ファンからブランドストーリーが伝わり、次のファンを生む
友澤:御社の企画は単なる商品キャンペーンで終わらず、必ず強いブランドエンゲージメントが築かれているのが印象的です。現在のブランド戦略について、お考えをうかがえますか?
足立:今、当社では「IMC(Integrated Marketing Communication)3.0」というコンセプトのもと、コミュニケーションでは、日常生活においてよく接触するソーシャルとスマートフォンを軸に、彼らの会話の中に入っていくことを重視しています。オウンドメディアとペイドメディアの時代を1.0とすると、アーンドメディアが加わったトリプルメディア戦略の時代は2.0。そこに、「IMC3.0」のもと、自社のさまざまなコミュニケーション資産を活用し、あらゆる生活者接点においてリアルで共感できるブランド体験を提供して、友人同士でシェアしてもらうことを意識しています。
順番としては、O(Owned)・E(Earned)・S(Shared)・P(Paid)の順に考えます。まずは自社メディア、われわれの場合はパッケージや自販機も含みますが、そこからブランド価値を発信していく。それがSNSなどで拡散し、さまざまなチャネルで実際に触れて、世の中に伝わっていく。最後に、コミュニケーションの規模感に合わせて広告メディアを検討します。
友澤:なるほど。各メディアの特徴をそれぞれ生かすだけでなく、流れで考えるのですね。
足立:そうですね。「ストーリーがどう拡散するか」が大事です。ストーリーが広がる過程で、ファンからブランド価値が発信され、ファンが増えていきます。そんな“Fan makes Fan”を起こしたい。われわれが一方的に発信する価値ではなく、ファンから伝わる価値こそ重要だと思っています。
ユーザー動向が統合できると深いインサイトが得られる
友澤:では、「IMC3.0」を進めるにあたって、今年注目しているキーワードや、当社に期待することなどうかがえますか?
足立:御社も発表されていましたが、プレミアムDSPやプライベートDMPなどのビッグデータ活用の重要性が、ますます高まると思っています。例えばYahoo! JAPANには、日本人のオンライン動向のデータが相当に蓄積されていると思いますが、そのデータが広告主やサービスサプライヤーなどの広告主にまで開放されると、できることがぐっと広がるのではないでしょうか。今、当社のポータルサイト「コカ・コーラ パーク」には会員が1280万人くらいいるので、外部データとID連携ができたりすると一気に可能性が開けそうです。
友澤:それは広がりがありそうですね。データ活用というと、日本人はプライバシーの面で過剰に反応する部分がありますが、あくまでユーザーの気持ちを重視したうえでのハッピーなつながり方を、僕らも探っていきたいと思います。
足立:現状のDMPでは、パソコンとスマートフォンのユーザーをばらばらで把握している部分がありますが、それを統合して理解するだけでも、より深くユーザーインサイトを把握できるでしょう。また、オンラインとオフラインを統合できるとさらにいいですね。この夏にはコカ・コーラ パークの大幅なリニューアルも予定しているので、データ関係の最新の技術を取り入れながら、会員に対するブランドエンゲージメントを高めていきたいですね。