大手企業のハウスエージェンシーと完全インハウスのスタートアップ
大杉:本セッションのテーマは「生成AI時代のマーケティング自動化・内製化のリアル」です。この1年で生成AIの活用は急速に進みましたが、成果が出ている企業と試行錯誤が続く企業に分かれています。
大杉:本日は、ハウスエージェンシーとしてグループを支えているバンダイナムコネットワークサービスの高橋さんと、少数精鋭で完全インハウス運用を実践されているカナリーの飯山さんをお迎えし、生成AI活用の「現在地」「課題」「明日から試せるアドバイス」の3テーマで議論を深めていきます。
高橋(BNNS):バンダイナムコネットワークサービスでデジタル広告課のアシスタントマネージャーを務めている高橋です。当社は親会社であるバンダイナムコエンターテインメントをはじめ、グループ各社へWeb広告の運用・管理機能を提供しています。私は主にバンダイナムコエンターテインメントからリリースされているアプリゲームの広告運用を手掛けつつ、社内のAI活用推進も担当しています。
飯山(カナリー):カナリーで新規顧客の獲得マーケティングを担当している飯山と申します。弊社は不動産賃貸アプリ「カナリー」や、不動産店舗向けのSaaSを提供する不動産テック企業です。私は創業初期から約7年間、ほぼ1人でマーケティング全般を担当してきました。限られた人数で成果を最大化するために、生成AIをどのように運用プロセスへ組み込んでいるのか、実例をもとにお話しします。
大杉:ありがとうございます。私は本セッションのモデレーターを務めるAdjustの大杉です。Adjustでは、アプリ計測用のSDKを提供しています。広告流入元を特定するアトリビューション計測のソリューションがメインの製品です。最近は、アプリ内の特定ページへユーザーを直接誘導するディープリンク機能に力を入れています。
広告分析レポートの自動生成ツールを開発
大杉:最初のテーマは「現在地」です。生成AIを導入したことで、現場の作業はどれほど効率化されたのでしょうか。高橋さんからお聞かせください。
高橋(BNNS):当社では全社的なAI推進チームを立ち上げ、広告チームの業務効率化に本格的に取り組んできました。事前に「どの業務に最も工数がかかっているか」を社内アンケートで調査したところ、各グループ会社のマーケティング担当者に提出する「振り返り資料の作成」に工数がかかっていることがわかりました。
そこで、AI技術の研究開発を担うグループ会社のバンダイナムコ研究所と協力し、広告分析結果を自動生成するツール「B-NAS(ビーナス)」を開発しました。数値データと未記入の資料フォーマットを入力すると、AIが「媒体Aの成果はこうだった」「全体サマリーはこうである」といった振り返り文言を約5分で自動出力してくれます。
従来は数時間を要していた作業時間が大幅に短縮されただけでなく、担当者のスキルや経験によって生じていた分析レポートの「質のばらつき」を防ぎ、均質化できる点も大きなメリットです。今後は広告の出稿作業や、効果が低下したクリエイティブの自動差し替えなど、運用側の自動化にも踏み込んでいく予定です。
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