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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2026 Autumn

Adjustと追うアプリマーケティング最前線(AD)

バンダイナムコネットワークサービスと不動産テックのカナリーがAI活用×内製化のリアルを語る

 モバイルアプリの計測・分析ツールを提供するAdjustは、アプリマーケティング業界のリーダーを集めたカンファレンス「Adjust Ignite Tokyo 2026」を開催した。「生成AI時代のマーケティング自動化・内製化のリアル」と題されたセッションには、バンダイナムコネットワークサービスとカナリーの2社が登壇。ハウスエージェンシーとしてグループ各社の広告案件でのAIを活用する前者と、インハウスマーケター1名でAIを用いた広告運用の自動化・高度化を進める後者の事例を通じて、実務のリアルと具体的な打ち手が共有された。本稿ではその内容をレポートする。

大手企業のハウスエージェンシーと完全インハウスのスタートアップ

大杉:本セッションのテーマは「生成AI時代のマーケティング自動化・内製化のリアル」です。この1年で生成AIの活用は急速に進みましたが、成果が出ている企業と試行錯誤が続く企業に分かれています。

Adjust Head of Customer Success 大杉健治氏
Adjust Head of Customer Success 大杉健治氏

大杉:本日は、ハウスエージェンシーとしてグループを支えているバンダイナムコネットワークサービスの高橋さんと、少数精鋭で完全インハウス運用を実践されているカナリーの飯山さんをお迎えし、生成AI活用の「現在地」「課題」「明日から試せるアドバイス」の3テーマで議論を深めていきます。

高橋(BNNS):バンダイナムコネットワークサービスでデジタル広告課のアシスタントマネージャーを務めている高橋です。当社は親会社であるバンダイナムコエンターテインメントをはじめ、グループ各社へWeb広告の運用・管理機能を提供しています。私は主にバンダイナムコエンターテインメントからリリースされているアプリゲームの広告運用を手掛けつつ、社内のAI活用推進も担当しています。

株式会社バンダイナムコネットワークサービス デジタルコミュニケーション部 デジタル広告課 アシスタントマネージャー 高橋謙仁氏
株式会社バンダイナムコネットワークサービス デジタルコミュニケーション部 デジタル広告課 アシスタントマネージャー 高橋謙仁氏

飯山(カナリー):カナリーで新規顧客の獲得マーケティングを担当している飯山と申します。弊社は不動産賃貸アプリ「カナリー」や、不動産店舗向けのSaaSを提供する不動産テック企業です。私は創業初期から約7年間、ほぼ1人でマーケティング全般を担当してきました。限られた人数で成果を最大化するために、生成AIをどのように運用プロセスへ組み込んでいるのか、実例をもとにお話しします。

株式会社カナリー グロース本部 VP of Growth 飯山秀人氏
株式会社カナリー グロース本部 VP of Growth 飯山秀人氏

大杉:ありがとうございます。私は本セッションのモデレーターを務めるAdjustの大杉です。Adjustでは、アプリ計測用のSDKを提供しています。広告流入元を特定するアトリビューション計測のソリューションがメインの製品です。最近は、アプリ内の特定ページへユーザーを直接誘導するディープリンク機能に力を入れています。

広告分析レポートの自動生成ツールを開発

大杉:最初のテーマは「現在地」です。生成AIを導入したことで、現場の作業はどれほど効率化されたのでしょうか。高橋さんからお聞かせください。

高橋(BNNS):当社では全社的なAI推進チームを立ち上げ、広告チームの業務効率化に本格的に取り組んできました。事前に「どの業務に最も工数がかかっているか」を社内アンケートで調査したところ、各グループ会社のマーケティング担当者に提出する「振り返り資料の作成」に工数がかかっていることがわかりました。

 そこで、AI技術の研究開発を担うグループ会社のバンダイナムコ研究所と協力し、広告分析結果を自動生成するツール「B-NAS(ビーナス)」を開発しました。数値データと未記入の資料フォーマットを入力すると、AIが「媒体Aの成果はこうだった」「全体サマリーはこうである」といった振り返り文言を約5分で自動出力してくれます。

 従来は数時間を要していた作業時間が大幅に短縮されただけでなく、担当者のスキルや経験によって生じていた分析レポートの「質のばらつき」を防ぎ、均質化できる点も大きなメリットです。今後は広告の出稿作業や、効果が低下したクリエイティブの自動差し替えなど、運用側の自動化にも踏み込んでいく予定です。

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広告運用のPDCAサイクルをほぼ自動化

大杉:続いて、少数精鋭で自動化を推進されているカナリーの飯山さん、現場でのAI活用について教えていただけますか。

飯山(カナリー):当社では、分析用データベースであるBigQueryに、アプリの操作ログや広告データなどをすべて集約しています。このデータ基盤とAIをAPIで接続することにより、データ収集・集計・施策設定の自動化を実現しています。

 たとえば、AIツールのDevin(デビン)にSQLを爆速で記述させたり、Pythonを用いた機械学習で予測を出したりしています。特に効果を実感しているのが「日次の広告予算配分」の自動化です。不動産業界には「月の前半に物件情報が増える」という季節性があり、日ごとにCVRが変わります。そのため、AIが過去のデータをもとに「どの媒体にいくら配分すればコンバージョンが最大化するか」を日次ベースで計算しています。

 さらにAIは「前回の変更によって効果がどう変化したか」を自主的に検証し「より成果を出すための新しいロジック」を提案してくれます。提案内容はSlackに通知され、私がスレッドで承認ボタンを押すと、API経由で広告プラットフォームのTCPA(目標獲得単価)や予算設定が書き換わります。ほぼ自動でPDCAサイクルが回る仕組みです。

 また、クリエイティブ分析にもAIを活用しています。Geminiを用いて動画広告のテロップやセリフ、展開などの構成要素をすべてテキストデータ化し、成果の出る動画の傾向をパターン化しています。そのナレッジをデザイナー自らがプロンプトに反映して分析できる環境を作ったため、企画・制作が現場で自走するようになりました。

 AIの導入によって作業自体は格段に効率化されましたが、次々と新しいアイデアを試せるようになった分、仕事の幅と量はむしろ増えたと感じています。

IPの世界観は人が守り、クリエイティブのミスはAIで防ぐ

大杉:2つ目のテーマは「自動化の課題と限界」です。何でもAIに任せられるわけではない中で、人が介入すべき領域についてお話しいただけますか。

高橋(BNNS):当社においてAIの活用を最も慎重に検討しているのが「クリエイティブの制作領域」です。バンダイナムコグループはIPをお預かりし、ファンや権利元の皆さまとの信頼関係の上にビジネスを展開しています。作品の世界観やブランドの倫理観を守るための判断には、非常に繊細なアプローチが求められるため、現状はAI任せにせず必ず「人の手と目」を介入させています。

 一方で「ミスを防ぐためのチェック工程」にはAIを積極的に導入しています。グループ会社のバンダイナムコネクサスと連携し、AIによる「クリエイティブチェックツール」を運用中です。

 たとえば2種のバナー画像を比較して「修正前の古い素材に戻っていないか」「権利表記のスペルミスはないか」「キャラクターの色味が誤って改変されていないか」などを自動で検知します。制作のやり取りが増えると、どうしても人為的ミスが発生しやすくなりますが、AIをチェック役に据えることで、重大な掲載事故を減らすことが可能になりました。

大杉:ブランドの価値を守る判断は人、ミスをなくす確認作業はAIと、見事な役割分担ですね。

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事業のトップラインを伸ばす戦略は人間が描け

大杉:飯山さんは自動化の課題についてどうお考えでしょうか。

飯山(カナリー):人間が注力すべき仕事は大きく2つあると思っています。1つ目は「AIの教育」です。AIを「優秀だが少し不器用な新人」と見なし、前提条件や社内ナレッジを正しくインプットする作業は人間の役割です。

 2つ目は「事業のトップラインを伸ばすための戦略設計」です。CPAやROASの細かな数値調整はAIが得意としています。だからこそ人間は「ユーザーの本質的な課題はどこにあり、どう解消すれば事業が成長するのか」という上流の思考に時間を使うべきではないでしょうか。

 AI活用を進めるにあたり、課題を感じているのは「人材育成」です。AIに運用を任せたほうが圧倒的に早く、正確に業務が回ってしまうため、未経験者が現場の運用を通じて育つ機会が減ってしまうという新たな悩みに直面しています。

大杉:人材育成は、まさに業界全体で直面している課題ですね。自動化を進めつつも、メンバーが成長できる環境やプロセスの設計は、今後の組織作りの重要なポイントだと感じます。

AI活用を進めるために明日からできること

大杉:最後に、これから社内で生成AIの活用を進めたいと考えている企業に向けて、アドバイスをお願いできますでしょうか。

高橋(BNNS):ポイントは3つあります。1つ目は「現場のどの業務を削減すれば最もインパクトが大きいか」を見極め、そこから着手することです。当社では「振り返り資料作成の負担軽減」という明確な課題があったからこそ、スムーズにツール開発へ移行できました。

 2つ目は「AIがアクセスできる場所にデータを集め、整理しておくこと」です。個人のローカル端末にデータが散在していては、AIが活用できません。

 3つ目は「AIの出力を鵜呑みにせず、検証・監査する体制を組むこと」です。AIが出したレポートが「一見正しそうに見えて実は的外れだった」というケースは珍しくありません。内容の妥当性を人が最終チェックする仕組みを組み込むことが大切だと思います。

飯山(カナリー):私からは「まず自分が楽しいと思える身近な領域からAIを使ってみること」をおすすめします。最初から「業務効率化」や「売上貢献」といった高い目標を掲げると、環境構築やエラー処理の段階でハードルが高く感じられてしまいます。

 私自身、最初は「食事のカロリー計算と筋トレのメニュー考案」というプライベートな用途からAIを使い始めました。日常的に触る中で「こういう指示を出すと回答の精度が上がるのか」「こういうデータ形式が得意なのか」という勘所が掴めてきます。まずは趣味やちょっとした雑務でAIに触れてみて、動く楽しさを実感してから仕事に応用していくと良いのではないでしょうか。

大杉:改善インパクトの大きい領域からのアプローチと、個人レベルでの小さな体験の積み重ね。どちらも非常に示唆に富むお話でした。お2人とも本日はありがとうございました。

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:adjust株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2026/09/24 10:00 https://markezine.jp/article/detail/77400