2025年には総人口が25億人に!α世代が持つ影響力
今回紹介する書籍は『新消費をつくるα世代 答えありきで考える「メタ認知力」』。著者は、ブランドエンジニアリングの代表取締役であり、産業能率大学の経営学部で教授を務める小々馬敦氏です。
小々馬氏は、プロフェットの日本法人代表、マッキャングループであるフューチャーブランドの代表取締役を歴任し、無形資産価値経営や事業ポートフォリオ戦略、マーケティング、広報戦略などの領域で支援を行ってきました。
本書では、α世代(2010年~2024年生まれ)が持つ価値観や行動原理をZ世代(1997年~2009年生まれ)との対比を通して解説し、α世代が成人する2030年代におけるメディア・広告・マーケティング・ブランディングの在り様について洞察を記しています。
近年、Z世代およびα世代と呼ばれる若者世代に支持される新商品開発やプロモーションを実施したいと考えている企業の担当者は多いでしょう。特にα世代においては、2025年に世界での総人口は25憶人規模となるため、未来の最大ボリューム層として注目を集めています。
しかし、Z世代の行動特性や価値観が多く解説されているのと比較して、α世代についてはまだまだ情報が足りておらず、理解できていないという方は少なくないと思います。
そんなα世代が抱える特性を本書ではどのように解説しているのでしょうか?
α世代が持つ「ヒューマニティ志向」とは?
本書ではα世代が持つ様々な特性を説明していますが、興味深いのはZ世代と共通して見えるような特性でも深掘りし、その違いを説明していることです。
たとえば、テクノロジーリテラシーの高さについてもZ世代との違いからその特性が説明されています。
α世代もZ世代と同様に、いわゆる「デジタルネイティブ」です。しかし、Z世代は、テクノロジーが社会に浸透していく過渡期に育った世代。そのため、慣れないテクノロジーに触れている中で失敗や怖い思いを経験しており、信頼できるのは生身の人間であるという「ヒューマン志向」が強いといいます。
一方、α世代では、生まれた時からテクノロジーが普及していました。そのため、それに対する不安感がないと見ているそうです。さらには、人間味さえを感じられれば話し相手がAIやロボットでも違和感を持たずにコミュニケーションができる「ヒューマニティ志向」が強いとも小々馬氏は説明しています。
若年層の購買行動モデル「EIEEBモデル」とは?
先述の通り、本書ではα世代が成人する2030年代に向けての洞察も語られており、彼らの将来の購買行動についてもヒントを得ることができます。
彼らの購買行動を考える前提として示されていることの一つに、Z世代の購買行動モデル「EIEEB(イーブ)モデル」があります。
同モデルは、Encounter、Inspired、Encourage、Event、Boost upの頭文字をとったものです。Encounterは「商品との思いがけない出会い」を表し、Inspiredは「世界観に共感し自分ごと化する」、Encourageは「購買の不安を解消し自分の背中を押す」、Eventは「最もときめく買い方で購入する」、Boost upは「他の人にもときめいてほしくてSNSに投稿する」を意味しているといいます。
小々馬氏は同モデルを基に、企業が今後行うべき情報提供の在り方を次のように説明しています。
これから構築すべき情報受容の流れは、まず公式情報を調べて、不足する情報をSNSで探して比較できるようにする。このような流れを支援するのがよいと考えます。(p.216)
このように本書では、α世代が持つ特性を紹介するだけでなく、企業が今後の若者世代とのコミュニケーションにおいて着目すべきこと、取り組むべきことも紹介しています。
若い世代が抱えるインサイトの理解や、彼らをターゲットとする商品やサービスのコミュニケーション戦略に悩んでいる方は、本書を参考にしてみてはいかがでしょうか。
本記事は日経BPからの献本に基づいて記事作成しております