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Metaアプリ広告の新常識。ROASが約12.7倍改善した「バリュー最適化(VO)」活用のポイント

 成熟期を迎えたアプリマーケティング市場において、単なるインストール獲得だけでは事業成長を描けず、ユーザーのLTV最大化が広告主の最大の課題となっています。この壁を突破する強力な打ち手が、高LTVユーザーを狙うMeta広告の入札戦略「バリュー最適化(VO)」です。本記事では、VOの導入により従来手法からROASを約12.7倍に改善した検証結果を公開。さらに、MetaとCyberZが教えるVO活用の成果を出すポイントまで、事業収益に直結する運用ノウハウをお届けします。

「獲得」から「LTV最大化」へ。成熟期のアプリマーケティング

──まず、アプリマーケティングの市場環境の変化について、グローバルな視点からお聞かせください。

Yang(Meta):モバイルアプリ市場は世界的に急拡大しており、2025年の新規ダウンロード数は490億回、アプリ内購入売上は820億ドル(約13.4兆円)に達しています。

画像を説明するテキストなくても可
Meta日本法人 Facebook Japan合同会社 Agency Partner Jin Woo Yang氏

Yang(Meta):特筆すべきは、Z世代の6割近くがテレビや従来の動画配信サービスよりも「SNSアプリ」で長く動画を視聴しているという点です。さらに、シームレスな支払い手続きなどの利点から、アプリでのコンバージョン率はモバイルウェブの3倍に達しています。こうしたSNSを中心としたユーザー流入の増加と収益性の高さを背景に、アメリカでは既にモバイル広告予算全体の約8割がアプリに充てられる水準となっています。

──日本国内はどうでしょうか。

真木(CyberZ):日本のアプリマーケティング市場は成熟期に入り、プレーヤー急増にともなう新規ユーザー獲得競争の激化から、インストール単価(CPI)が年々上昇しています。インストール獲得だけを追っていては事業成長につながりにくいため、獲得ユーザー1人あたりの価値、すなわち「LTVの最大化」が多くの広告主様にとって最重要テーマとなっています。

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株式会社CyberZ メディア統括本部 パフォーマンス戦略局 シニアコンサルタント 真木 魁人氏

真木(CyberZ):LTV重視の流れは、KPI設計にも表れています。当社が運用する複数の広告主様では、2年前の段階ではCPIのみをKPIとする企業が大多数で、LTV指標をKPIに含めて評価していた企業は約30%にとどまっていました。

 しかし現在では、その割合が60%以上に倍増し、リテンションレート(継続率)やROAS(広告費用対効果)といった獲得したユーザーの質を加味した指標を重視する動きが定着しつつあります。

LTV可視化を阻む課題と、解決策としてのVO

──KPIをCPIからLTVへと見直す際に、直面する課題はありますか?

真木(CyberZ):まず、運用・クリエイティブ両面での対応の難しさから、CPIのように評価と運用がしやすい指標をKPIとする広告主様の割合が多かったという背景がございます。そのため、移行における課題として、LTVを評価する場合においても、運用・クリエイティブそれぞれのPDCAを適切に回すことができる環境の整備が必要になります。

 そして、日本市場特有のOS環境も課題として挙げられます。日本市場は、グローバル対比で特にiOSに偏っており、この傾向はアプリとの親和性が高い若年層において顕著です。iOS端末においては同意のないユーザーに対するトラッキング制限が発生するため、大部分のユーザーのLTVを可視化しづらい点が、大きな障壁となっていました。

 ただし、この点については、Meta社が導入している独自の仕組みにより、コンバージョンのシグナルを補完する取り組みが徐々に進んでいます。今やiOSでもしっかりとLTVを可視化できる時代になっているのです。

Yang(Meta):世界的に高まっているアプリ収益化の需要に応えるべく、Metaはアプリ広告主の皆様がユーザーLTVの最大化を図っていただけるよう、インストールからアプリ内エンゲージメント、そしてアプリ内購入に至るファネル拡大に取り組んでいます。

アプリ宣伝広告の最適化一覧。インストール最適化(MAI)、アプリイベント最適化(AEO)、バリュー(値)最適化(VO)の3段階を示すファネル図
アプリ宣伝広告におけるファネル図
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Yang(Meta):その一環として推進しているのが、アプリ内で高額課金を行う可能性が高い、高LTVユーザーに広告を当てる入札戦略「バリュー最適化(Value Optimization/以下VO)」です。

真木(CyberZ):当社では、VOのようなメディア側のプロダクトと、自社の運用マーケティングを直接的に組み合わせることで、ROAS向上を実現していく取り組みを進めています。今回はその成果として、実際にROASが10倍以上改善したVOの検証事例をご紹介します。

ROAS10倍以上改善も!CyberZの検証事例に見る、VOの効果

真木(CyberZ):検証したのは、インストール数の最大化を狙う「インストール最適化(MAI)」、課金額の大小ではなく課金件数(コンバージョン数)の最大化を狙う「アプリイベント最適化(AEO)」、そして先述の「VO」の3つです。

 同一予算・同一期間で、この3キャンペーンを並走させる分割テストを実施しました。

 結果、VOはROAS 48.40%と、MAIの3.82%に対して約12.7倍、AEOの14.86%に対しても約3.3倍という大きな差がつきました。

検証結果を表すグラフ
検証結果を表すグラフ
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 CPI単体で見ればVO(2,598円)はMAI(1,492円)に劣りますが、収益性ではVOが圧倒しており、「手前の指標だけを見ていては正しい投資判断ができない」ことを示す好例だと考えています。

Yang(Meta):グローバルでは、VOは通常のコンバージョン数の最大化キャンペーンと比較して、ROAS観点で見ると約29%程度高くなるという結果も出ています。そのような中、CyberZ様では、それをはるかに上回る成果を出されています。このように、VOの効果は非常に大きいものだと実感しています。

VOがROAS向上に効果的な理由

──VOは他のキャンペーン目的と比べて、なぜROAS向上により効果的だといえるのでしょうか。

Yang(Meta):VOはその名の通り、コンバージョン数だけではなく、コンバージョンの値に最適化の重きを置くためです。購入単価のようなCVの特色を踏まえて学習と配信が行われるため、CV数が最適化の判断基準になるMAIやAEOに比べ、ROAS向上により適している最適化の目標となります。

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VOとAEOの違い
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真木(CyberZ):VOは、購入金額のようなCVの価値に重み付けをする仕組みのため、同じ1件の購入CVでも、より購入金額が大きいCVを高価値と判断して学習が進みます。今回の検証でVOにおけるROASの大幅な改善が見られたのも、CVの質に対する学習が適切に進行した結果だと捉えています。

Yang(Meta):加えて、MetaはVOキャンペーンの効果向上に向けて、近年様々なアップデートを実施しています。裏側では最先端のマシンラーニングモジュールを実装し、学習モデルの性能を改善しており、配信精度の向上やCPA安定化のために広告効果の評価仕組みも強化中です。なお、MMP(計測ツール)との連携強化も進めています。

VOで成果を出すコツ 投資対効果の最大化を目指す

──実際にVOを活用するにあたり、広告主側との合意形成などのハードルはどう乗り越えているのでしょうか。

真木(CyberZ):基本的に、新しくKPIを変える形で当社から広告主様にコミュニケーションを取る際は、検証予算という形で、そのKPIで運用した場合の実績がどうなるかを可視化する提案から入ります。

 たとえば、これまですべての予算をCPI評価で配信していた場合、「全体予算の20%からROASを評価する形で運用してみませんか」といった提案を行います。

──VOを活用する際の前提条件と推奨設定を教えてください。

Yang(Meta):1つ目は、iOSの場合アプリ合算イベント(AEM)をアトリビューションとして導入し、レポーティングにおける遅延や欠損を防ぐことです。AEMは従来のSKANとは異なり、リアルタイムレポーティングや確率的マッチングが可能になるため、より迅速かつ広範囲にデータの受信ができるという利点を持ちます。なお、従来のSKANでは非対応だったクリック7日間のアトリビューション期間がAEM実装のバリュー最適化キャンペーンでは選択できるため、短いアトリビューション期間による不必要な欠損を防げる効果もあります。

 2つ目は、コンバージョンデータの質と量を保つことです。イベント設定の段階で各イベントに正確な値(CV Value)を付与することで、質の高いコンバージョンデータが返ってくるようにします。なお、Metaでは機械学習が十分に回るためには、VOキャンペーンにおいては「3週間以上の配信期間」、そして「週50件以上のCV」が必要と見ています。

 3つ目のポイントは、Advantage+とバリュールールを組み合わせて、精度の高い運用の自動化を図ることです。AIによる自動最適化を行うAdvantage+は、アプリ領域においても手動運用に比べてCPAが7%改善したという社内データもあり、アプリ・ウェブ問わず現在のMeta運用の基本となっています。

Advantage+アプリキャンペーンの仕組み。オーディエンス・配置・予算の自動化により、手動キャンペーン比で顧客獲得単価が平均7%改善
(クリックすると拡大します)

 ここに、デモグラ等の入札度合いを任意設定できる「バリュールール」を掛け合わせます。Advantage+環境下でも運用者が決めた重み付けで配信されるため、「LTVの高いユーザーへの配信を強化する」といったマーケターのインサイトを十分に生かしながら、AIによる自動化を図ることが可能です。

 この3つのポイントをしっかり押さえて、投資対効果を最大限にする本質的なアプリマーケティングをMetaで実現していただきたいと思っています。

VOの効果を最大化するクリエイティブ選定・運用手法2つのポイント

──CyberZでは、VOの効果を最大化するうえで、クリエイティブ選定や運用手法をどのように工夫していますか。

真木(CyberZ):先述の3つのポイントは、当社としても大前提として非常に重要だと考えています。そのうえで、実際に運用をお預かりする代理店の立場から、特に重要視しているポイントが2つあります。

 まず、計測乖離を踏まえた配信面のコントロールです。プラットフォームや出面によっては、MMPなどの評価ツールとの乖離が大きく出るケースがあります。

 当社では、過去実績から乖離が大きいと判断したプラットフォームや出面に対しては、バリュールールで入札を抑制し、配信が特定の面に過度に偏重しないようにコントロールしています。管理画面上の成果だけでなく、広告主様の評価軸であるMMP計測上の成果を最大化させることが、代理店として果たすべき重要な役割だと考えています。

 もう1つのポイントは、VOに投入するクリエイティブの選定です。VOは学習に時間を要する傾向があるうえ、LTVの最大化を目的とするキャンペーンですので、クリエイティブの当たり外れを試す場としては適していません。

 そこで当社では、インストール最適化の配信でCPIが良好と判断できたクリエイティブを選定してVOのキャンペーンに投入するようにしています。CPI段階での「勝ちクリエイティブ」を見極めてからVOに展開することで、パフォーマンスのブレを最小限に抑えたうえで、VOの学習を進行できると考えています。

──最後に、今後の展望をお聞かせください。

真木(CyberZ):アプリマーケティング市場が成熟期に入っていく中で、ユーザーを「獲得する」時代から、獲得したユーザーの「LTVを最大化する」時代へと完全に移行しつつあると考えています。Meta様のVOやApp AEMといったプロダクトをうまく活用し、環境が整った今こそ、事業成長につながる適切なアプリ広告への投資を行うタイミングです。当社としても、そのための的確なプランニングのサポートを今後も続けてまいります。

Yang(Meta):Metaとしては、アプリ広告市場における新しい需要を捉え、引き続きプロダクトの提供や改善に迅速に取り組んでまいります。広告主様には、本質的な価値を生み出すマーケティング手段として、ぜひVOをご活用いただきたいです。これを機に、LTV最大化に向けた新たな戦略立案へ積極的に踏み出していただければ幸いです。

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:Facebook Japan G.K.

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2026/09/18 10:30 https://markezine.jp/article/detail/50407