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MarkeZine Day 2025 Retail

定期誌『MarkeZine』特集

D2Cの本質はブランドのすべてで顧客と積極的に向き合うこと

D2Cはマスマーケットで通用するか?

――このところ、大手企業発のD2Cブランドが登場しています。丁寧なコミュニケーションやフットワークの軽さが求められるD2Cを、大手企業で実践するポイントを教えてください。

 大手企業の人こそ、お客様の顔を見る機会を作っていくと良いと思います。私たちは、D2Cプロデュースの一環として、お客様インタビューの場を設計していますが、大手企業の方ほど、インタビューのあとに生き生きしている印象がありますね。おそらく、大きな組織ほどお客様とダイレクトに繋がる機会が少ないのだと思います。ならば、あえて大企業の中に独立した出島のようなチームを作り、D2Cの役割を担うこともできるのではないでしょうか。このD2Cチームは、商品開発もマーケティングも独自に行い、主体的にお客様と関われる環境に置く。その結果、D2Cブランドの事業ができるし、そこで得たノウハウを社内へ共有していけば、企業の成長にもなるのではないかと思います。現在のカスタマーサポートやカスタマーサクセスに近い印象もありますが、一方向で受け身的なコミュニケーションではなく、主体的にお客様を成功に導き、繋がっていく姿勢がポイントです。

――立ち上げ当初はマスをターゲットとしないD2Cブランドでも、ビジネスのスケールに、顧客層を見直すケースも出てくると思います。このジレンマがある中で、D2Cは今後どうなっていくと考えていますか。

 売り上げが10億円を超えてくると、チームの人数も増え、お客様含めて社内外とのコミュニケーションには、一層の気遣いと工夫が求められるでしょう。また、販売チャネルも拡大路線を考えると、ブランドらしさを1人1人に届けるハードルは高くなります。1つの考え方としては、100億円のブランドを1つ作るのではなく、10億円のブランドを10個作ること。マスブランドと同じ土俵へ行くと、ブランドの濃度が薄まる懸念はありますし、あえてそこへ行かない選択もできます。培ったノウハウを横展開して、D2Cブランドを複数運営し、会社全体を成長させていくのです。

 しかしながら、スターバックスやディスニーは、規模が大きいにもかかわらず、ブランドは薄まっていません。そして、これらのブランドはお客様と繋がることに対して積極的ですよね。スターバックスは、プリペイドカードやアプリもいち早く導入しましたし、大きい企業でありながら、D2Cのマインドセットを持ち続けています。そう考えると、規模を拡大しても世界観が薄まることは防げるし、マスマーケットで通用するD2Cも出てくるのではないかと思います。

 ビジネスをスケールする策の1つとして考えると、D2Cにとって店舗は重要です。D2Cは店舗の位置づけも変えました。これまでは、「とにかく面を押さえて接客スタッフが販売に徹する」がセオリーでしたが、D2Cでは関わる人すべてがお客様と繋がり、理解をする濃い店舗の運営が求められます。商品とともに、ブランドのメッセージも伝え、さらにスタッフの振る舞い方にも、ブランドらしさが必要。さらにD2Cは、店舗を出す前にお客様の声を聞けるので、出店場所や店舗で販売する商品などを調査して、出店計画が立てられることが強みです。出店前から、ブランドのファンコミュニティがあることは、これまでと大きく違う点ですね。D2Cブランドの運営には、お客様と直接繋がること、そしてビジネスを人任せにしないで、自分たちでやることが大切。新規顧客主義をやめて、ブランド、お客様との関係性と、あらゆるものを育てていく意識が必要です。

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この記事の著者

マチコマキ(マチコマキ)

広告営業&WEBディレクター出身のビジネスライター。専門は、BtoBプロダクトの導入事例や、広告、デジタルマーケティング。オウンドメディア編集長業務、コンテンツマーケティング支援やUXライティングなど、文章にまつわる仕事に幅広く関わる。ポートフォリオはこちらをご参考ください。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/02/25 07:30 https://markezine.jp/article/detail/35518

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