顧客視点を反映したマーケティングを実践するためには、チームメンバーで共有できる「カスマタージャーニー」作りが重要だ。しかし、実際にその作成・施策への落とし込みを実践する段階で、足踏みをしてしまう企業も少なくないのではないだろうか?
セールスフォース・ドットコムとMarkeZineでは過去複数回「カスタマージャーニーマップ作成キット」を使ったワークショップを実施してきた。ワークショップに参加した企業は、その後、カスタマージャーニーマップをどのように活用しているのか? 参加企業の“その後”を紹介したい。
歴史的建造物の活用にペルソナの検討は必須
バリューマネジメントは、歴史的建造物をアニバーサリースペースに利活用するビジネスを展開している会社だ。結婚式/レストラン/宿泊/宴会の4事業を主軸に、現在全国11店舗を運営する。
歴史的建造物の持つ良さを表現するということは、企業側ではコントロールができない深い部分で、各建物ごとのテイストが異なっているとも言い換えられる。建物本位である点が同社のビジネスを支えるユニークさであるとともに課題でもあると、マーケティング部の笠正太郎氏は語る。
「各店舗でお客様の趣向や特徴が違います。そのため、新規オープンがあるたびに店ごとで理想のお客様像を考える負荷があったので、もっと理想のお客様像にスムーズでコンパクトに近づけないか、と悩んでいました」(笠氏)
同社マーケティング部は東京と関西に10名の社員が在籍する。今回、ウェディング事業部と宿泊事業部から代表者1名ずつが、課題解消のアプローチを模索するため、セールスフォース・ドットコムが主催するカスマタージャーニーマップ(以下、CJM)のワークショップに参加した(CJMの概要や作成プロセスはこちら)。
「元々マーケティング部ではペルソナマーケティングと称して、仮説のお客様(ペルソナ)を立てて、月次でペルソナと実際のお客様の行動にどのような差異があるのか確認してきました。それをもっと可視化して、全社の共通認識化につなげたいと考えていた際にCJMの考え方を知り、活用を考えました」(笠氏)
考え抜いたペルソナ像に時間軸を掛け合わせる
ウェディング事業部の代表として、CJMワークショップに参加した高野氏は、自らが担当する神戸エリアを舞台にペルソナを設定し、CJMの作成とブラッシュアップを実践している。
「マーケティング部は結婚式会場を検討するお客様の来場(見学)から成約までの集客業務を担っています。ウェディング会場をご利用されるお客様は基本的にリピーターがなく、初期検討から予約、コンバージョンといった検討タームが当社平均で約40日です。従来は大手の広告媒体社さんの営業力に頼る刈り取り型の集客が主流でしたが、多様なお客様に対応していくためにもCJMを通じて見直しを図りたい、現状を改めたいと考えていました」(高野氏)
もし、CJM作りを通じてコンバージョン(成約)以外の重要な中間地点を明確化できれば、コンバージョンポイントに偏った予算投下を是正できる。高野氏のワークショップ参加後、マーケティング部は神戸エリアの他会場すべてと、京都の2会場、大阪の1会場で合計6会場について、それぞれにCJMを作成したという。
「元々力を入れていたペルソナ作りでしたが、それだけでは時間軸がありません。ペルソナが辿るジャーニーも一緒に考えることで、まだ曖昧だったお客様のニーズや行動に関する仮説をよりクリアにしたいという狙いもあります」(笠氏)
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