ターゲットをあえて絞ることでメッセージを分散させない
MZ:今回のDM設計にあたり、どのような工夫を施しましたか。
伊東:ビンゴDMには、対象顧客の過去商品購入履歴を反映したビンゴカードと、対象顧客を担当するコールセンタースタッフの顔写真付きの直筆お礼状を同封してお送りしました。これには、お電話だけでは伝えきれない日々の感謝の気持ちを伝えるという目的がありました。
普段、対象顧客とのコミュニケーション手段は電話がメインですが、挨拶状に担当スタッフの顔写真と直筆のメッセージを掲載することで、声だけのコミュニケーション以上に親近感や信頼感を感じていただけることができたと思います。
ビンゴカードは元来、5マス×5マスの設計で、真ん中のマスは初めから開けて良いというルールです。今回のDMではその特性に着目し、対象顧客の過去2年分の購入履歴を基にした商品群を、縦・横・斜めの4列のマス目に配置することで、4回目の購入を後押しできるよう設計しました。また、1列揃えるごとに北海道産地直送センターの商品をプレゼントするという独自ルールも設定し、ビンゴへの参加意欲を高めることにも成功しました。
森山:従来、北海道産地直センター様では、食品を扱う一般的な通販と同様にECでのリピート率・購入単価が低いという課題を抱えていました。そこで、ECでのリピート率の改善を目標に入口商品であるほたての購入者に向けて送付したのが、ほたて型DMです。顧客属性や行動・嗜好パターンに加え、過去の購買データに基づいてほたてと買われている商品をランキング形式でレコメンドすることでクロスセルを促進。初回購入商品をほたてに絞ることで、メッセージを分散させてしまうことなく、より適切なコミュニケーションを行い、最適化につなげられました。
また、クリエイティブの決定段階では、ABテストを実施しています。人気のほたてとセット商品を勧めるA案と、ほたて以外の別商品を単品で勧めるB案を比較した結果、A案が購入単価・レスポンスともに高くなることが確認され、効率化できました。
二次元コードとほたて型のDMを活用し顧客購入単価が2倍以上に
MZ:プラナクリエイティブが普段クリエイティブ制作を行う際に、特に意識されていることはありますか。
伊東:最も重要なのは、目的と目標値の設定だと考えています。お客様とお話をしていると、費用対効果の面が真っ先に議論に上がることや、途中で企画の軸がブレ始めることも少なくありません。そういった場合は、最初に設定した企画の目的や狙いに立ち戻って再考することは大事にしています。これは明瞭なターゲット設定にもつながるため、その点でも非常に重要です。
MZ:今回のDM施策の成果・効果についてお聞かせください。
三好:ビンゴDMに関しては、DM経由の受注率がそれまでの過去最高値である17.5%を大きく上回り、約1.8倍の32.2%となりました。この施策を行う前までは、社内でも「年3回購入した人はもう無理だろう」と諦める空気感も少なからずありました。しかし、今回のDM施策でロイヤルユーザーの方々との関係強化に新たな可能性を見出し、それを実証できたのは成果として非常に大きかったです。一方、ほたてDMに関しても、ほたてのリピート購入率は66%まで増加。クロスセルにも成功して購入単価が約2倍に増えました。顧客の反応率も3.1%から5.6%まで上げることに成功しました。
加えて、実際に本施策を通して、二次元コードを通じたEC注文の数が相当数いたことが確認できました。顧客コミュニケーションやECへの誘導を行うチャネルとしてDM施策の有効性が感じられ、今後の活用の幅が広がりそうです。