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『MarkeZine』(雑誌)

第105号(2024年9月号)
特集「Update:BtoBマーケティングの進化を追う」

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人起点の顧客関係構築を考える

ユーザーが1万を超えてもキュレーションは人間の領域、トイサブ!のデジタルとアナログのバランス

チャーン率を下げるオンボーディングメール

――サブスクサービスの場合は解約率を下げる必要もあるかと思います。その点はどう対応していますか?

藤田:現状で当社サービスの解約につながる理由は、大きく2つあると考えています。1つは経済的な問題。もう1つは「子どもが遊ばない」ことです。

 経済的な理由の場合には、お客様にとって利用しやすい別のコースをオファーしています。継続中の会員様に対し、解約以外のご提案をすることが目的です。このコースを用意して施策を実施してから解約抑止率が倍になっています。

 もう1つの「子どもが遊ばない」の解決には、お子様をサポートいただく親御さんの関わりが不可欠です。初見で子ども達がおもちゃの遊び方を理解するのは難しいものです。そのためファーストステップとして、なるべくご家族で一緒に遊んで興味を持たせていただきたいのです。興味を持つと、自分なりの遊び方を見つけ、創意工夫するようになります。

 そこで、初回のお客様には、おもちゃが到着するまでの間に、トイサブ!から届くおもちゃでの遊び方等をお伝えする内容で5~6通ぐらいのオンボーディングメールを送っています。当社のメール開封率は8割強ぐらいなので、ほぼ読んでいただけています。あとはチャットで気軽に相談を受け付け、お客様とのやり取りをスムーズにできるようにしました。

――発送後は介入できないからこそ、その前に遊び方や親の関わり方の解像度を上げるかが重要ですね。お子さんが遊ばない問題は交換頻度で調整ができそうです。

画像を説明するテキストなくても可
写真右:株式会社 GiftX Co-founder 飯髙悠太氏

藤田:おっしゃるとおりで、昨年から交換ペースを毎月にできる早期交換オプションをテストリリースし、好評だったので本リリース予定です。成長が早い子は使いこなすのも早く、2ヶ月も保ちません。

――交換タイミングやおもちゃの数もご家庭によって「ちょうどいい」が違うんですね。

藤田:そうなんです。最終的には、まずは基本の2ヶ月に1回ペースでご利用いただき、慣れたらおもちゃの点数も交換頻度もお客様が全部選べると、もっと使いやすくなるかもしれないと考えています。

「幸せな親子時間」の増大を目指して

――最後に、トイサブ!さんは現在地をどう捉え、最終的にどのような世界を実現されたいとお考えでしょうか。

藤田:まずはしっかり認知を獲得して確実にユーザー数を伸ばし、「おもちゃはレンタルできる」という世界観を広げていきたいですね。ものを大切に使うという意識もリユースやレンタル業界の皆さんと一緒に、さらに浸透させたいと考えています。

 そのためにも、ユーザーが「お金を払ってでも解決したい」と考えているペインポイントに当社のサービスが合致し、自然に世界観が広がる仕掛けを作ることが鍵だと思っています。

 トイサブ!は現在「おもちゃのサブスク」ですが、トラーナのコーポレートビジョンは「幸せな親子時間を増やそうぜ」です。お客様のご家庭でそれが実現できることを非常に意識しています。ですから、そこに紐づくことはおもちゃ以外の部分も含めて、どんどん展開していきたいですね。

 一例ですが、感度の高いお客様向けのサブスクモデルに経験がある弊社とアライアンスを組んでいただける企業様とトイサブ!会員様に向けた商材の連携なども開始しております。今までは展開できてなかった他社連携も含めて、お客様にサービス展開をしていきたいと思ってます。

 まずはおもちゃでしっかりと僕らの世界観を実現して、その後、第2、第3のサービスを提供できるように、現在仕込み中です。幸せな親子時間がどんどん増えて、「やっぱり子育てっていいよね」と皆が思える世界を作れると、とても嬉しいですね。

――現状で御社がターゲットにされている以外にも様々な親子時間があり、まだまだ解決できるペインがありそうですね。今後も注目しています。ありがとうございました。

編集後記

 今ではお客様から「子どもと一緒に開ける瞬間、毎回ワクワクとハッピーになります」とのお声を多くいただくトイサブ!の、お客様との関わり方を事業開発本部マネージャー藤田さんにうかがった。

 トイサブ!は創業から10年。代表の志田さんがおもちゃ売り場に行ったときに「売り場を見るだけでは子どもに最適なおもちゃがわからない」がきっかけに誕生。メインターゲットである共働きのご夫婦は多忙な中、お子さんのおもちゃにまで頭を回すのは大変。そんな家庭のために1,800種類の知育を最適な形で提供することで、利用者数を増やしてきた。

 創業時からのこだわりの一つとして、”人”が介在することを大事にしている。なぜこのおもちゃを選んだかを、おもちゃプランシートと一緒に届けているとのこと。1.8万ユーザーがいるにも関わらずこれはすごいこだわりだと感じたし、とても利用者のことを考えていると思った。

 また、解約につながってしまう、経済的な問題・子供が遊ばない問題に対しても、適した形でオファーをしている。そこに合わせて「どう使ってほしいか」をメールで配信し、遊び方や親御さんの関わり方の解像度を上げることを心がけている。

 交換タイミングもおもちゃの数もご家庭によって「ちょうどいい」は様々な点に関して、デジタルとアナログのバランスを考えコミュニケーションをとっていることは本当に素晴らしい。

 ビジョンの「幸せな親子時間を増やそうぜ」実現に向け、今後もお客様のことを考えどうコミュニケーションとっていくかを注目していきたい。


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この記事の著者

飯髙 悠太(イイタカ ユウタ)

株式会社ベーシック執行役員、株式会社ホットリンク執行役員CMOを経て2022年6月に「ひとの温かみを宿した進化を。」をテーマに株式会社GiftXを創業し、「おもいが伝わる。ほしいを贈れる」選び直せるソーシャルギフト「GIFTFUL」運営。現...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

那波 りよ(ナナミ リヨ)

フリーライター。塾講師・実務翻訳家・広告代理店勤務を経てフリーランスに。 取材・インタビュー記事を中心に関西で活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/10/08 09:30 https://markezine.jp/article/detail/46694

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