8月、VAIOの吉田秀俊新社長の就任会見が開催された。2014年にソニーから独立したVAIOは当初こそ厳しい状況に置かれたが、見事にV字回復を遂げた。その後を引き継ぐ吉田氏は、会見で「VAIOのブランド価値を意識した経営をしていく」と強調。立ち上げ期を経て、次に臨むのはフェーズ2となる成長期。メディア戦略はWebCMでターゲットに着実にアプローチしながら、一般向けの認知も図り、女性層も意識していく。柔和な口調で語られたのは、極めて明晰で透徹した展望だった。
※本記事は、2017年11月25日刊行の定期誌『MarkeZine』23号に掲載したものです。
法人向けPCとEMS事業でV字回復

VAIO株式会社 代表取締役社長 吉田 秀俊(よしだ・ひでとし)氏
1980年上智大学外国語学部を卒業後、日本ビクター(現・JVCケンウッド)入社。2008年に同社取締役社長に就任。2011年オプトレックス(現・京セラディスプレイ)副社長、2012年エルナー社長を経て、2017年6月よりVAIOに入社し、現職に就任。
――吉田社長は長く日本ビクター(現・JVCケンウッド)に勤められ、代表を経てさらに電子部品を手掛ける2社の企業の経営に手腕を振るわれました。エレクトロニクスの領域からVAIOに参画された経緯と、その理由をまずうかがえますか?
30年にわたって、エレクトロニクス領域の現場から経営までを経験し、世の中がデジタルへ移行する流れも肌で感じてきました。前職を3月に退任し、今後を考えている折に、VAIO株式会社からお声かけいただきました。これからVAIOはフェーズ2に入りたい、3年5年単位の長丁場を面倒見られる人に頼みたい、と。私は海外営業の経験も長いので、VAIOが中国市場への再参入や現地での調達の強化を進めたい段階にあることも、合致したようでした。
大田さん(前社長)からすると「ちょうど吉田さんの手が空いているな」といったところだったかもしれませんが(笑)、とても光栄に思いましたね。元々ITに強い関心があり、自作PCもかなりの数に上るんです。日本のエレクトロニクス事業が厳しい中、ようやく黒字回復したVAIOをぐっと成長させるのは大変な事業だとは思いましたが、実現できれば経営者冥利に尽きることです。ぜひ、やりましょうとお引き受けしました。
――VAIO株式会社が誕生してからしばらくは、赤字状態であることがメディアでも取りざたされたと思います。
そうでしたね。一般向けのPCはそのニーズがスマートフォンやタブレットに流れ、市場環境が決して明るくない中、法人に絞ることを掲げて独立したVAIOは、確かに1年目は大きな赤字を抱えました。
それを打開するため、2年目は引き続き法人向け事業に注力しながら、新たに当社の小型高密度設計技術をもって、主にロボット関連でEMS(電子機器の受託生産)事業を開始しました。法人事業が軌道に乗る一方で、その仕込みも3年目で花開いたという形ですね。実際、2年連続で営業黒字を達成しており、売上高も100億円未満が200億円規模へと2倍になっています。
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高島 知子(タカシマ トモコ)
フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。
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