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定期誌『MarkeZine』特集

ソフトバンクがフジロックで5Gプレサービスを行ってわかった、その魅力と課題

 7月26~28日に開催された国内最大級の野外ロック・フェスティバル「FUJIROCKFESTIVAL'19」で、第5世代移動通信システム(以下、5G)のプレサービスがソフトバンクによって提供された。高速・大容量、低遅延の通信が可能になる5Gの実用化に向け、クリエイティブ集団PARTYとともにアプリやVRヘッドセットを実装し、まだ使用イメージがしにくい5Gサービスの価値を広くわかりやすく伝える取り組みとなった。施策に至るまでの経緯や、実施したことによって見えてきた課題やこれからの可能性について、ソフトバンクの牛田裕章氏、PARTYクリエイティブディレクターの中村洋基氏に聞いた。

※本記事は、2019年10月25日刊行の定期誌『MarkeZine』46号に掲載したものです。

音楽フェス初の5Gプレサービスを提供

【写真左から】
ソフトバンク株式会社 コミュニケーション本部 コミュニケーション統括部 統括部長 牛田裕章(うしだ・ひろあき)氏

1998年東海デジタルホン入社。2002年ボーダフォンジャパン、2006年ソフトバンクモバイル事業全般の企画を担当した後、2017年からソフトバンクモバイル領域のマーケティングコミュニケーションを担当。

PARTY クリエイティブディレクター/ファウンダー 中村洋基(なかむら・ひろき)氏
電通で斬新なアプローチのデジタル広告を手がけ、2011年PARTY設立。ヤフーMS統括本部ECD、電通デジタル客員ECD兼任。国内外300以上の受賞歴がある。東京FM「澤本・権八のすぐに終わりますから」司会、TINTO COFFEE運営。「新しいコミュニケーションをつくる」が目標。

――今回「FUJIROCKFESTIVAL'19」(以下、フジロック)に協賛し、そこで第5世代移動通信システム(以下、5G)のプレサービスを提供したことが大きな話題になりました。その背景について教えてください。

牛田:2020年3月から5Gが本格的にスタートします。その前段階として、ソフトバンクでは5Gの実証実験やプレサービスなど様々な取り組みを行っています。たとえばプロ野球球団の福岡ソフトバンクホークスの試合では5Gを活用したVR試合観戦を実施したり、8月に開催されたバスケットボールの日本代表戦では5Gを利用して8K映像のライブ伝送実験を行ったりしてきました。

 現状、5Gがもたらすメリットを享受しやすい領域はエンターテインメントで、特にライブとの親和性が高いと考えています。そして2018年にライブ配信で協賛していたフジロックで、5Gプレサービスを提供することになりました。

――なぜエンターテインメントが5Gのもたらすメリットを享受しやすいのでしょうか。

牛田:数年先の長いスパンで見れば、自動運転や遠隔治療などで活用が進み、我々の想像し得ない生活がやってくると思っています。ですが、それらが社会に浸透するには時間がかかる上に、そうした先のイメージを語ってもイメージしてもらえないと考えています。そのため、現状はエンターテインメントでの活用を通してわかりやすく伝える活動に注力していきたいと考えています。

――「5G╳エンターテインメント」というお題に対し、PARTYではどのような体験を提案、プランニングされたのでしょうか。

中村:5Gの大きな特徴として「高速・大容量の通信」「多数同時接続が可能」「低遅延」があります。今回のプレサービスではフジロックの開催地である新潟県の苗場スキー場という場所だけにネットワークを敷設しようと、仮設の5G基地局を3ヵ所に設置しました。その限られた環境下で実現できることを考えていきました。

 はじめに思い付いたのは、アーティスト同士の遠隔セッション。海外にいる有名なアーティストとフジロック会場内にいるアーティストがリアルタイムでセッションできたら世界的にも見たことがない事例になるのではないかと。その他にも、トイレが汚いという来場者の不満を解消すべく、プロジェクションマッピングで常に清潔なトイレ空間を演出するなど、様々な企画を提案していったのですが、実現可能性や施策のインパクトなどを含めて最適なものが出てこない状況でした。

 そして議論を繰り返し、結果的に3つの施策を動かすことにしました。1つ目は、フジロック公認アプリ「FUJIROCK'19bySoftBank5G」の配信です。これまでフジロックには公式アプリが存在せず、野良で作るエンジニアがいた状況でした。そこで我々はそのエンジニアを呼び寄せてチームを組み、一緒に開発を進めました。

 出演アーティストの情報やタイムテーブルの確認、会場マップといった機能に加え、特筆すべきは5Gネットワークを使って、リアルタイムに各会場の混雑情報を配信できる機能を付けたこと。実際の会場の様子を会場に設置された8台のカメラで撮影して、その映像を現場のサーバーに移行、圧縮してから現場の人達に流していました。5Gの技術は混雑状況を配信するのに使われているのですが、ユーザーの操作感覚としては、めちゃくちゃ軽い。人が多く、電波がつながりにくい環境でもきちんとつながることを目的に作っていきました。同アプリはフジロック来場者のうち、約40%の方々にご利用いただけました。

 2つ目は、CGで再現したフジロックの会場を楽しめる「FUJI ROCK '19 EXPerience by SoftBank 5G」アプリの提供です。苗場の地形や店舗、ライブ会場をCGで忠実に再現して、現場に行けない人もリアルタイムに追体験できるようなバーチャル空間を作りました。自分のアバターを作成してもらい、会場を歩き回ったり、メッセージを送って会話ができたりするのですが、先述した会場の混雑情報をディープラーニングで分析し、それをCGに反映させることで、リアルな会場の雰囲気を疑似体験してもらえます。フジロック開催期間中は、YouTubeLiveとつながって、ライブ配信を視聴できる機能も加えました。

 3つ目は、会場内に出展されたソフトバンクブースでの5G映像体験です。ライブ配信の映像を、5Gのネットワークを通してVRヘッドセットで視聴できるようにしていて、VRヘッドセットを装着した方は、アバターとなってVR空間内のフジロックに入場し、その中で映し出されるライブ映像を見たり、アバター同士でコミュニケーションを楽しんだりすることができます。長いときでは待ち時間が1時間を超える長蛇の列ができるほどの反響でした。ライブやフェス飯など、様々な楽しみがある中で、企業の協賛ブースにここまで長い時間並んでいただけるのは、とても珍しい現象だと思います。

「FUJI ROCK '19 EXPerience by SoftBank 5G」で作られたバーチャル空間
「FUJI ROCK '19 EXPerience by SoftBank 5G」で作られたバーチャル空間
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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、20...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

畑中 杏樹(ハタナカ アズキ)

フリーランスライター。広告・マーケティング系出版社の雑誌編集を経てフリーランスに。デジタルマーケティング、広告宣伝、SP分野を中心にWebや雑誌で執筆中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/02/26 17:40 https://markezine.jp/article/detail/32225

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