事例からみるCMS導入による投資対効果は?
費用対効果の前に、田島氏は、WebサイトのリニューアルとCMS導入の目的を区別する必要性を解説した。
リニューアルが行われる背景には、ブランドの向上、品質の底上げ、流入増加などが考えられる。CMS導入の目的はそれらとは異なり、課題にもある外注費の削減を実施することでどのくらい削減ができるのか、それによって発生する内製の作業はどのくらいかかるのかだ。つまり、定量的にCMS投資効果を測定していく必要があるのだ。
外注費を削減した事例として、同社がCMS導入を手がけた某大手企業のケースが紹介された。当初は、年間2,000万もの更新費用が外注に流れており、そのことを誰も把握していなかったという。そこで同社ではまず更新作業を分類した。
「毎月同じ更新」「内容は異なるが、テキストを差し替えるだけの簡易更新」「レイアウトの変更を含む複雑な更新」「デザイン、企画性の高い更新」の4つの分類をもとに、CMSを導入しない場合の今後5年間の想定運用外注費を算出すると、1億円以上にものぼった。
一方、CMSを導入した場合は、5年間で約2,500万円もの外注費を削除できると試算され、CMSの導入が決定された。その後いくつかのCMSを比較し、コストメリットの試算を行ったうえで選定が行われた。
このような投資対効果の計算は、ムダな外注費を発見し、コストの最適化が可能となるため、プロジェクト開始時に計算することが大切と田島氏は語る。
また、ある大手企業の事例では、運用フローの効率化、コンプライアンス上のリスク回避という視点からCMSの導入が検討された。
この場合、キャッシュアウトする部分だけの投資効果だけでは、CMSの導入メリットを明確化できない。このため、現在の運用がどう変わると効率がよいのかを定義し、必要な機能要件が明確化された。要件が明らかになれば、それらを満たすCMSの中から、費用が少ないものを選ぶというプロセスとなる。