交通広告の効果測定も可能に
AIBeaconは、交通広告やOOHメディアの効果測定にも活用できるという。とある飲料メーカーでは、各種グルメフェスにたびたび協賛し、そのたびに交通広告を展開していたが、出稿場所が適切なのかどうかを計測できていなかった。そこでイベント会場にAIBeaconを設置し、来場者のGPS情報から大凡の勤務地等を類推分析し、交通広告との相関関係(交通広告を見てイベントに来たのか)を調べられる状態にした。
「特に都心部に店舗を構えるクライアント様からは、来店者の勤務地分布を知りたいという要望をよくいただきます。周辺で勤務されている方だとわかれば、リピーターになっていただくための効果的な施策を打てるためです」(稲森氏)
また交通広告だけでなく、Web広告のリアルへの貢献度も測定可能だという。
「デジタル上ではデータ統合が進み、一人のユーザーがどのチャネルに訪れても同一IDとして認識できるようになってきました。ただ、リアルも含めた統合はまだまだ進んでいないのが現状です。
たとえばあるメーカーでは、リアルとWebでカスタマージャーニーが分断されていることに課題を感じていました。そこでAIBeacon、Webそれぞれで取得したユーザーデータをアドインテDMPに蓄積し、ユーザーの集合と特徴が類似する広告配信IDの集合を構築しています。そうすると、WEBでも、リアルのチャネルでも1つのIDとしてトラッキングできるようになるので、Web広告に触れたユーザーがどれだけ店舗やイベントに訪れているのかも計測することができるのです」(稲森氏)
なぜユーザーの詳細な属性情報がわかるのか
では、なぜAIBeaconは居住地や勤務地など、ユーザーの詳細な属性情報がわかるのか。Wi-Fiから取得できるデータはあくまで匿名の接触履歴だけなので個人情報は一切取得できず、また、個人識別データとの紐付けもできない 。
その理由はアドインテが編み出したデータ分析手法にあるようだ。
「みなさんが疑問に感じたとおり、Wi-Fi情報だけでは正確なユーザー属性はわかりません。GPSで許可をしているユーザーの行動履歴とWi-Fi情報を分析することで、来店頻度が高いお店や、おおまかな勤務地や職業までを推定しているのです。具体的には、Wi-Fiの取得データとスポットの共起関係をスコア化し、この点数を積み上げた人はこのような属性を持つ、というような分析を行っています。たとえば基本は同じ場所に留まり、日中にスーパーに行くことが多いユーザーは主婦、大学に行き来しているなら学生の可能性が高い、というような分析方法です」(稲森氏)