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『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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「BtoB/BtoC MA活用企業特集」(AD)

BtoB・BtoC領域の違いは関係ない、必要なものは「KPIの連続性を理解し、全体を見通す視点」

 One to Oneマーケティングを実現するプラットフォーム「Salesforce Marketing Cloud」が日本市場に登場して1年強。セールスフォース・ドットコムは着実に導入企業を増やし、さらにBtoB向けのマーケティングオートメーション(MA)ツール「Salesforce Pardot」も今年に入ってから本格的に販売を強化した。BtoC・BtoBの両面で企業のマーケティングを支援する立場だからこそ見える、企業の現状と課題および、その解決方法を聞いた。

CRM領域No.1の実績をもって両領域のMAツールを展開

押久保:2014年6月に日本市場へ「Salesforce Marketing Cloud」(以下、Marketing Cloud)をローンチされてから、着々と導入事例が増えているそうですね。

加藤:おかげさまで、多くの企業に導入いただいている状況です。

押久保:この2年ほどで、日本にも複数のマーケティングオートメーション(以下、MA)ツールが登場しています。この状況におけるセールスフォースの強みは、すでにCRM領域での実績を持ち、日本でのビジネスを包括的に支援するソリューション群とサポート体制が形成されていることにあるかと思います。

加藤:そうですね。日本市場にすでに基盤があるという点で、安心して選んでいただいています。既存のSalesforce製品との連携がスムーズなことも大きいと思います。

株式会社セールスフォース・ドットコム マーケティング本部 Marketing Cloud マーケティングディレクター 加藤希尊(かとう みこと)氏(右)、同本部 プロダクトマーケティング シニアマネージャー 田崎純一郎(たさき じゅんいちろう)氏
株式会社セールスフォース・ドットコム マーケティング本部
Marketing Cloud マーケティングディレクター 加藤希尊(かとう みこと)氏(右)
同本部 プロダクトマーケティング シニアマネージャー 田崎純一郎(たさき じゅんいちろう)氏

押久保:今年にはいってから、BtoB向けのMAツール「Salesforce Pardot」(以下、Pardot)も販売体制を強化されています。この経緯についてうかがえますか?

田崎:Marketing Cloudの前身であるExactTargetもPardotも、元はそれぞれ同名のベンダー企業が販売していましたが、2012年にExactTargetがPardotを買収しました。その翌年に当社がExactTargetを買収し、ファミリーになりました。

 これにより、SFAやCRMとスムーズに連携し、且つBtoC・BtoBに関わらずMAをご活用いただくことが可能です。例えば百貨店など、一般と法人の両ビジネスを展開する企業では、Marketing CloudとPardotの両方を使われるケースもあります。

生活者と企業に意識のギャップ、BtoC領域が抱える課題

押久保:BtoC・BtoBそれぞれの領域で、MAツールが求められている背景や現状の課題を教えてください。

加藤:私は多くのBtoC企業への導入が進んでいるMarketing Cloudを担当していますが、BtoCではまず、デジタル化やスマート化が進んでいることは自明ですね。生活者は今やいつでもどこでも情報やコンテンツを得られ、また発信しています。

 一方で企業の側を見ると、そのような変化にまだ追いつけていない。つまり両者の間に乖離があります。今、生活者が価値を感じているのは、企業からの単なる情報提供ではなく「自分に合った情報を欲しいときに届けてくれる」ことです。それに応えるには、MAツールのような新しい技術を使って、多様化するチャネルを踏まえた上でOne to Oneの関係を築く必要があるのです。

押久保:では、どのようなステップでOne to Oneの関係を築けばいいのでしょうか。

加藤:属性や行動情報、思考情報などを元に、それぞれの顧客や潜在顧客がどういった人物なのか、シングルカスタマービューをつくることが第一のチャレンジになります。そのために、POS、Webやメール、LINE経由など、チャネルごとに分断化した行動データを統合して、各顧客へ紐づけていきます。

 各顧客の姿や志向が把握できたら、次はどうコミュニケーションを図ればいいか、カスタマージャーニーを設計します。最後に、その人がどこにいても必要な情報を適切なタイミングで受け取れるように、マルチチャネルへ対応します。

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面で獲りにいくBtoB、如何にアプローチすべきか

押久保:一方、BtoBの場合、BtoCよりはチャネルも絞られているかと思いますが、いかがでしょうか?

田崎:その意味では、今も企業のWebサイトとメールの2つがチャネルとして圧倒的ですね。ただし、初期段階ではFacebookページやTwitterも便利に使われ始めています。Webサイトとメールの重要性は変わらないでしょうが、BtoBでも企業は確実に新しいチャネルを広げています。

押久保:今、BtoBにはどのような課題がありますか?

田崎:環境の変化や顧客像の捉え方についてはBtoCと同じです。ただBtoB領域は最終的には1対1というより1対n、個人ではなく組織に対する販売活動になります。購買までの意思決定に複数の担当者が関わるからです。

 そこには、いわゆるデジタルネイティブの若手から、かつてはFAXと手帳で仕事をしていたような最終決裁者までが含まれます。この戦線拡大に対してどうマーケティングをしていくかが、大きな課題です。

押久保:カスタマージャーニーの設計も複数が相手になり、さらにリテラシーや志向性に幅があると。

田崎:そうですね。ある程度までは個人を対象としたジャーニーになりますが、案件の成約までには“面”で組織を押さえる活動が必要です。BtoBのMAツールは、現在はSFAを使う営業へボールを渡すことがゴールとなっており、営業担当が人的に対応する部分も多く残っています。しかし、今後はテクノロジーの発展によって、必ずMAとSFAは統合されるでしょう。

BtoC・BtoB、相互にノウハウを取り入れるには

押久保:BtoCとBtoB両方のソリューションをカバーされていると、相互に活かせるノウハウがあるのではと思いますが、いかがでしょうか?

加藤:「MAツールが何を自動化するのか」を整理すると、分かりやすくなると思います。どちらも、MAツールがカスタマージャーニーを促進するのは同じですが、図式化するならBtoCは円、BtoBはファネル、つまり漏斗型です。

 BtoCでのジャーニーは、新規から購買、関係を強化してリピート化へという継続的な形になります。この各段階で発生するインタラクションを効率化し、量的にも質的にもバランスを取っていくことが、MAツールの担うものです。一方でBtoBのカスタマージャーニーは、成約をゴールとするセールスファネルで表せます

押久保:なるほど。BtoCの円形のジャーニーのうち、新規リード獲得から販売までを抜き出すようなイメージですね。

加藤:はい。ここでのMAツールは、各段階でターゲットを正しくスコアリングし、ホットリードをいかに多く次へつなげるかを自動化しています。

田崎:商材の特性を考えると、BtoCは購買アクションが流行や広告の影響を受けやすく、検討期間も比較的短い。BtoBはその逆で、”ノリ”では買えないものが多い。顧客と丁寧に距離を縮めることが成果につながるので、スコアリングが効果的なんです。そのためBtoCでも、関係構築を見据えて「今月の距離感」。裏返せば「今月の興味度合い」といった形でスコアリングの概念を活かせると思います。住宅や車などの高額商品なら、すぐに応用できるでしょう。

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共通点は「KPIの連続性を理解し、全体を見通す視点」

押久保:どちらの領域でも、これからMAツールを導入する企業も多いかと思います。導入の前提となる条件や、ここをクリアにしておかないと成果を上げにくいといった点はありますか?

加藤:カスタマージャーニーが変わっていることを認識し、最新のジャーニーをつかむことがまず必要です。冒頭でお話しした生活者の変化にも関連しますが、昔と違って今はほとんどの商材の購買にオンラインの口コミが関与しますし、それも含めて生活者は購買前に大量な情報を自ら集めることもできます。また、例えばタクシー配車サービスの「UBER」のように、既存のサービス利用体験をまったく新しくする仕組みも登場しています。つまり、状況は刻々と変わっているのです。

 いくらマーケティングの自動化を考えても、従前のカスタマージャーニーを前提としていたら、成果は上がりません。自分たちの業界で、購買までの顧客の行動や判断基準が今どうなっているのか、顧客視点で把握することが大事だと思います。

田崎:加えて、BtoBにもBtoCにも言えることですが、カスタマージャーニーの各段階が分断化され、担当者がそれぞれのKPIしか追えていないのは改善したほうがいいですね。テクノロジーが発展すると、個々の仕事が圧倒的に効率化され、おのずと一人あたりの守備範囲が広がります。すると、KPIの連動性をみて、全体をつなげて考えることが求められます。そういう考え方を学ぶことが重要ですし、教育も必要ではないでしょうか。

真に顧客起点で発想することこそ、MA導入の鍵

押久保:顧客視点でカスタマージャーニーを捉え直すと、おのずと各段階の連続性を考える大切さにも気付きそうです。

 加藤:そうですね。MAツール導入にあたって、顧客視点を重視することは大きなメッセージであり、またチャレンジでもあります。大量生産・大量消費の高度経済成長期の時代からこれまで、お客様のことを考えているといいながらも、本当に顧客視点の発想にはなりきれていなかった企業が多かった。そこから脱却することがカスタマージャーニー発想であり、個々の顧客に合わせた体験を提供するOne to Oneマーケティングの実現にもつながります。

押久保:最後に、MarkeZine読者のマーケターへメッセージをいただけますか。

加藤:デジタルマーケティングの可能性は、今後もますます広がっていきます。私自身も当社製品のマーケターとして、いちばん有効ではないかと思うのは、生活者や顧客としての視点を反映させることですね。CRM領域での実績と一気通貫でのソリューション提供ができる当社の強みを活かして、さらに企業へ貢献していきたいと思います。

押久保:MAを利用する企業視点で御社の強みを考えると、これまで培ってきたCRMやプラットフォームのノウハウを持っている点もありますね。

田崎:そうですね。当社はノウハウ・人員・体制など全てが揃っています。ソリューションに関しても、BtoBとBtoCの両軸が確立されており、すでに多くの企業に導入されているCRMやプラットフォームを有しています。ですから、お客様のビジネス目標やビジョンに応じて最適な形を提案できます。製品に関しても、毎年3回のアップグレードが行われるなどスピード感をもって進化しています。これらの強みを生かして今後も、お客様に価値をご提供していければと思いますね。

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この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長

立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア部門 メディア編集部...

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高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2015/11/30 10:22 https://markezine.jp/article/detail/23229