この数年、マーケティング領域で聞かれるようになった「ブランドジャーナリズム」。企業がジャーナリスティックな視点を持って取材やリサーチを行い、記事や動画などのコンテンツを顧客や生活者に届けていく活動だ。2022年1月、新聞記者出身でForbesJAPANやNewsPicksなどに関わってきた林亜季氏を中心に、ブランドジャーナリズム社が誕生。ブランドジャーナリズム・トークと題して開催したイベントでは、論客らが活発な意見を交わした。林氏に、ブランドジャーナリズムとは何か、そして企業はどのように取り入れ実践できるのかを聞いた。
※本記事は、2022年11月25日刊行の『MarkeZine』(雑誌)83号に掲載したものです。
企業がコンテンツを生成 “雑誌的に”発信する
2009年、朝日新聞社に入社。地方記者、新規事業創出などを手掛けるメディアラボ、経済部記者を経て退社。2017年、ハフポスト日本版の広告事業を統括するパートナースタジオチーフ・クリエイティブ・ディレクターに就任、黒字化を実現、翌年退社。2018年7月、Forbes JAPAN Web編集部副編集長 兼 ブランドボイススタジオ室長に就任。同年12月から2020年5月までForbes JAPAN Web編集長を務めた。同年7月、NewsPicks for Business編集長 兼 Alpha Drive統括編集長に就任。2022年1月よりAlpha Drive執行役員統括編集長。文部科学省の大学教育デジタライゼーション・イニシアティブ(スキームD)ステアリングコミッティ委員。東京大学法学部卒。
——今回は、企業のブランドジャーナリズム実践の支援を目的に起業された林さんにお越しいただきました。御社の設立に先駆けて実施されたオンライントークイベントには、高広伯彦さんや境治さん、withnews前編集長の奥山晶二郎さんなどそうそうたるメンバーが参加され、とても興味深かったです。
ありがとうございます。多くの方に「ブランドジャーナリズム」について関心を持っていただく機会になりましたし、私もとても勉強になりました。
——改めて、ブランドジャーナリズムという概念について教えてください。
明確な定義はなく、いろいろな考え方がありますが、2004年に当時マクドナルドのCMOだったラリー・ライト氏が提唱したと言われています。あるマーケティングのカンファレンスで語られたもので、のちに論文も発表されました。
その内容とは、これからの企業は自らがジャーナリストの視点を持ち、取材やリサーチなども通じて記事や動画などのコンテンツを生み出し、自社サイトやオウンドメディアを介して広く社会に発信していこう……というものです。ライト氏の話では“雑誌的に”という言葉が使われたのですが、それが特徴だと思います。自社を多面的に捉え、ジャーナリスティックに掘り下げて、雑誌のような発信をすべきだという提案でした。
背景には、デジタル化が進んで情報の届け方も複雑化する中で、特にマクドナルドのような世界中に知られたブランドは画一的なメッセージではすべての顧客に届かない、という氏の課題意識がありました。ブランドジャーナリズムは、その後にオウンドメディアが興隆する流れにもつながっていったと思います。
——ブランドジャーナリズムの概念は、どういった意見を巻き起こしたのでしょうか?
これは平たく言うと、マーケティングの世界とジャーナリズムの世界の両方にまたがる概念です。マーケターの側には期待や賞賛の声もあったのですが、一方でジャーナリストの間では反発が大きかったんですね。「我々は独立・中立のメディアとしてジャーナリズムを追求しているのに、そこに企業がビジネスの視点を持ち込むのはどうなのか」と。
議論はしばらく続きましたが、ライト氏自身がブランドジャーナリズムの考え方で多様なコンテンツを発信し、マクドナルドを苦境から回復させたこともあり、追随する企業が増えていきました。
今、グローバルではコンテンツマーケティングに近い概念として一般的になっています。ジャーナリストが事業会社に転籍して「ブランドジャーナリスト」になる例や、そもそもこの職務からキャリアを始める人もいます。ブランドジャーナリストの求人も海外だと多いですね。
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- この記事の著者
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高島 知子(タカシマ トモコ)
フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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