※本記事は、2024年6月刊行の『MarkeZine』(雑誌)102号に掲載したものです
ビジネスモデルから見える企業姿勢の違い
Airbnb、Uber、WeWorkの3社には「既存資産の有効活用」を促しているという共通点がある。Airbnbは一般民家、Uberは一般自家用車、WeWorkは一般ビル・オフィスの共有を促し、シェアリングの概念を生活拠点や移動などに関わる、より大きな規模の資産にまで広げてきた。
表面から見るとこの共通点に目が行きがちだが、3社のシェアリング事業を利用するビジネスオーナーの目線に立つと、「AirbnbとUber」と「WeWork」では、ビジネスモデルに大きな違いが存在していることがわかる。
AirbnbとUberは自社在庫資産を持たず、エンドユーザーの利用をアシストし、資産の持ち主側に販売支援を行うモデル。一方WeWorkは、ビルオーナーから在庫(ビルのスペース)を借り上げ、内装に投資をした上でシェアリング・オフィスを利用者に販売する。つまり、自社出資が先行するモデルだ。借り上げリスクを先行で取るのは決して不利ではなく、むしろ高利益で販売コントロールができる旨味を見込んでいた。
本題はここから。これらのビジネスの構造の違いから、各企業の関心の矛先が異なっていることに気づきたい。
AirbnbとUberが目指すのは、民家の持ち主や個人ドライバーのスモールビジネスを支援する(広げる)プラットフォームの構築。これに対してWeWorkのモデルは、ビルオーナーの事業リスクをWeWorkが請け負うことで、在庫をWeWork側が囲い込む目線が強い。
WeWorkの借り上げによりビルオーナーから在庫がいったん手離れしているので、WeWorkのモデルでは、資産の持ち主側と利用者とのつながりが弱く、プラットフォームとしての価値も作りにくい。