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デジタル小売変革/テレビマーケ最前線/進化するロングセラーブランド 特集テーマの要点を簡単解説!

2019/08/06 08:00

 MarkeZine編集部が毎月発行している定期誌『MarkeZine』では、時勢を捉えたマーケティングトレンドや今後キーワードとなりそうなテーマを特集している。今回、第40号(2019年4月号)の「デジタル小売改革」、第41号(2019年5月号)の「テレビマーケティング最前線」、第42号(6月号)の「進化するロングセラーブランド」を振り返って簡単に紹介。これから常識になっていく前に情報を先取りし、ぜひ参考にしてもらいたい。なお、本記事は7月23日に行ったMarkeZine Trend Seminar vol.2にて編集部が解説した内容をまとめたものとなる。

第40号「デジタル小売変革」

 第40号(2019年4月号)の特集は「デジタル小売変革」。これは、無人店舗やキャッシュレス決済など、これまでテクノロジー(デジタル)の手がそれほど及んでいなかった実店舗の領域に大きな改革の波が訪れようとしているのを捉えたテーマだ。

 総じてアメリカや中国の小売事情が取り沙汰され、その発展ぶりに驚かされることが多い。また、中国ではインフルエンサーが動画サイトを利用し、生放送をしながら商品を販売するライブコマースも規模を拡大している。それに比べて日本は……という論調になりがちだが、では、日本の小売事情はどうなっているのか。この特集ではそこにフォーカスし、3本の記事を掲載した。

 1本目は主に全国でブランド商品を販売するコメ兵の藤原義昭氏に、長らく実店舗のマーケティングに携わってきた目線から最新の小売事情について解説してもらった。アメリカや中国の動向は気にしつつ、テクノロジー自体は本質ではないと強調。そうした新しいものを取り入れる前に、まずは自社の独自性、財産を棚卸しすることが重要だという。

 特に、小売における実店舗の役割はラストワンタッチにある。商品が気になる人が店を訪れて、買うかどうかを決める瞬間。あるいは、店で商品に出会った人が、ECで買うかどうか見定めるきっかけ。そうしたラストワンタッチを新しいテクノロジーでどう拡張し売上につなげていけるかが鍵となる。また、店舗スタッフがインフルエンサーになるなど、スタッフは店内で決まりきった仕事をするだけでない役割を担うべきだと議論が展開された。

 2本目はファミリーマートの植野大輔氏に、同社が取り組むデジタル変革について尋ねた。取材時点ではまだファミペイはリリースされていなかったが、その構想も語られている。キャッシュレス決済については2018年くらいから様々なサービスが登場しており、群雄割拠と言っても過言ではない。そうした状況でファミリーマートがいかなる戦略を描いているのかを知ることができる。

 植野氏によれば、地域密着とオープン戦略がキーワードだという。地域ごとの課題に焦点を当て、接客や集客をデジタルの視点で改善していく。また、ファミリーマートを始め、コンビニ各社もプライベートブランドの開発が盛んだが、店内をプライベートブランドの商品だけで埋めるのは望ましくなく、よりオープンに他社の商品を採り入れてバラエティ豊かな品揃えを目指すとのこと。

 最後は「感動のトースター」などデザイン性の高い家電で知られるバルミューダの秦泉寺里美氏に、ポップアップストアの展開について取材。そのポイントは商品を見せるだけでなく、ブランドの世界観を作り、そこでしか味わえない体験を提供することだと話してくれた。トースターであれば、トーストが焼けるとき、焼き上がるときの「イメージ」を伝えるということだ。

 店頭には商品を知り尽くした社員が立つ。開発、営業も含め、ブランドが持つメッセージを社員から直接来店客に伝えることで、愛着を持ってもらうのが狙いだ。短期間で売上を作るのは難しいため、認知と好感度が指標となる。社員が前に出るというのはそのために必要なことだそうだ。

 特集の記事に貫かれていたのは、テクノロジーは主役ではないということ。自社がどんな独自性を持っていて、何のためにどういった戦略を立てるべきかをしっかりと考える。そのうえでテクノロジーが必要であれば利用すればいいし、必要でないならポップアップストアのような取り組みでもいい。当初のテーマとはやや離れた地点に着地したが、むしろそれこそ日本の状況にあった小売改革であると言えるだろう。

道上飛翔:翔泳社 MarkeZine編集部

第41号「テレビマーケティング最前線」

 第41号(2019年5月号)の特集は「テレビマーケティング最前線」。テレビCMとデジタル広告の間には深いギャップがあると言われてきたが、近年、その境界は曖昧になりつつある。テレビ業界では視聴に関する様々なデータの取得と活用が始まり、デジタルの手法が取り入れられている。本テーマは、今後のテレビ業界の展望を解き明かすことが狙いだ。

 1本目の記事ではテレビの視聴データを収集・分析している5社の協力のもと、今どんなデータが注目されているのかを解説した。テレビ業界では特に視聴者の行動が変化していることに意識が向けられており、現代的なライフスタイルを送る人々を捉えるデータが必要だという認識で一致している。

 こうしたデータを活用すると、テレビCMも新しい活用方法が見えてくる。ウェブCMとの連動だけでなく、テレビCMをデジタル広告のようにオンラインで出稿でき、より早く安くクリエイティブを制作しリアルタイムで改善していくことができるようになるという。既存のデータとも組み合わせながら、テレビが持つ価値を改めて可視化していく試みが続いている。

 2本目にはテレビCMを特別視せずメディアの1つとして利用しているリクルートジョブズに着目。同社の金井統氏と徳光謙氏は、テレビCMもデータドリブンでPDCAを回していると話す。週単位でアンケート調査を行い、テレビCMからデジタル施策まで結果を検証し、チューニングしているという。

 3本目はクラウドの人事サービスを提供するHRBrainが、地方のテレビCMに可能性を見出したという話をうかがった。同社の大森達也氏は、都市圏でタクシー広告(座席に設置されたディスプレイで放映される動画)を展開するため、クリエイティブのA/Bテストとして安価な地方のテレビCMを利用したという。また、テレビCMとタクシー広告は「オフラインでスマホ片手に流し見する」という視聴体験が共通しており、効果のあるクリエイティブを見つけるのに有効だったそうだ。  

 いよいよテレビ業界でもデジタルデータを基盤とするインフラが整ってきたようだ。視聴時の態度や表情、視線をセンサーで取得してデータ化したり、生活者の関心に合わせてウェブCMを活用してテレビに誘導したりするなど、テレビとデジタル(ウェブ)はたしかに融合しつつある。この先はどうなっていくのか? 本誌ではまさにその深掘りを行っている。

安成蓉子:翔泳社 MarkeZine編集部 編集長

第42号「進化するロングセラーブランド」

 第42号(2019年6月号)の特集は「進化するロングセラーブランド」。D2CやDNVBといったデジタル直販型のブランドが注目される中、昔から愛されてきたロングセラーブランドもさらなる存在感を増している。だが、そこに至るまでの道のりは簡単ではなかったはず。新興ブランドが必ず突き当たる壁を、ロングセラーブランドはいかに乗り越えてきたのか。

 最初にまず、企業のブランディングをサポートしてきたインサイトフォースの山口義宏氏に、ロングセラーブランドが陥りがちな課題とその対策について解説してもらった。ポイントは3つ、習慣化して飽きられること、ユーザーの高齢化と若年層の獲得不足、新興勢力の脅威。これらはたとえば一世を風靡したブランドにも訪れるので、早めに対策しておくことが重要だ。

 ブランドによって置かれている状況は異なるが、いずれにせよブランドのコアに投資をしなければならない。いったい何を価値として感じてもらっているのかをユーザーとコミュニケーションしながら理解し、その価値を向上させていくこと。顧客視点ではなく自社都合や社内論理が優先されるとブランドの価値は次第に落ちていくので、いかに顧客と向き合い続けるかが鍵となる。

 2本目の記事ではパウチ型のゼリー飲料「in ゼリー」を展開する森永製菓の佐藤実氏に取材。「inゼリー」は発売当時、「ウイダーinゼリー」としてスポーツ後の栄養補給のシーンに合わせた商品としてブームとなった。その後、忙しい社会人にも利用されていることがわかり、新しくコミュニケーションを開始。中学・高校の部活動にも焦点を合わせることで、次世代のユーザーにもアプローチし始めた。

 略称として「ウイダー」が浸透していたように思えるが、その名称は今はない。佐藤氏によれば、「inゼリー」がどのようにブランドが識別されているかを調べたところ、「in」の文字や銀色のパッケージ、その形状で認識されていることがわかったため、名称を変更したという。いわばリブランディングに成功した実例として、新興ブランドが学ぶことは多いだろう。

 最後の記事ではワークマンの土屋哲雄氏に、新たなブランド「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」を立ち上げた経緯についてうかがった。「ワークマン」は工場現場や作業現場に向けた製品を扱うブランドで、「ワークマンプラス」はそれらをアウトドア製品としてアレンジしたブランドだ。立ち上げに至ったのは、「ワークマン」の製品がアウトドアシーンで利用されていることを知ったからだ。

 土屋氏は強い本業として「ワークマン」があったからこそサブブランドとして「ワークマンプラス」を走らせることができたという。実際、「ワークマン」の製品が「ワークマンプラス」でも一部展開されている。また、名称についても当初は「ワークマン」とは別物にするつもりだったが、出店予定のららぽーとを運営する三井不動産商業マネジメントの担当者に「ワークマンという名前を使ってほしい」と言われたからだったそうだ。自分たちが抱いていなかったブランド価値を他者の評価から取り入れたことで、「ワークマンプラス」は成功を収めている。これもまたロングセラーブランドの生き残り戦略の1つだろう。

 ブランドを立ち上げるとき、ビジネスとして軌道に乗せるとき、さらなる売上を目指すとき、そしてだんだん勢いを失っていくとき。新興ブランドには様々なステージが待ち受けているが、今なお愛されるロングセラーブランドはいずれも等しくその壁を乗り越えてきた。そうした知恵を借りることができれば、これほど心強いことはない。

福島芽生:翔泳社 MarkeZine編集部

 また、7月25日に刊行した最新号(第43号)の特集「サブスク・ビジネス大全」の内容も簡単に紹介。BtoB/BtoC問わず、サブスクリプションサービスに取り組む企業が増えているが、そのビジネスの明暗はどこで分かれるのか? 総力特集をぜひ、ご覧ください。


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