一次流通と二次流通の市場をまたいで価値が循環する
MZ:確かに、メルカリをはじめとする二次流通のマーケットプレイスの拡大で、シチュエーションによっては「新品でなくてもいい」という価値観は広がっているように感じます。それを事業者側の視点で見ると、もの自体とそれが持つ価値の循環が二次流通市場の中で完結しているのではなく、一次流通市場も含めて巡りながら消費を活性化している状況があるのですね。
星:そうですね。二次流通の存在によって選択肢が広がり、結局は一次流通市場を含め経済活動が活性化すると考えています。
MZ:おうち時間の増加などにより、中高年層のユーザーも増えつつあるかと思います。属性・目的いずれの点においてもターゲットが多彩となる中で、ユーザーに対してはどういったことを大事にされているのですか?
星:シンプルですが、「思いやり」を大事にしています。多様な生活者のそれぞれのインサイトに寄り添った仕組みやコミュニケーションができているか、常に意識しています。そのため、短期的な事業KPIだけでなく、中長期的な意識指標もKPIとして重要視し、それぞれの相関や結節すべきポイントを探っています。
お客さまが「心地よい」と感じる距離感を測る
MZ:中長期的なKPIの視点は、サステナビリティを意識した取り組みにおいても重要になりそうですね。サステナブルの切り口で、ユーザー向けにも様々な企画を展開されていますよね。最近の取り組みをいくつか紹介いただけますか?
星:2020年11月、持続可能な消費を促進する「グリーンフライデー」を切り口に、メルカリで扱うリユースのアパレルアイテムを使った「サステナブルファッションショー」を実施しました。
星:また年末年始にかけては、ブックオフさん、家事代行の「カジタク」さんと組んで「『捨てない』大掃除」を実施しました。片付けのプロと一緒に家を片付けて、不要品を出品や買い取りに出していただく施策です。
MZ:こうした切り口の企画は、自分が「もう要らない」と思ったものにも価値を見出すきっかけになりますね。
星:まさに、そうなってもらえればと。お客さまにはメルカリをうまく使っていただいていますが、「サステナブルなことをしている」「循環型社会に貢献したい」と意識して活用されている方は、現状では少ないと思います。なので、皆様の気持ちにないことを我々が一方的に訴えても、それは共感を得られません。
当社は企業として「循環型社会」の実現を目指し、そのための取り組みを推進していますが、個々のお客さまに押し付けるのは違うだろう、と。あくまでお客さまの視点で、その気持ちの中にあることとメルカリの姿勢との共通項を探って、適切な距離感で共感を得られるアプローチを構築していく考えです。