知らないうちに大損?ポストCookieに対応しないデメリット
――まだポストCookieに対応している企業が少ない現状ですが、このままの状態が続くとどのようなデメリットがあるのでしょうか。
まず、出稿している広告のパフォーマンスが正確に把握できなくなります。コンバージョン数が正確に測れなくなるため、広告の予算調整や他媒体を含めたメディアプランニングが適切に行えなくなります。
また、昨今の広告プラットフォームの多くがAIや機械学習によって自動最適化されるものがほとんどで、その自動最適化のカギとなるのがコンバージョンデータです。いかに理想的なアカウント構成やクリエイティブが用意できても、計測が正しくないと自動最適化も正しく働きません。
計測がこれまで通りできないというデメリットが、企業のマーケティング活動全体に大きな悪影響を及ぼすのです。
正しく計測するために必要な2つの準備
――では、これからポストCookieに向けた対策を始める広告主は何から着手すべきでしょうか。
いきなり対策するのではなく、まず現在ポストCookieによって何が起こっているかを把握すべきだと考えています。ポストCookieという単語だけが一人歩きしてしまい、それによる影響や実態を正しく理解できていないケースもあるので、まずポストCookieとは何かの理解を深めることが重要です。我々はもちろん、普段お付き合いのあるパートナー企業などと連携して知識を深めてから対策に臨みましょう。
ポストCookieについて正しく認識した後は、計測に利用するファーストパーティデータの蓄積を始めます。たとえばECを運営している企業様であれば既に顧客情報があるので、そこまで難易度は高くないと思います。
一方で顧客との直接的な接点がない企業様は、コミュニティサイトや会員型のオウンドメディア、キャンペーンなど様々な接点を通じてユーザーと直接つながる取り組みが求められます。
ファーストパーティデータが用意できたら、コンバージョンAPIの整備を始めていきます。
これまで広告タグを使った計測というものは、ブラウザ経由でデータをサーバーに送っていました。しかしブラウザ通信は、デバイスの種類などユーザーごとに環境が異なり、最近ではアドブロックを入れている人もいることから、セキュリティや通信的に不安定でした。
一方で、コンバージョンAPIはサーバー同士をAPIで連携させる手法であり、セキュリティや通信が非常に安定しています。そのため従来よりも正しく、安全にコンバージョンデータを計測できるのです。APIにより、従来のブラウザ経由の計測では漏れていたコンバージョンデータの補完が期待できます。
このブラウザtoサーバーからサーバーtoサーバーへデータ通信のインフラを移行することが、コンバージョンAPIの導入となります。