全社でDXを推し進めるビューカード
MarkeZine編集部(以下、MZ):はじめに、鈴木さんが統括されているデジタル戦略部がどのようなミッションを担っているのか、教えてください。
鈴木:ビューカードは、2019年からDXによる企業変革を進めています。当初は生産性の向上を目的とした業務改革から始めたのですが、2022年にDXの領域を広げ、全事業活動におけるDXを推進していくことになりました。DXの方向性を示した『DXビジョン』を策定するとともに、「DXの最大の目的は“顧客体験の向上”にある」と社長の新井が社内向けに発信し、トップダウン×ボトムアップの両軸で取り組みを進めています。
私が部長を務めるデジタル戦略部は、業務改革の推進を担っていた部署をリニューアルする形で、前述の2022年のタイミングで新設されました。担っているミッションは大きく3つあります。
1つ目は元より進めていた業務のDXをさらに推し進めること、次に2つ目は営業のDX、最後3つ目がシステム環境や人材育成のDXです。今日お話しする顧客データを活用したCRM活動は、このうち2つ目の営業のDXの一環として取り組んでいます。
組織のミッション・目標にあわせたKPIの考え方
MZ:ビューカードには、かなり膨大な顧客データが蓄積されているだろうと思います。データ分析に関してもどこから手をつけるか、道筋を立てるまで大変そうですが、どのように取り組みをスタートされましたか?
鈴木:ビューカードには属性や利用傾向が異なる様々なお客様がいらっしゃいますが、取り組みを始めるまで、一律のコミュニケーションが中心となっていました。ですから、まずはデータを基にお客様一人ひとりの理解を深めること。その上で、基本的な施策を当たり前にできる仕組みを作ることを最初のゴールとして取り組みを開始しました。
MZ:デジタル戦略部として達成すべきKPIなども最初に設計しましたか?
鈴木:取り組みを始めて4年目に入りましたが、実は売上をKGIにしたKPIはまだ設定していません。予算やKPIを設定しないことのメリットは大きいと考えています。デジタル戦略部の活動を直接数字に紐付けると、どうしても顧客データを道具のように捉えて、短期的な売上向上に活用してしまうことになると思うからです。
目的は、あくまでお客様理解とそれに基づく顧客体験の向上。これにより、中長期的にお客様との信頼関係を築き、LTVを高めていくことが、CRM活動の本質なのではないかと考えています。