店舗とマーケティングが作るCJM
各店舗で作り上げたCJMについて、同社マーケティング部が次に行ったアクションが、実際の来館データおよび顧客アンケート結果との照合と、それに基づくブラッシュアップ作業だ。
マーケティング部では、2012年から営業機能も内包する店舗統括部にマーケティング担当を配置している。この部署はその名の通り施設運営を司る。つまり同社には店舗とマーケティングをつなぐハブ役が存在するわけだ。これにより組織横断的なCJM作成やブラッシュアップが後押しされている。
「マーケティング部は店舗統括部からの異動組が約半数いて、高野も異動してきた一人です。マーケティング部と店舗側は連携できるに越したことはありませんが、立場によって優先順位も変わってきます。ですが私たちバリューマネジメントとして、お客様にきちんとした価値を提供していく必要があります」(笠氏)
そこで、同社では2016年からは組織内のバリューチェーンの一本化を進めている。マーケティング部と店舗統括部のゴールを共通化。マーケティング部のゴールが来店数/来館数だったところを、店舗統括部がゴールに定める受注数(成約数)に一本化した。共通のゴールを持つことも、部署をまたいだCJM作成を実現する要因の一つだ。
CJMで鮮明になる、各店舗の違い
「店舗統括部との会話は気づきの連続です。話せば話すほど発見があります。直接お客様との対話や対面の機会が少ない私たちが考えたペルソナに対して、 “そんな趣味の人、来ないよ”と率直な意見が入ることもあります。
こうした会話ができるようになったこともCJMの効果の一つです。直接、お客様と触れ合う接客のプロ(店舗統括部)が参加し、ハブ役も仲介しながら、店舗側の顧客のローデータと答え合わせをしてCJMのブラッシュアップにつなげています」(笠氏)
こうしたCJMのブラッシュアップを、ウェディング事業部の各店舗でも実施している。流入チャネルが多様化する中で、SNSと相性がいい会場、結婚式場紹介カウンター経由の流入が多い会場、と各会場の実情に沿ったペルソナと仮説立てが大事になる。こうした取り組みが、予算編成を変えるきっかけにもなるからだ。
「CJM作りを通じて改めて鮮明にできたのが、各会場で異なる特徴です。頭の中で描いていたペルソナを可視化できて、会場ごとで何がどう違うのかがより明確になりました。CJMによってセールス側の人たちとも共通認識をもてたので、今後の事業も推進しやすくなると感じています。CJMは弊社が提供するバリューチェーン全体の、まさに“背骨”のような存在です」(高野氏)
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