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MarkeZine Day 2025 Spring

イオングループDX推進の要「iAEON」 ID統合で実現する「イオン生活圏」とパーソナライズ戦略

 近年、多くの企業が購買行動やニーズを把握するために、顧客IDの統合を進めている。国内外に約300のグループ企業を抱えるイオングループもその1つ。2021年にグループ共通の顧客ID「iAEON(アイイオン)」を構築、顧客IDの統合を進めてきた。2025年3月に開催されたMarkeZine Day 2025 Springでは、グループのID統合を担うイオンスマートテクノロジーの取締役副社長 関矢 充氏が登壇。イオンがどのように顧客IDの統合を進めてきたのか、統合したIDを基にどのようなマーケティング活動を推進しているのかを語った。

イオン生活圏の入り口「iAEON」アプリとは?

 国内外に約300の企業、全国で約1万6,000店舗を展開するイオングループは「デジタルシフト」を成長戦略の柱と位置づけ、DXを推進している。取り組みをリードするイオンスマートテクノロジー 取締役副社長の関矢 充氏は次のように語る。

イオンスマートテクノロジー株式会社 取締役副社長 関矢 充氏
イオンスマートテクノロジー株式会社 取締役副社長 関矢 充氏

 「イオンスマートテクノロジーの役割は、デジタルで社会を変革し、すべての人に最適なサービスを届けることです。私たちはデジタルを単なる利便性や効率性向上の手段だけではなく、お客さまの暮らしや地域の豊かさ、そして従業員にとっても、働きやすさを提供するものとして活用したいと考えています」(関矢氏)

 そんな同社が2021年9月にリリースしたのが、「イオン生活圏」としてイオングループが展開するすべてのサービスをシームレスにつなげる「iAEON(アイイオン)」アプリだ。

 「イオン生活圏とは、いわゆるポイントやキャッシュレスに基づいた経済圏とは一線を画す考え方で、その経済圏をも包含する『生活者起点の戦略』です。イオングループの各企業は地域への貢献を果たすべく、そのための様々な活動が層状に重なり合うことでイオン生活圏は形成されています。

 イオン生活圏は物質的・精神的な豊かさを提供して、地域の生活文化を向上するものであり、これらの概念をデジタルでつなげていくことが当社の使命であります。お客さまの様々な価値観に寄り添い便利で快適な生活を提供するためには、iAEON ID化が必須であると考えました」(関矢氏)

iAEONが生まれた背景:イオングループが抱えていた課題

 イオングループでは従来、各事業会社が独自にIDを管理していたため、グループとしてのスケールメリットが活かせなかったほか、顧客にとってもサービスが分断されて不便な状況であった。この課題を解決するため、スマートフォンアプリにIDとサービスを集約し、共通プラットフォームとすることで膨大な顧客データを取得・活用する仕組みを構築したのだ。

 現在、38社の事業会社がiAEONを導入しており、サービス開始から3年半で累計ダウンロード数1,400万を達成した。会員数が増え続けてもMAU45%という高い水準を維持していることから、顧客の日常生活に溶け込んでいることがわかる。また、機能の拡大も進んでいる。当初は決済機能のみであったが、クーポン、お知らせ、電子レシートなど機能を追加していくことで会員数を増加させている。

 iAEONによる「新しい買い物体験」の実現は、顧客満足度の追求につながる。イオン生活圏の入り口としての役割を果たすべく、買い物を便利に楽しくするためのサービスを拡充中だ。

 「デジタルというと無機質なイメージがありますが、当社は、人と人のつながりを軸にサービスを設計しています。iAEONにより、お客さまはイオングループが提供する様々な商品やサービスをフリーパスで体験できるようになります。イオン生活圏の入り口としてiAEONがあり、その世界では、決済、クーポン、EC、社会貢献活動など、生活を豊かにする機能拡充を目指しています」(関矢氏)

 また、IDを統合することで膨大なデータが取得できるようになるため、そのデータを用いて様々なサービスを生み出し、顧客や事業会社に還元することも目指している。また、店頭とネットの在庫連携の改善などOMOの研究も進めている。

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内製化した開発チームの強み

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/05/20 09:00 https://markezine.jp/article/detail/48498

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