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『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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定期誌『MarkeZine』特集

「マーケティングは経営そのもの」これからの時代を生き抜くために必要なマーケターの素養

 定期誌『MarkeZine』1月号の企画「2020年のマーケティング戦略」に、「マーケティングとは経営そのもの。2020年は“マーケティング経営”を浸透させたい」とメッセージを寄せたラクスルの田部正樹氏。2014年、当時20人程度だったラクスルに参画し、テレビCMに大幅な投資をして同社を爆発的に成長させた立役者だ。「自社がどうなれば“勝ち”なのか、それを見出すことはマーケターにとって欠かせない視点」と語る田部氏に、自身のキャリアと経営視点を備えたマーケターになるための条件を聞いた。

※本記事は、2020年3月25日刊行の定期誌『MarkeZine』51号に掲載したものです。

自分のマーケティングに再現性があるのか

ラクスル株式会社 取締役CMO/アドプラ事業本部長 田部正樹(たべ・まさき)氏
1980年生まれ。大学卒業後、丸井グループに入社。主に広報・宣伝活動などに従事。2007年テイクアンドギヴ・ニーズ入社。営業企画、事業戦略、マーケティングを担当し、事業戦略室長、マーケティング部長などを歴任。2014年8月にラクスルに入社。マーケティング部長を経て、2016年10月から現職に就任。2018年より、約50億円かけてラクスルの売上を約25倍に成長させてきたマーケティング経営のノウハウを詰め込んだ新規事業を立ち上げ、事業責任者を兼任している。

――1月号ではご協力いただきありがとうございました。MarkeZineでは以前から「マーケティングを経営ごとに」と掲げているので、田部さんのおっしゃるような「マーケティングとは経営そのもの」というメッセージを広げていきたいと同時に、その真意を特に若手の方に対してぜひ解説いただきたいと考え、改めて取材の依頼を申し上げました。まず、これまでのキャリアについてうかがえますか?

 2004年に新卒で丸井グループに、2007年にハウスウェディング事業を展開するテイクアンドギヴ・ニーズ(以下、T&G社)に入社し、現在のラクスルには2014年に参画しました。僕自身が印刷サービスの「ラクスル」をテレビCMに投下して大きく伸ばした経験から、2018年にはテレビCMの制作・放映・分析までを一気通貫で支援する事業を立ち上げて、こちらも軌道に乗っています。

 元々、大学時代に自分で商売をしていて、マーケティングというより経営そのものに興味がありました。これまでのキャリアを振り返ると、それぞれの場で学びがあったと思います。丸井での3年半は、広報や宣伝に携わりながら店頭にも立っていたので、顧客と向き合うことの重要性を学べました。

 ただ、丸井ではマーケティングの4Pでいうとプロモーションを主に担当する“プロモーター”だったのに対して、T&G社では4P全般に関わり、ベンチャーで機能も分かれていなかったので営業戦略や事業戦略にも携わって、とにかく企業価値を上げることが求められていました。この経験から「もしPLが改善しないなら、そのマーケティング施策はやらないほうがいい」といった考え方を持つようになっていきました。

――T&G社では事業戦略室長、マーケティング戦略部長を歴任されています。なぜラクスルに転職を?

 T&G社は経営的にかなり厳しい時期もあったのですが、前述の考え方でPLを改善することができ、企業としてはV字回復を遂げることができました。そこで、自分のマーケティングが再現性のあるものなのか、もう一度ベンチャーに入ってトライしてみたいと考えたんです。また、これまでtoC領域でマーケティングをしてきましたが、BtoBのほうがロジカルに企業価値向上の道筋を立てていけると思ったことも理由のひとつです。

科学的なアプローチで“勝ち筋”を見出した

――田部さんが参画されて以降、ネット印刷の「ラクスル」はテレビCMに大きく投資をして認知を広げ、売上も大幅に伸長しているそうですね。多額の投資判断を実現した経緯を教えていただけますか?

 2014年当時の状況は、売上は一桁億円、ターゲット層への認知率は10%未満でした。大きな打ち手はWebマーケティングのみで、このままでは頭打ちというタイミングでした。それが今、2019年7月期で売上は171億円、2018年の東証マザーズ上場を経ても成長が加速している状況です。

 僕がマーケティング責任者としてまず行ったのは、会社全体で「顧客は誰なのか」を見極めたことです。すると法人によるチラシのネット印刷の収益性が最も高かったので、ここにフォーカスしようと決めました。具体的には「働く人のネット印刷」というタグラインを設定しました。

 その頃はまだスタートアップのテレビCMは珍しく、toCのGunosyやメルカリくらいで、僕らのようなBtoBのスタートアップのテレビCMが当たるのか、自信はありましたが事例がないだけに踏み込む怖さはありました。ただ、課題が認知にあることは明らかでした。ネットビジネスは検索流入量が成否を大きく左右しますが、僕らの場合は「ネット印刷」というカテゴリー自体が新しく、先行企業の社名のほうがカテゴリー名より4倍も検索されていたんです。そうすると、いくらカテゴリー内でシェアをとっても勝てない。社名の純粋想起を増やして「ラクスル=ネット印刷」という構図を作り、「ラクスル」の検索が先行企業の社名検索を上回らないといけなかった。

 そのための認知効率が最も高いのが、テレビCMだったわけです。最終的に関東・関西圏で当てないとインパクトがないとも思っていました。

 とはいえ前述のように事例もなくノウハウもないので、まず出稿料が100万円単位でも充分に効果を出せる地方で試したんです。WebマーケティングのABテストと同じように複数パターンを出稿して分析し、反応が良いものを中規模都市に出稿しました。そこで当たって初めて「これが勝ち筋だ」と見えたので、関東・関西に自信を持って出稿することができたのです。テレビCMの効果を可視化し、小さく当てて大きくするという基本的なことをしただけだと思っています。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/02/26 17:46 https://markezine.jp/article/detail/33036

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