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『MarkeZine』(雑誌)

第107号(2024年11月号)
特集「進むAI活用、その影響とは?」

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【特集】2025年・広告の出し先

【広告業界予測 2025年】激変する業界地図の中で勝ち残るために

 2024年、Chromeにおける3rd Party Cookieサポート廃止撤回、AIやリテールメディアの台頭など、デジタル広告業界は大きな変化を経験した。2025年も引き続き大きな変化が予想される中、広告主や広告代理店、パブリッシャーはどのような姿勢で臨めばよいのか。アタラの杉原剛氏に2024年の動向を踏まえ、予測をうかがった。

※本記事は、2024年12月刊行の『MarkeZine』(雑誌)108号に掲載したものです

【特集】2025年・広告の出し先

─ 【広告業界予測 2025年】激変する業界地図の中で勝ち残るために(本記事)

続く混沌期、2024年の広告業界を振り返る

──昨年「2024年・広告の出し先」において、杉原さんは5つの予想をされました。振り返って、いかがでしょうか?

 自己採点では基本的に予想どおりに動いていると思います。主要な動きを振り返ってみましょう。

アタラ株式会社 創業者 代表取締役 CEO 杉原 剛(すぎはら・ごう)氏 KDDI、インテルを経て、オーバーチュア(現Yahoo!検索広告)、Google日本法人で広告営業戦略を担当。2009年にマーケティングのコンサルティングサービスやツールを提供するアタラを創業。プラットフォーム広告、リテールメディアなどの最新情報を発信する、日本では数少ないプラットフォームビジネスアナリストでもある。「プラットフォームの思考回路」チャンネルをX、LinkedIn、Voicyで運営。
アタラ株式会社 創業者 代表取締役 CEO 杉原 剛(すぎはら・ごう)氏
KDDI、インテルを経て、オーバーチュア(現Yahoo!検索広告)、Google日本法人で広告営業戦略を担当。2009年にマーケティングのコンサルティングサービスやツールを提供するアタラを創業。プラットフォーム広告、リテールメディアなどの最新情報を発信する、日本では数少ないプラットフォームビジネスアナリストでもある。「プラットフォームの思考回路」チャンネルをX、LinkedIn、Voicyで運営。

Cookie対策

 DSPやSSPがプライバシーサンドボックスなどの対応や検証に追われる中で、Googleは方針転換を発表しました。これにより、DSPやSSPが投資してきた対応検証は一時保留状態となっています。しかし、Cookieが実質使えなくなるという本質的な方向性は変わっていません。各社はプライバシーサンドボックスの行方を追いつつ、IDソリューション、データコラボレーションなどのCookieレス施策を引き続き調査し、評価の上、実装することが求められています。

リテールメディア

 リテールメディアは小売業界で予想以上の進展を見せているものの、日本特有の課題に直面しています。メーカーの予算が販促費と広告費に分かれ、特定小売への配分が困難なことや、メディアの分散化が挙げられます。また、日本の市場規模は米国の18分の1と小規模で、これはEC利用率の違いが主な要因とされています。

 今後は統合管理プラットフォームの整備や効果測定の標準化が求められており、さらに小売に限らず、銀行や通信業など、豊富な顧客データを持つ他業種でのコマースメディアの展開も期待されています。

AI

 先進的なマーケティング企業によるパーソナライズの事例が増加しています。特にクリエイティブ領域では動画制作にまで範囲が広がっており、実装が始まっています。現状ではまだ品質に課題もありますが、今後の進化が期待されています。

 AIについて注目すべき点は、メディアプランニングへの活用です。メディアの分散化と3rd Party Cookieの廃止によるシグナルロスへの対応として、利用可能なシグナルを基にAIがメディアのマッチングを行う手法が不可欠となっており、実際にそのような機能を持つツールも登場し始めています。

 そしてGoogle Analyticsの新機能として計画されているプランニングツールへの期待も高まっています。Microsoftは生成AIのメディアプランニングツール「CoPlanner」を公開。OpenAIのGPT- 4を活用することで、キャンペーンの予測と設定という、現状は手作業が多い2つの重要な分野の自動化を可能にしました。現時点では社内ツールの位置付けですが、こういったツールが一般公開される日もそう遠くはないのではないでしょうか。

 チャットボットについては、Meta、Google、TikTokなど各社が開発を進めており、将来的には広告提供スペースとしての活用が見込まれています。また、Meta AIは日本ではまだ開始していませんが、米国を中心に海外では既にユーザー数が増加しており、広告枠の提供が予想されています。

プラットフォームによる収益の多角化

 プラットフォームの収益の多角化も進んでいます。たとえばAmazonとソーシャルメディアプラットフォームとの連携があります。FacebookでのAmazon商品広告において、ワンクリックで購入完了できる仕組みが評価され、TikTokやPinterestへも展開が広がっています。これは「買い場」としてのソーシャルメディアと「売り場」としてのAmazon の強みを組み合わせた、双方にとって有益なパートナーシップとなっています。

 Googleにおいては、3rd Party Cookieの影響でGoogle ネットワークの広告収益が低下する中、Google TVネットワークを新たな収益源として注力しています。また、YouTube PremiumやGoogle Play Passをはじめとするサブスクリプション事業、およびGoogle Cloudなども成長を見せており、かつて広告収入が97%を占めていた収益構造が徐々に多角化しつつあります。

 一方、TikTok Shopは2024年に注目を集めた取り組みの1つですが、リピート購入の少なさや、米国TikTok禁止法案の成立による出店控えなど、継続的な成長への懸念も出ています。

MFA、詐欺広告、アドフラウド

 MFA(Made-for-Advertising:広告収入のためだけに作られたWebサイト)問題は依然として解決していません。全米広告主協会などが定義を示し、SSP各社が対策を講じた結果、一定の改善は見られましたが、対策ツールの導入コストの問題から十分な対応ができていない中小規模の広告主も多い状況です。引き続き向き合っていかなければならない課題だと言えるでしょう。

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従来のビジネスモデルでは立ち行かなくなる可能性も

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/12/18 09:30 https://markezine.jp/article/detail/47074

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