非効率を恐れない。「遊び心×AI」でインタラクティブ広告を再発明
菅原:最近は、むしろインタラクティブ広告に追い風が吹いているかもしれないと思っています。SNSで体験がシェアされるのが当たり前になった時代。昔のようにおもしろい仕掛けを作ったら、それを見た人が自発的にシェアし、バッと全国的に拡散されていく可能性が高いでしょうし。
横山:一つの仕掛けでも話題性や拡散性があれば、十分に効果が見込めるかもしれませんよね。

菅原:ええ、特に交通広告のサイネージなどと相性がよさそうです。現代のインタラクティブとは、「広告を見た人が動画を撮ってシェアするアクション」と言えるかもしれません。デジタル広告に限らず、交通広告などでの物理的な仕掛けでも、SNSが加わることによって、双作用性のあるコミュニケーションが可能になりましたよね。
横山:まさに。これからインタラクティブ広告はまだまだ発展する可能性を秘めているはずなのに、広告業界はそれを置き去りにしてしまっているのではないでしょうか。
菅原:テレビで大量に広告を見せる手法が通用しなくなった今こそ、インタラクティブ広告を再発明していくべきタイミングかもしれませんね。
横山:「脱テレビ一強」の新たなコミュニケーション開発の仕組みを、AIで作らないといけない時が来ています。でもその仕組みの中に本来の広告のスピリット、つもり仕掛け(企て)を盛り込まないといけない。きっと「インタラクティブな仕掛けを考えるAI」を作ってしまえば、効率よくアイデアを展開できるでしょう。人間が面倒がってやらなくなってしまったことこそ、AIを使って再現していってほしいと思います。
菅原:効率よくマーケティングできた時代には、非効率なインタラクティブ広告は避けられていたかもしれませんが、もうそんな時代は終わってしまいましたからね。非効率でもどんどんチャレンジしていかないと。
横山:非効率なことも、AIに覚え込ませて鍛えていけば、効率的なことになっていきますから。AIと一緒に、もう一度インタラクティブ広告を見つめ直す時代が来ているはずです。
「忙しいからAIを使えない」は本末転倒
菅原:マーケターって忙殺されている方が多いじゃないですか。実際に話を聞いてみると、AIをほとんど使っていないか、ちょっと触っている程度なんですよ。
横山:忙しい人こそ使えばいいのに……。
菅原:本来そうですよね。効率的なマーケティングで通用する時代が終わり、非効率なマーケティングが必要になってきている中、マーケターが自力で頑張ろうとしたら、もう倒れてしまいます。しかし、忙しさを理由にAIを使わない。だから、マーケターは怖くて非効率なマーケティングに突入できない。見て見ぬふりをしているのだと思います。

横山:作業領域はどんどんAIに任せるべきですよね。自分のアイデアや作家性が求められるような領域は手元に残しておいたっていいんです。まずは「面倒なこと」と「自分ではできないこと」を手放していく。
菅原:まず「試すことにリソースを使えるかどうか」が勝負だと思います。AIで生まれた余白を活かせる人が、これからのマーケティングで新しい価値を生み出していけるんじゃないでしょうか。