってもらい、優秀な人材を獲得できるようになる。我々が売上高と利益率の圧倒的な成長にこだわるのには、こうした理由もあります。
現在業界内で5・6位のポジションにいる我々だからこそ、できることがあるはずです。トリドールと丸亀製麺の成長モデルを広く示すことで、近い将来、「外食産業とそこで働く人の地位を高める」という目標を達成したいです。