ブランドの共感性と受容性を確認する
次にステップ3、ブランド開発。
既存ブランドが複数ある場合、新ブランドの差別化は悩ましいポイントだろう。グッドパッチでは「ブランドの方向性に悩んだら、ユーザーに受容性を確かめてみては」と提案する。

具体的には、可視化された価値観からビジョンを言語化し、ブランドの方向性を定義。その上で、定量・定性ユーザー調査を通して、共感性と説得力を検証していく。ここでポイントになるのが、検証は一回では終わらせず、繰り返し検証と改善を行うこと。これにより、説得力が増していき、ユーザーに刺さるコンセプトが出来上がっていくという。
たとえば「Ctrlx」はパソコンのショートカットキーを想起させ、誰もが手に取りやすいビジュアルがモチーフになっているが、これも検証を繰り返す中で生まれたものだ。
「ショートカットの情緒的な世界観を表す⽅向性のブランドと、⽬元ケアであることが直感的にわかる⽅向性のブランドを並⾏して開発し、生まれた2つの方向性を定量調査によって吟味していきました。ローンチ後、コンセプトやショートカットキーモチーフへの好意的な声も多数上がり、商品の提供価値を上手くブランドに落とし込めたと感じています」(豊田氏)
オンライン×オフラインで一貫した体験設計を作る
そして最後のステップ4、コミュニケーションプラン。
ブランドが確立した後は、店舗やEC、LP、SNSなどでの展開が始まるが、ユーザーが心地良く、また負担なくブランドを体験するためには、オンライン・オフラインで一貫した体験を作ることが重要になる。
外部のデザイン会社と内部のデザイナーとで担当が異なると、タッチポイントでトンマナが揺らぐことも多い。一貫した体験を提供するには、全体コミュニケーションを踏まえたクリエイティブ制作が必要である。
「Ctrlx」では、各タッチポイントの制作前に全体のコミュニケーションを策定。各チャネルごとに施策を行い最適化するのではなく、チャネル同士の相互関係を考え、全体設計を考えてコミュニケーション体験を設計することでブランド価値の最大化を目指したという。

品質の高いブランドの露出により、発売前のリリース時点でメディアやSNS上で話題化に成功。またEC、店頭什器から診断コンテンツに誘導することで、商品の選びから購入までのスムーズな流れを実現している。
顧客起点の商品開発4つのポイント
最後に豊田氏は、明日から取り組めるポイントとして以下の4つを紹介し、セッションを終えた。
- アイデアを出す段階からユーザーに会いヒントをもらう
- アイデアはすばやく可視化してユーザーからフィードバックをもらう
- ブランドの⽅向性に悩んだらユーザーに受容性を確かめてみる
- ユーザーが⼼地よく・負荷なくブランドを体験するためにオンライン・オフラインのチャネルをどのように連動すべきか考える
ユーザーインサイトを捉えた商品開発やブランド戦略を実現!
Ctrlxの事例をもとに、具体的なアプローチや成功事例をまとめた資料をご紹介します。従来にない独自性のある商品を生み出したい方、ユーザーの真のニーズを捉えた商品開発を行いたい方は、ぜひこちらをご覧ください。