「来訪は多いが消費につながっていない場所」の特定も可能に
MZ:応募企業の中から三井住友カードとアド・セイルを選んだ決め手はどこにありましたか。
冨永(熊本県庁):「何名がWeb広告を見て、そのうち何名が熊本県に来て、いくら消費したのか」を把握できる点です。これまではWeb広告が見られた量や見た人の居住エリアなどを中心に把握・分析していたため、新しいチャレンジに期待を感じてお願いしました。
浦田(熊本県庁):観光消費額でWeb広告の効果を測定できる点は魅力的でしたね。インプレッションやコンバージョンを示しながらWeb広告の数値を説明しても、県民の皆様からするとわかりにくいと思います。Web広告を見た人の来訪計測は一部行っていたのですが、消費額までは追えていなかったため、チャレンジしたいと思えるご提案でした。
近藤(アド・セイル):Web広告の来訪計測結果にキャッシュレスデータを重ね合わせると、「多くの人は来訪しているが、消費にはつながっていない場所」なども特定できます。プロモーションの実施後に得られる示唆が増えるため、大きなメリットを提供できると考えました。
シニア・ファミリー・独身女性を対象に広告配信
MZ:温泉をフックに熊本県庁×三井住友カード×アド・セイルの三者で取り組んだプロモーションの具体的な内容を教えてください。
荒木(三井住友カード):事前分析→広告・送客配信→効果検証の3ステップでプロモーションを実施しました。事前分析は2段階構成です。第1段階では熊本県非在住者≒日本人観光客の属性や購買の傾向を分析しました。第2段階では今回のプロモーションのテーマである「温泉の関連消費」に絞った分析を行い、「シニア」「ファミリー」「独身女性」という三つのペルソナ像を抽出しました。
荒木(三井住友カード):シニアは熊本県来訪者の中で最も大きな割合を占める層です。ゴルフや温泉でまとまった消費をしている優良な旅行客と言えます。ファミリーは来訪する人数が多くなるため、消費額も非常に大きいです。既に数多く来訪していますが、まだまだ高いポテンシャルを秘めています。シニアやファミリーとは対照的に来訪が少なく、チャレンジングな層が独身女性です。
近藤(アド・セイル):広告配信のステップでは、三井住友カード様が抽出した三つのペルソナ像を基に広告のターゲティングを設計しました。出稿媒体はGoogle広告(YouTube、リスティング、ディスプレイ)です。「熊本 温泉」で検索したことがある人はもちろん、シニアならゴルフ関連の検索、ファミリーならレジャー施設関連の検索をしている人を対象に各種広告を配信しました。
近藤(アド・セイル):リスティング広告を配信する中で、熊本に温泉があることは認知されているものの、個別の温泉地名と熊本が結びついて認識されていないことがわかりました。そこで広告のクリエイティブに「熊本の黒川温泉」などの文言を入れ、県名と温泉地名をセットで訴求するようにしたところ、コンバージョン率の向上につながりました。
近藤(アド・セイル):YouTube広告では動画を視聴した人のブランドリフト調査も行いました。「温泉が想起されているか」「比較検討に至っているか」「熊本県関連の検索行動が増えているか」などを調査し、広告の波及効果を測る狙いです。