Instagramに活路を発見 メディア横断施策で顧客と緩やかにつながる
続いては、「Beforeコロナのマーケティング戦略」として、両社のコロナ前後の具体的なマーケティング施策を聞く。樋口氏が担当する「住まいの窓口」は、競合や認知度の高い老舗サービスがひしめく住宅相談市場において、自社のポジショニングを明確にしたいと考え、第三者推奨の施策強化に努めてきた(図表2)。
インフルエンサーマーケティングや家づくりをテーマにしたムック本の発行を通し、「相談から購買までをサポートする強み」を発信。「自社サービスに向いていないのでは?」と考えていたInstagramに、手応えを見出した。
今やInstagramは、「映え」だけではなく、タグ検索で好きな情報を視覚的に収集するツールでもある。インスタグラマーに依頼した消費者目線の住宅相談コンテンツは反響が大きく、住まいの窓口・来訪時のアンケートにも「Instagramを見て来た」の回答が上位にくるという。
コロナ以降は、「ユーザーが望む形でのメディア活用」「オンラインとオフラインの成果を統合的にデータで可視化」の2点が重要性を増している。樋口氏は、「施策の基点をオフラインに留めないことが重要」と指摘。実例として、書店で販売していたムック本を電子書籍にもしたところ、翌月には電子書籍経由の反響が増えたそうだ。
また、メディア横断の施策も進行中。LIFULL HOME'Sでは、インフルエンサーによるコンテンツやウェビナーからLINE公式アカウントへ誘導し、顧客と緩やかな関係性を継続している。SNSでつながった顧客はまだまだ潜在層だが、LINE公式アカウント登録時の個人情報設定率の高さを活用し、「注文住宅が欲しい」「建て売りを買いたい」などの多様なニーズに対して、シナリオ別配信を実施。住宅購入のニーズが顕在化したときに、しっかりとフォローアップできる体制を設計している。「メディア横断の施策は、効果測定が煩雑になりやすい。統合分析とその可視化、アロケーションのニーズが高まっていると実感する」と樋口氏(図表3)。
