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リードは増えているが売上が伸びない……この理由、説明できますか?「商談化4象限フレームワーク」で分析

商談化4象限フレームワークの使い方手順

 商談化4象限フレームワークの目的は、単に商談化しない原因を特定することではありません。営業、インサイドセールス、マーケティング、技術部門など関係者の認識をそろえ、「何が問題なのか」「何を改善すべきなのか」を合意形成することにあります。

 技術系商材では、部門ごとに見えている景色が異なりますので、4象限で視点を合わせながら議論することが重要です。ここからは、具体的に商談化4象限フレームワークを活用する手順を解説していきます。

手順1:まずは1人で分析し、仮説を作る

 最初はマーケティング担当者が中心となり、商談化しなかった案件や長期間停滞している案件を振り返ります。その上で、「価値認識不適合」「ターゲット不適合」「タイミング不適合」「プロセス・運用不適合」のどれに該当するのかを、商談化4象限を使って整理します。

 分析では、担当者自身の肌感だけで判断せず、顧客の発言や反応、SFA・MAなどのデータ、営業や技術部門から聞いている声を確認します。特に重視したいのは、顧客の具体的な発言や行動です。たとえば、「必要性は感じているが予算化は来期になる」という発言が複数の案件で聞かれる場合は、「タイミング不適合」の可能性があります。一方、営業への引き継ぎ後、初回接触までに時間がかかっている場合は「プロセス・運用不適合」も考えられます。

 このように、実際には複数の要因が絡み合っていることも少なくありません。その場合は、無理に1つへ絞らず、商談化を妨げた最も大きな要因を「主要因」、それを助長した要因を「副要因」として整理します。「その要因がなければ、商談は前に進んでいたか」と考えると、主要因を判断しやすくなります。

 たとえば、ターゲット企業から「導入効果がわからない」と言われ、さらに営業のフォローも遅れていたとします。この場合、導入効果を理解してもらえなかったことが商談停滞の決定的な理由であれば、主要因は「価値認識不適合」、副要因は「プロセス・運用不適合」と整理できます。

 ただし、この段階の分析結果はあくまでも個人の仮説です。社内へ共有するときは、「主要因は価値認識不適合、副要因はプロセス・運用不適合ではないか」のように、仮説とその根拠、現時点で不足している情報をセットで示します。最初から正解を出すのではなく、関係者が異なる視点を持ち寄れる「議論のたたき台」を作ることを目的に進めましょう。

手順2:関係者で集まり、要因分析を行う

 次に、営業、インサイドセールス、マーケティング、技術部門など、商談化に関わるメンバーで会議を開催します。会議では商談化4象限フレームワークを全員で見ながら、手順1で作成した仮説を共有し、「本当にこの要因なのか」を議論します。

 フレームワークを共有するときは、「どの部門に責任があるかを決めるためではなく、商談化を妨げている要因を整理するために使います」と最初に伝えることが重要です。たとえば、「まずは正解を決めるのではなく、それぞれの立場から見えている事実を出してください」と声を掛けると、部門間の責任追及ではなく、要因分析として議論を進めやすくなります。

 例として、営業は「ターゲットは合っているが提案内容が弱い」と考えている一方で、マーケティングは「そもそもターゲット設定がずれている」と考えているかもしれません。また、技術部門からは「技術評価で負ける理由が別にある」という意見が出ることもあります。このような場合は、主張だけをぶつけ合うのではなく、顧客の発言や反応、失注理由、案件データ、営業活動の履歴など、それぞれの判断根拠を確認します。意見ではなく、根拠となる事実を4象限に当てはめていくことが目線合わせのポイントです。

 それでも意見が分かれる場合は、無理に1つの要因へ絞る必要はありません。「この要因が解消されていたら、商談は前に進んでいたか」という視点で、影響が最も大きいものを「主要因」、それを助長したものを「副要因」として整理します。判断材料が不足している場合は、「現時点では結論を出せない」とした上で、顧客への確認やデータ分析など、追加で確認する情報を決めます。

 このステップの目的は、結論を急ぐことではなく、各部門の視点と根拠を持ち寄り、商談化しない真因について共通認識を作ることです。主要因、副要因、不足している情報を整理できれば、意見を完全に一致させられなくても「次に何を確認し、何から改善するか」を決めやすくなります。

手順3:改善施策を議論し、合意形成する

 商談化しない主要因と副要因が整理できたら、次はマーケティング担当者が議論を主導し、改善施策を検討します。ここで重要なのは、思いついた施策をすぐに挙げるのではなく、要因に応じた対処方針を決めてから、具体策へ落とし込むことです。

 例を挙げると、「ターゲット不適合」が主要因であれば、対処方針は「商談化しやすい企業や担当者を獲得できるようにする」となります。その上で、ICPの再定義、広告配信条件の変更、SEOテーマやホワイトペーパーの見直しなどを具体策として検討します。「価値認識不適合」であれば、「顧客が課題の重要性や導入効果を理解できるようにする」という方針を立てます。その具体策として、顧客課題と提案内容の見直し、ROIの可視化、導入事例の充実などを検討します。

 同様に、「タイミング不適合」であれば、予算策定や契約更新などの時期を把握し、適切なタイミングで再接触できるナーチャリング施策を考えます。「プロセス・運用不適合」であれば、初回接触までの時間、営業への引き継ぎ条件、フォロー方法、SFAの入力ルールなどを見直します。

 議論を進める際は、最初にマーケティング担当者から、「主要因は〇〇と整理しました。まずは、この要因を改善するために、どのような状態を目指すべきかを話し合いましょう」と声を掛けます。施策を考える前に目指す状態を共有することで、各部門から出る意見を同じ方向へそろえやすくなります。

 改善施策の議論では、「営業のフォローが足りない」「マーケティングが集めるリードの質が悪い」など、部門への責任追及に論点がずれることがあります。その場合は、「今は部門の責任ではなく、主要因を改善する方法を考えましょう」「その施策は、今回整理した要因をどのように解消しますか」と問いかけ、議論を要因軸へ戻します。

 また、参加者から多くの施策案が出た場合は、すべてを同時に実施しようとせず、主要因への効果、実行のしやすさ、成果を確認できるまでの期間などを基準に優先順位を決めます。たとえば、「価値認識不適合」に対して「Webサイト全体を刷新する」という案が出ても、すぐに実行するのが難しい場合があります。その場合は、まず失注理由を確認し、商談で使用する提案資料や導入事例を見直すなど、優先度が高く実行可能な施策から着手します。

 関係者間で意見が分かれた場合は、「どの施策が正しいか」を議論し続けるのではなく、一定期間試行し、結果を確認する方法も有効です。たとえば、ターゲット不適合への対策としてICPを見直した場合は、ICPに該当するリードや案件の割合を確認します。「価値認識不適合」への対策で提案資料を改善した場合は、顧客の反応や商談の停滞理由に変化があったかを確認します。

 最終的には、「どの要因を改善するのか」「どのような状態を目指すのか」「何を実施するのか」「誰が担当するのか」「いつまでに実施するのか」「何を見て効果を判断するのか」まで決めます。ここまで具体化することで、会議で合意しただけで終わらず、実際の改善活動へつなげることができます。

 商談化4象限フレームワークは、商談化しない原因を分析するだけのツールではありません。要因/対処方針/具体策という順に議論することで、営業、インサイドセールス、マーケティング、技術部門の認識をそろえ、部門横断で改善施策を決定するためのコミュニケーションツールとして活用できます。

具体例に学ぶ、商談化4象限フレームワークの実践活用

 ここでは、在庫管理システムを販売するIT企業で、製造業向けマーケティングを担当するAさんを例に、商談化4象限フレームワークの活用イメージを見てみましょう。

 Aさんの会社では、展示会やWebからの問い合わせ数は前年より増えていました。しかし、商談数や受注数はほとんど伸びておらず、営業部門からは「リードの質が悪いのではないか」という声が上がっていました。

 そこでAさんは、直近6ヵ月間の商談化しなかった案件を確認しました。営業の商談ログや失注理由、顧客とのやり取りを読み返したところ、「興味はあるが予算化は来年度になる」「まだ具体的な検討段階ではない」といったコメントが数多く見つかりました。一方で、企業規模や業種はターゲット条件に合致しているケースが大半でした。

 Aさんは、「ターゲットそのものは大きく間違っていない。ただし、検討タイミングが来ていない企業が多いのではないか」と考え、主要因を「タイミング不適合」、副要因を「価値認識不適合」とする仮説を立てました。

 次に営業、インサイドセールス、マーケティング責任者、製品担当者を集めて商談化4象限フレームワークを共有しました。会議の冒頭でAさんは、「誰の責任かを決める会議ではなく、なぜ商談化しないのかを整理する会議です」と説明し、まずは自分が作成した仮説を共有しました。

 すると営業からは、「たしかに予算待ちの企業は多い。ただし、提案した際に導入効果を十分説明できず、そのまま優先順位が下がっているケースもある」という意見が出ました。また製品担当者からは、「在庫精度向上や欠品削減の効果がうまく伝わっていないかもしれない」という指摘もありました。

 議論の結果、参加者全員が「主要因はタイミング不適合だが、価値認識不適合も影響している」という認識で一致しました。

 そこで改善施策として、短期的には導入効果を伝える事例コンテンツを作成し、営業資料も見直すことにしました。同時に、予算策定時期や契約更新時期を管理できるようにし、対象企業に対して継続的に情報提供を行うナーチャリング施策も強化することにしました。

 さらに、「マーケティングが事例コンテンツを作成する」「インサイドセールスが予算タイミングを記録する」「営業が提案時に導入効果を説明する」という役割分担まで決定し、翌月から実行に移しました。

 このように、商談化4象限フレームワークを活用すると、「リードの質が悪い」「営業のフォロー不足だ」といった感覚的な議論ではなく、「どの要因が大きいのか」「何を改善すべきか」を整理しながら、関係部署が共通認識を持って改善活動を進めやすくなります。

まとめ:関係部署の目線をそろえ、要因分析から施策改善までスムーズにつなげる

 商談化しない原因について議論すると、部門ごとに異なる意見が出やすくなります。具体例のAさんのように必ずしも議論がスムーズにいくとは限らず、原因が曖昧なまま議論が平行線になり、改善施策が決まらないケースも少なくありません。

 議論の中で商談化4象限フレームワークを適切に活用することで、商談化しない要因を「価値認識不適合」「ターゲット不適合」「タイミング不適合」「プロセス・運用不適合」の4つに客観的に整理でき、関係者が同じ視点で議論することが可能となります。

 また、営業、インサイドセールス、マーケティング、技術部門が共通のフレームで会話でき、感覚論ではなく要因ベースで改善策を検討できます。その結果、「何が問題なのか」「何を優先的に改善すべきか」の合意形成がしやすくなり、商談化率の向上につながる具体的なアクションへ落とし込みやすくなります

 ぜひ貴社でも商談化4象限フレームワークを活用し、商談化しない要因を社内で議論してみてください。

実際に実務で使える無料のテンプレート(Excel)をご用意しました。ぜひ以下からご活用ください。

4象限での要因分析と、要因ごとの対処方針を整理できる「商談化4象限フレームワーク」のダウンロードはこちらから

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この記事の著者

荻野 永策(オギノ エイサク)

 株式会社ALUHA代表取締役 BtoBマーケティングコンサルタント。2003年4月にALUHAを創業し、2008年からBtoBマーケティング支援を開始。IT企業や製造業の技術系商材のマーケ支援が得意。「バラバラな施策と部門をつなぎ、継続的に受注へ貢献するマーケ部門へ」をコンセプトに伴走支援を行う。ABMとLBMの...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/09/18 08:00 https://markezine.jp/article/detail/77471

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