Meta広告で成果をあげるポイント
MarkeZine編集部:では、金融商材でMeta広告を効果的に活用する際のポイントを教えてください。
松村:Meta広告で成果をあげるポイントは「運用」と「クリエイティブ」、それぞれにあると考えています。クリエイティブに関するポイントには金融ならではの要素もありますが、運用面については業種業界問わず重要なポイントです。それぞれ分けてご説明します。
まず、Meta広告の運用に関するポイントですが、我々は広告のクリック数や資料請求数といった初期段階の指標(手前指標)を重視して評価を行い、顧客獲得の最大化を目指すことが大切だと考えています。Cookie規制やMetaプロダクトの仕様から、奥指標を定常的に評価することは難しい中、奥指標より手前のポイントを中心に運用の最適化を行っていくことで最終的な顧客獲得に繋がる可能性を高めることができます。
信山:もう一つ、運用面で外せないのは、Meta広告の自動化プロダクトである「Meta Advantage」シリーズの活用です。「おとなの自動車保険」でも、20代へのリーチを高めたいという目的のもと、当社独自のツールと「Meta Advantage+」の「Advantage+ショッピングキャンペーン(以下、ASC)」をあわせて活用し配信しました。ASCを取り入れることで、広告運用に必要な個別設定を含むプロセスの多くをAIで自動化しながら、成果を高めることができています。
具体的には、ASC活用の前後で比較するとCVRが1.6倍になり、CPAはおよそ半分にまで下がっています。ちなみにこちらは20代へのリーチを強めたいという目的のもと、当社独自のツールとASCをあわせて活用し配信した結果です。ASCの特長を最大限に活かすために、我々が培ってきたケイパビリティもこの結果に表れていると思います。
MarkeZine編集部:ASCについては、広告代理店各社、活用ノウハウを蓄積されている印象です。セプテーニも、ASCの研究に力を入れていますか?
信山:はい。当社はASCに早期から着目し、“自動化プロダクト”というブラックボックスになりがちなASCをしっかり活用するため、専門チームを設置して科学的に分析しながら、日々理解を深めてきました。そうした研究が実を結び、2023年の「Meta Agency First Awards」で「Best solution ASC部門」最高位のGOLDを受賞しました。またMeta社が主催するイベントのASCパートに登壇するなど、実績を残すことができています。
規約が厳しい金融業界では、「量産」より「精度の高いヒット」が必要
MarkeZine編集部:続いて、クリエイティブに関するポイントを教えてください。
松村:クリエイティブに関しては、前述のとおり金融業界だからこその要素があります。まず、自動車保険をはじめとする金融商品は、内容が似通っていてどうしても訴求が同質化しやすい傾向があります。そのため、広告のデザインでいかに訴求したいことを助長できるか、ユーザー体験を損なわずいかに自分ごと化を促し興味を持ってもらえるかが、非常に重要になってきます。
基本的には、ユーザーがメディア内でどういうモチベーションでスクロールをしているのか、どういう情報を求めているのかを捉え、Meta独自のコミュニケーションを作っていくことが前提です。それに加えて、Instagramであれば次のようなポイントもあります。
1.デザイン面はビジュアルとしての質が重要。「非現実感や理想」を想起させるような見え方のほうが反応率が高まる。
2.ユーザーは「役に立つ情報かどうか」という軸で、その投稿の情報を読み込むかを瞬時に判断する。そのため、How To的なコンテンツのほうが注視率が上がる傾向にある。
3.日々のスキマ時間にながら見をするシーンが多いため、一瞬手を止めてもらうようなアテンションがCTR向上に大きく寄与する傾向にある。
とはいえ、金融業界にはレギュレーションが厳しいという特徴もあります。広告クリエイティブに関しても、すべて事前に審査をかけなければなりません。そうした制約もあるため、金融商材でMeta広告を活用する時は、クリエイティブを“量産”するのではなく、ヒット率の高いものを“精度高く”生み出していく必要があります。当社では、最近のトレンドであるAI予測も活用しつつ、最終的には人が監修をするようにしています。このアプローチにより、規制を遵守しながらも効果的なクリエイティブを生み出すことを目指しています。
今井:厳しいレギュレーションにより、PDCAサイクルを回すことが難しい金融業界ですが、それでもセプテーニさんには多くのクリエイティブアイデアを生み出していただいています。私たち以上に商品に精通していると感じることもありますし、社内では気づきにくい視点を提供してくださることもあります。
前提として高いパフォーマンスを出してくださることはもちろんですが、このようにクリエイティブのバリエーションや戦い方の引き出しが豊富であること、さらに運用面においても、ASC専門チームがあるとのことで、AI×自動最適化についてもしっかりハックし細やかな調整を行っている印象がありますね。