「獲得」から「LTV最大化」へ。成熟期のアプリマーケティング
──まず、アプリマーケティングの市場環境の変化について、グローバルな視点からお聞かせください。
Yang(Meta):モバイルアプリ市場は世界的に急拡大しており、2025年の新規ダウンロード数は490億回、アプリ内購入売上は820億ドル(約13.4兆円)に達しています。
Yang(Meta):特筆すべきは、Z世代の6割近くがテレビや従来の動画配信サービスよりも「SNSアプリ」で長く動画を視聴しているという点です。さらに、シームレスな支払い手続きなどの利点から、アプリでのコンバージョン率はモバイルウェブの3倍に達しています。こうしたSNSを中心としたユーザー流入の増加と収益性の高さを背景に、アメリカでは既にモバイル広告予算全体の約8割がアプリに充てられる水準となっています。
──日本国内はどうでしょうか。
真木(CyberZ):日本のアプリマーケティング市場は成熟期に入り、プレーヤー急増にともなう新規ユーザー獲得競争の激化から、インストール単価(CPI)が年々上昇しています。インストール獲得だけを追っていては事業成長につながりにくいため、獲得ユーザー1人あたりの価値、すなわち「LTVの最大化」が多くの広告主様にとって最重要テーマとなっています。
真木(CyberZ):LTV重視の流れは、KPI設計にも表れています。当社が運用する複数の広告主様では、2年前の段階ではCPIのみをKPIとする企業が大多数で、LTV指標をKPIに含めて評価していた企業は約30%にとどまっていました。
しかし現在では、その割合が60%以上に倍増し、リテンションレート(継続率)やROAS(広告費用対効果)といった獲得したユーザーの質を加味した指標を重視する動きが定着しつつあります。
LTV可視化を阻む課題と、解決策としてのVO
──KPIをCPIからLTVへと見直す際に、直面する課題はありますか?
真木(CyberZ):まず、運用・クリエイティブ両面での対応の難しさから、CPIのように評価と運用がしやすい指標をKPIとする広告主様の割合が多かったという背景がございます。そのため、移行における課題として、LTVを評価する場合においても、運用・クリエイティブそれぞれのPDCAを適切に回すことができる環境の整備が必要になります。
そして、日本市場特有のOS環境も課題として挙げられます。日本市場は、グローバル対比で特にiOSに偏っており、この傾向はアプリとの親和性が高い若年層において顕著です。iOS端末においては同意のないユーザーに対するトラッキング制限が発生するため、大部分のユーザーのLTVを可視化しづらい点が、大きな障壁となっていました。
ただし、この点については、Meta社が導入している独自の仕組みにより、コンバージョンのシグナルを補完する取り組みが徐々に進んでいます。今やiOSでもしっかりとLTVを可視化できる時代になっているのです。
Yang(Meta):世界的に高まっているアプリ収益化の需要に応えるべく、Metaはアプリ広告主の皆様がユーザーLTVの最大化を図っていただけるよう、インストールからアプリ内エンゲージメント、そしてアプリ内購入に至るファネル拡大に取り組んでいます。
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Yang(Meta):その一環として推進しているのが、アプリ内で高額課金を行う可能性が高い、高LTVユーザーに広告を当てる入札戦略「バリュー最適化(Value Optimization/以下VO)」です。
真木(CyberZ):当社では、VOのようなメディア側のプロダクトと、自社の運用マーケティングを直接的に組み合わせることで、ROAS向上を実現していく取り組みを進めています。今回はその成果として、実際にROASが10倍以上改善したVOの検証事例をご紹介します。

