地方・新興ブランドにもチャンスがあるかも 欧米では億単位の売上事例も
何気なくアプリを開いておもしろい動画に出会うTikTok。その延長線上で得られるTikTok Shopの体験は、「検索」という顕在欲求から商品にたどり着く既存モールとまったく異なるものだといえる。
「リアルのウインドーショッピングがオンライン上で再現できると考えれば、イメージしやすいでしょう。コンテンツドリブンなアルゴリズムによってTikTokが思わぬ出会いを生んでくれるため、これまでSNS広告の投資額や公式アカウントのフォロワー数の少なさから価値を届けにくかった地方の中小企業などにもチャンスが巡ってくるかもしれません。
実際、欧米ではバズった動画をきっかけにTikTok Shopで数百万円から億単位の売上が生まれた事例が既に存在します。先日も、アメリカで一般人クリエイターの使用動画によって、かかとの角質を除去してくれる電動リムーバーが7,500万円の売上を記録した事例が出ていました」(鬼山氏)
こうした施策の裏で活躍するのが、日頃からTikTokで動画発信をする一般人クリエイターだ。好きなものや得意なこと、年代・性別・家族構成といった個人の属性を生かしながら動画発信をする彼らの表現力を上手に借り、いかにユーザーの共感を生み出せるかが、TikTok Shop攻略を目指す企業・ブランドにとって重要な鍵となる。
実際、TikTok Shopもクリエイター活用を促すため、出店者向けの管理画面で適した人材選定ができる機能を提供している。しかし、エンジニアとしてidentifyでプロダクト開発などを手掛けてきた須山氏は、同機能を見た際に共感を生む動画をつくる上での“ある課題点”に気づいたという。
「TikTok Shop内でのクリエイター選定は、フォロワー数やコミッションレートといったパフォーマンス軸での検索が主軸となっています。
成果の最大化に目を向けた検索軸といえますが、たとえばユーザーの共感を得るために利用シーンを想定して『親子や恋人同士で出演してほしい』、効果・効能をより適切に伝えるため、体型、白髪・シミなど『商材に合ったコンプレックスがあるクリエイターに依頼したい』と属性軸で探したいこともあるでしょう。企業・ブランドのペルソナに合ったクリエイター選定に着目すると、identifyがサードパーティの立場から提供できる機能もあるのではないかと考えました。こうして誕生したのが、TikTok Shop特化型のサードパーティシステム『DeLMO for TikTok Shop』です」(須山氏)

identifyは、これまで縦型ショート動画用素材の収集を手助けする「DeLMO for advertiser」や、クリエイター向け複業支援サービス「DeLMO for creator」の展開を通して、あらゆる性別・年代・嗜好の一般人クリエイターとつながりをつくってきた。「DeLMO for TikTok Shop」では、こうして集まった2,500人以上のクリエイターのアイデンティティを結集し、TikTok Shopの管理画面内で発掘・選定が難しい年齢・職業、身体的特徴、家族や恋人といった関係者出演の可否などの検索軸を設けている。
「『DeLMO for TikTok Shop』を活用すると、0歳~93歳まで(2025年5月時点)の一般人クリエイターの発掘、動画制作依頼が可能です。企業・ブランド側から一方的に魅力を伝えるよりも、共感や体験価値をリアルに伝えてくれる等身大のクリエイターを起用したほうが、TikTok Shopでもチャンスを得られるでしょう。
コンテンツドリブンで情報が拡散されるTikTokで意識すべきは、『WOW体験(驚きや感動)』です。当社はTikTok Shopに特化したクリエイター教育も行っているため、WOW体験やおもしろさ、学び・発見につながる動画から偶然の出会い創出、新たなファン獲得など、TikTok Shopならではのアプローチを手助けします」(須山氏)