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定期誌『MarkeZine』特集

人口増加率5年連続県内1位!定住人口を増やす 流山市のマーケティング戦略

 千葉県北西部に位置する流山市は、人口約19万人の住宅都市だ。実は平成19年(2007年)の流山市常住人口数は約15万人で、団塊世代以上の高齢者の割合が多かった。人口増とともに若い世代が増え、今では30代から40代の子育て世代が中心となっているという。なぜ若い現役世代の人口が増えたのか。その背景にあるのが、流山市の徹底したマーケティング戦略だ。流山市 井崎義治市長、そして流山市役所マーケティング課の藤原睦美氏、河尻和佳子氏に、その戦略と施策について聞いた。

※本記事は、2018年6月25日刊行の定期誌『MarkeZine』30号に掲載したものです。

マーケティング課設立、きっかけはつくばエクスプレス

(左)藤原 睦美氏(中央)井崎 義治氏(右)河尻 和佳子氏
(左)藤原 睦美氏(中央)井崎 義治氏(右)河尻 和佳子氏

流山市 市長 井崎 義治(いざき・よしはる)氏
1954年東京都杉並区生まれ。2003年流山市長に就任。著書は、『快適都市の創造』(1991年・ぎょうせい)、『ラスベガスの挑戦』(1997年・朝日ソノラマ)、『これから発展する街、衰退する街』(1998年・朝日ソノラマ)、『ニッポンが流山になる日』(2010年・ぎょうせい)他。

流山市役所 総合政策部
マーケティング課課長 藤原 睦美(ふじわら・むつみ)氏

BtoBの民間企業で製品開発、SE、マーケティング等を担当。流山市のまちを売り込むための任期付職員に応募し、平成28年11月から現職に着任。市のPR活動を通して流山市のイメージ向上、認知度アップを図るとともに、「住み続ける価値の高いまち」としての流山市の都市ブランドの構築・確立に取り組んでいる。

流山市役所 総合政策部
マーケティング課メディアプロモーション広報官 河尻 和佳子(かわじり・わかこ)氏

民間企業で営業、マーケティング等を担当。流山市のまちを売り込むための任期付職員公募に応募し、前例のない自治体マーケティングの道に入る。首都圏を中心に話題となった「母になるなら、流山市。」広告企画、全国展開している都市対抗プレゼンバトル「シビックパワーバトル」の発起人。講演や執筆など多数。

――流山市と言えば、市町村の行政機関の中でいち早くマーケティング課を設置した市役所として有名です。そこでまず、マーケティング課を設置した理由を教えてください。

井崎:15年前ほど前の話になりますが、当時流山市には2つの大きな課題がありました。1つは少子高齢化による人口減少、もう1つは、2005年に開業したつくばエクスプレス(以下、TX)開業にともなう宅地整備です。

 TXの開業は、日本で初めての試みとなる「宅鉄法」に基づいて行われました。宅鉄法とは、「大都市地域における宅地開発および鉄道整備の一体的推進に関する特別措置法」の略称で、「鉄道開業に当たり、宅地用の区画整理を行わなければならない」という法律です。TX開業にともない区画整理が必要な宅地は全部で3,200ヘクタール、そのうち流山市は市域面積の18%に及ぶ638ヘクタールの区画整理事業が始動していました。

 ところが当時、TX沿線の市の中では流山市の知名度は非常に低かったのです。そのため宅地整備をしても売れるのか不明で、しかも日本が人口減少期に突入する中、財政危機に陥る可能性すらありました。これを何とかしないといけないということで、マーケティング課を作ったわけです。

 課の目的は、流山市の知名度や地域イメージの向上です。この2つを引き上げることで、最終的には定住人口を増やすことがミッションです。

――具体的にどのような施策を行ったのでしょうか。

井崎:SWOT分析の結果、市として「DEWKS(デュークス:DoubleEmployed With Kids、共働き子育て世帯)」をターゲットに決めました。もちろん、他を排除するわけではありませんが、自治体としてメインターゲットをDEWKSに定め、その層に選ばれるための様々な施策に投資をしました。

 一例を挙げると、駅前送迎保育ステーションがあります。これは保育所(園)に通うお子様を、駅前の保育ステーションから保育所(園)に届けるという市のサービスです。保育所(園)の場所が通勤経路から大きくはずれるような場合、お子様の送迎が負担になりますが、このサービスを使えばその負担は少なくなります。

 並行して保育園も整備しました。DEWKSの方にとっては、保育所(園)も大切な社会インフラです。認可保育園と小規模保育所の定員数は過去8年間で3.1倍以上の5,562人となり、今年(2018年)の4月1日には、市内のコンビニの数よりも多くなったほどです。それでも残念ながら待機児童数は38人発生しています。

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/02/26 17:41 https://markezine.jp/article/detail/28645

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