「ライフスタイル」という機軸を加えるサードパーティーデータ
サードパーティーデータとは、自社データでもパートナー企業のデータでもない「第三者(サードパーティー)」が提供するデータのことで、具体的には以下のようなものがある。
オープンデータの具体例は、国勢調査や経済センサスなどが挙げられる。クローズドデータは、民間の調査会社が提供する信用情報や市場調査などが相当する。そして当然ながら、サードパーティーデータは、ファーストパーティーやセカンドパーティーに比べて種類が豊富であり、データ量も膨大だ。
このサードパーティーデータをもとに、顧客理解に役立つ「ライフスタイル」という機軸でデータを集約することで、「ファーストパーティーやセカンドパーティーのデータだけでは得られない情報を補完し、顧客像やペルソナをより立体的に捉えられる」と荒氏は語る。
ライフスタイルデータとは、具体的には所得水準や家族構成、車や金融商品といった保有財産の傾向など、生活スタイルを推定できるようなデータのことだ。
こうしたライフスタイルデータがあれば、ある程度データドリブンマーケティングの素地がある企業は、より精緻な顧客ターゲティングや施策が可能になる。十分なデータがない企業の場合、サードパーティーのライフスタイルデータを自社データに加えることで、データ分析の基礎を作り、データドリブンマーケティング施策を進められる。
そもそも、ファーストパーティーやセカンドパーティーのデータは、既に「購買している人」および「ユーザー登録した人」のデータでしかない。
「人間の購買活動を、認知から検討、意向、購買までというプロセスで捉えた場合、ファーストパーティーやセカンドパーティーデータが効果的なのは、購買後の施策に対してです。その前段階である、商品やサービスの『認知』から『意向』に至るまでのプロセスは、やはりサードパーティーのようなデータが効果的です」(荒氏)
「類は友を呼ぶ」から生まれたMosaic
こうした課題解決のために誕生したのが、エクスペリアンジャパンの「Experian Mosaic Japan」(以下、Mosaic)だ。Mosaicは、一般的に取得できる属性データだけでは把握しきれない、顧客層のライフスタイルを見える化する第三者データサービスだ。
具体的に、どのようにライフスタイルを把握しているのか。エクスペリアンジャパン デシジョンアナリティクス セールスグループ アカウントマネージャー 武田彬氏は、次のように説明する。
「『類は友を呼ぶ』ということわざがあるように、人は自然と自分と似た生活様式やライフステージ、そして価値観の人たちと群れる傾向があり、特に居住地においてその傾向は強く表れます。
Mosaicではこの法則に着目し、ライフスタイルが似ている人が自然と周辺に住むという『ジオデモグラフィック理論』に基づいた手法で、国勢調査などのデータを分析しました。こうして、日本全国22万の町丁目別に住民の”ライフスタイル”を定義し、データ化して、ライフステージ・ライフスタイルの似た、14グループ52タイプ220セグメントに分けたものがMosaicです」(武田氏)
Mosaicは、様々なサードパーティーデータを集約して分析したビッグデータの集合体であり、それ自体が既に分析データとしてすぐ活用できるものになっている。そのため統計学など専門知識がなくても、Excelで簡単に使えることが特徴だ。
顧客の住所や郵便番号が把握できれば、Mosaicのデータと掛け合わせることで、生活や所得水準、平均的な家族構成や保有財産などの情報が付加され、より立体的に顧客像やペルソナを捉えられる。
「専門知識がなくてもビッグデータをExcelで容易に活用できることに加え、ペルソナの見える化が実現することで顧客の理解がさらに進み、すぐに新しいマーケティング施策が行えるようになります」(武田氏)