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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2026 Autumn

事例を通して見る世界のマーケティング/ブランディングのトレンド

好かれているのに選ばれない。84%のブランドに足りない「欲望」を生み出す3つのドライバー

3. Attachment(継続を生む力)――「一度きり」を「また選びたい」に変える

 3つ目のドライバーが、Attachment(継続を生む力)です。これは、生活者に「また選びたい」と感じてもらう力です。「やっぱりこれがいい」「これなら間違いない」「なくなると困る」。そう感じたとき、ブランドは「一度きりの選択肢」ではなく、「自然と戻ってくる存在」に変わります。

事例:Wisła Kraków Football Club — Lucky Fan Index

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動画より

 Wisła Krakówは、ポーランドの名門サッカークラブです。しかしトップリーグから降格し、観客動員と収益の回復がクラブ存続に関わる状況にありました。課題は、ファンに「応援してほしい」と呼びかけることではなく、「自分が行く意味がある」と感じてもらい、スタジアムに戻る習慣を作ることでした。

 そこで着目したのが、サッカーファンが持つ「自分が観に行くとチームが勝つ」という迷信です。クラブは来場データと、63試合・200以上の試合指標をAIで分析し、一人ひとりの“勝利への貢献度”をLucky Fan Indexとして可視化しました。貢献度の高いファンにはVIP席へのアップグレードを。不運なファンには“運を上げる”グッズ割引を提供しました。

 結果として、平均観客数は42%増加し、リーグ最高の動員数を達成しました。単発の話題化ではなく、ファンの来場を「自分もチームの一部である」という実感に変え、クラブとの関係を深めた好事例です。

意味が生まれると、また戻りたくなる

 一度の購入や利用を、どうすれば「また戻りたい」に変えられるのか。Attachment(継続を生む力)で求められるのは、戻る理由を体験のなかに作ることです。

 通常の広告では、ブランドを繰り返し選んでもらうために、再接触(リターゲティング)を重ね、思い出してもらうことが重視されてきました。しかし、Lucky Fan Indexの事例では、再観戦を直接呼びかけるのではなく、試合に足を運ぶこと自体の意味を変えたのです。ファンはチームの勝利に関わる一員として位置づけられたことで、自ら再来場する理由が生まれ、クラブへの信頼や愛着も深まっていったのです。

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 このように、Attachmentが高いブランドほど、信頼やブランド評価資産と強く連動し、顧客数や購入検討も平均を上回ることがわかっています。ブランドとの関係に自分なりの意味が生まれると、選択は習慣になり、習慣はやがて信頼や愛着へ変わっていきます。

欲望を育てる仕組み――「届ける」から「意味を作る」へ

 ここまで、欲望を生み出す3つのドライバーを見てきました。「欲望」とは、単にブランドを知っている、好意を持っている、買ってもよいと思っている状態ではありません。「気になる」「自分に合う」「また選びたい」と感じ、実際の選択や継続につながる力です。

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3つの力は、組み合わさることで強くなる

 そして、この3つのドライバーは、それぞれが別々に働くというよりも、互いに重なり合いながら、ブランドへの気持ちを育てていきます。どれか1つだけを高めるのではなく、3つの力をバランスよく育てていくことが大切になります。実際に、すべてを前年より高めたブランドは、平均の2.4倍の成長ポテンシャルを示しています。

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メディアを、「届ける手段」から「意味を生む接点」へ

 では、これら3つの力をメディア施策に置き換えると、従来のアプローチと何が変わるのでしょうか。3つの事例から見えてきた違いを整理すると、次のようになります。

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 事例に共通するのは、広告の量を増やすのではなく、接点の役割そのものを広げていることです。関心を生み、価値観を伝え、また戻りたくなる理由を作る。大切なのは、どれだけ多く届けたかだけではなく、その接点が生活者の気持ちや行動に何を残すかを考えることです。

 認知や好意を育て、購入につなげることは、これからも欠かせません。その上で、そこからもう一歩踏み込み、「気になる」「自分に合う」「また選びたい」と思える理由まで作ることが、ブランドへの「欲望」を育てます。そうした接点の積み重ねが、ブランドを「知られている存在」から「選ばれ続ける存在」へ近づけていくのではないでしょうか。

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この記事の著者

北市 卓史(キタイチ マサシ)

HAVAS JAPAN 株式会社   Executive Director

営業職をベースに、国内と海外にて広告代理店の会社/新規事業立ち上げに従事。2022年より世界149カ国にオフィスを展開する広告代理店であるHAVAS社の日本法人の現職に就任。多様性のある職場や働き方、他国オフィスとのオペレーシ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/08/26 07:30 https://markezine.jp/article/detail/77386

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