博報堂とBrazeが推進する共同研究プロジェクト「カウテックプロジェクト」は、同一の生活者3,590名を対象に時期をずらして計3回、購買意識の変動を追跡した調査を実施。9月15日、その結果を公開した。
購買における企業の情報提供への評価
スマートフォンやPCを使用しているときに企業から届く案内やクーポン、広告について、「受け取りやすい方法で届くことが多い」と感じる人は45.5%だった。一方で、「自分向きのものが届くことが多い」は26.9%、「欲しいタイミングで届くことが多い」は21.5%にとどまる。
その時々で変化する購買時重視点
同一の生活者に時期をずらして3回の調査を実施し、購買時に重視する項目について「重視する/しない」の回答がどう変化するかを追跡した(調査対象の消費カテゴリーは、ファッション、外食・テイクアウト、食品・日用品の3つ)。たとえば、ある人が1回目の調査では服を買うときに「着心地の良さ」を重視すると答え、2回目では重視しないと答え、3回目では再び重視すると答える。同じ人・同じ項目でも、このような入れ替わりが起こる。今回の調査では、この入れ替わりが「どの項目で」「どれだけの人に」起きているかを測った。
1人の回答者は、各項目について次の3つのパターンに分類される。
3回すべてで「重視する」と答えた人、回によって「重視する/しない」が入れ替わった人、3回すべてで「重視しない」と答えた人である。このうち、3回すべてで「重視する」と答えた人の割合を「常時重視率」(3回の調査でいずれも重視した人÷回答対象者)、回によって入れ替わった人の割合を「重視点スイッチ率」(調査回によって重視有無がスイッチした人÷回答対象者)として定義し、次の分析に用いた。
まず、購入・利用先を各消費カテゴリーで1つの業態に限定している生活者に絞って確認した。利用する店舗が限定されれば、購買時の重視点も定まりやすいと考えられるため、ファッションを「ファストファッションのみ」、外食・テイクアウトを「ファストフードのみ」、食品・日用品を「スーパーのみ」で購入・利用している生活者に焦点を当てた。
1回目の調査で、ファストファッションのみ利用者が最も重視していたのは「コスパのよさ」「着心地の良さ」「丈夫さや長持ちする」の3項目だった。この3項目について3回を通じた評価を確認すると、常時重視率はそれぞれ55.1%、53.3%、50.7%であり、完全に定まっていないことがわかる。
さらに、これらの項目への評価がどれくらい揺らいでいるかを確認するために、重視点スイッチ率を算出した。その結果、「コスパのよさ」で31.1%、「着心地の良さ」で33.3%、「丈夫さや長持ちする」で35.1%の重視点スイッチ率となった。
なお、ファストフードのみ利用者、スーパーのみ利用者についても、購入・利用対象の商品カテゴリーが変わっても、購買時に重視する上位3項目の重視点スイッチ率が3~4割であることが確認された。この結果から、普段利用する業態が一つであっても、生活者が購入・利用時に重視することはその時々で変化することが示唆された。
カテゴリー別の購買時重視点の入れ替わりやすさの違い
次に、普段利用する業態に絞らず、各消費カテゴリーの利用者全体で、項目ごとに3回を通じた評価を集計した。その結果、重視点には大きく2つの異なる性質があることが明らかになった。
- 1つ目の性質:一貫して重視され続ける項目
1つ目の性質は、多くの生活者が一貫して重視し続ける項目である。常時重視率を計算すると、ファッションの「着心地の良さ」は67.0%、外食・テイクアウトの「料理の味がおいしい」は74.3%、食品・日用品の「コスパのよさ」は62.2%だった。いずれの消費カテゴリーでも、利用者の約6割から7割が常に重視し続ける項目がある。これらの項目では、訴求が届く可能性のある相手がほぼ固定されており、タイミングを問わず発信できるメッセージの土台として活用可能な項目だといえる。
- 2つ目の性質:タイミングによって変わる項目
2つ目は、重視するかどうかが回によって入れ替わる項目である。重視点スイッチ率が最も高かったのは外食・テイクアウトの「量や形状的にどこでも快適に食べられる」で45.9%だった。次いで、食品・日用品の「デザインや色・見た目の良さ」が43.0%、ファッションの「サイズ展開の豊富さ」が39.8%と続いた。いずれも4割前後が、3回の間に「重視する/しない」の評価を入れ替えていた。
これらは、誰からも重視されていない項目ではない。たとえば、食品・日用品で、「デザインや色・見た目の良さ」の常時重視率は26.0%だが、3回の調査のうち一度でも重視すると回答した生活者まで含めると69.0%にのぼる。つまり、タイミングを捉えて訴求すれば、内容が届く可能性のある相手の幅は2.7倍に拡大することが判明した。
重視点の入れ替わりの大きさと生活者属性の関係
次に1人の生活者の中で何項目の評価がスイッチしたかを確認した。3回の追跡調査を通じて、各生活者が「重視する/しない」の評価をスイッチした項目数を集計した。
その結果、平均では、ファッションで6.4項目、外食・テイクアウトで6.9項目、食品・日用品で6.5項目に関して重視するか否かの評価がスイッチしていた。これらは、1人の生活者が購買・利用時の心理状態の変化にともなって、約6~7項目の重視点を入れ替えていることを示している。
変化の分布を見ると、3カテゴリーすべてで「5~8項目スイッチした人」が最も多く、ファッション41.2%、外食・テイクアウト37.3%、食品・日用品41.0%を占めた。一方で、1項目もスイッチしなかった人は1割に満たず、9割以上の生活者で何らかの重視点がスイッチしていた。重視点のスイッチは、ごく一部の生活者に限定された現象ではなく、調査対象全体で見られる現象であることが確認された。
重視点のスイッチが、どのような生活者特性と関連しているかを確認するために、年代別に分析した。ファッションでは各年代平均で6.0~7.0項目、外食・テイクアウトでは6.7~7.1項目、食品・日用品では6.3~6.6項目の重視点が変動していたが、年代による大きな違いは見られなかった。
一方で、企業から届く情報をどの程度参考にしているかという別の軸で生活者を比較したところ、企業からの情報を「とても参考になる」と回答した人の平均スイッチ項目数は、ファッション4.7項目、外食・テイクアウト3.6項目、食品・日用品3.6項目となり、全体平均を下回る結果となった。
【調査概要】
調査手法:インターネット調査(同一対象者へ時期をずらして計3回実施)
調査地域:全国
対象者条件:15~69歳の男女
サンプルサイズ:3回目まで回答完了者 3,590名(性別×年代×エリアの人口構成比に準拠して回収)、各カテゴリー分析対象は普段利用者(ファッション:2,891、外食:3,027、食品・日用品:3,460)
※分析対象者は、同居家族モニター属性とアンケート回答(1~3回)が一致した人のみ
調査ボリューム:各回20問
調査時期:2026年3月6~17日
調査主体:博報堂・Braze
調査実施機関:インテージ
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