より大きな成長を目指し、戦略から再設計
MarkeZine編集部(以下、MZ):まず、お三方のつながりをうかがえますか? 田部さんが、「bloomee」のコンサルティングとして西口さんを紹介されたそうですね。
田部:はい。もともと昨年から、当社の運用型テレビCMの仕組み・ノバセルを通して、bloomeeの地方局でのCM運用をお手伝いしていました。徐々に勝ち筋は見えてきていたのですが、我々はあくまでCMという戦略実行の手段=HOWを提供しているので、さらに大きく成長するにはもっと上流の戦略部分のサポートが必要では、と戸口さんと話をしたんです。そこで、西口さんにコンサルティングを依頼することになりました。ちょうど1年前くらいですね。
MZ:戸口さんと西口さんは、当時と現時点の所感など、どのようにお感じですか?
戸口:西口さんに入っていただいた昨年は、コロナ禍の影響で在宅時間が増えているタイミングで、価値観が変わりつつある方々にbloomeeの価値を感じていただけるのではないかと考えていました。そこで関西、関東とCMを出稿し、想定以上の手応えを得ているのが現状です。
西口:田部さんのご紹介でbloomeeを知ったのですが、まず、世の中に望まれるビジネスだと直感しました。生花は幅広い方に幸せや豊かさを提供しますが、生ものであるだけに、流通の非効率性がとても大きい。その点、デジタルチャネルを使って直接ご家庭やオフィスに、しかもポストに届けるビジネスは、伸びないはずはないと思いました。
なので、課題は「認知されていないこと」だけだと。そこから1年で、ある程度の伸長を実現できました。
西口さんとまず取り組んだこと
MZ:西口さん、田部さん、そして戸口さんは世代がおよそ一回りずつ違うとうかがっています。マーケターとしての経験・キャリアの積み方もそれぞれ異なるのかもしれません。戸口さんはいわゆるデジタルネイティブ世代で、前職でもRettyなどのデジタルサービスに携われていましたよね。その視点で西口さんと組まれて、気付いた点などは?
戸口:ディスカッションするたびに気付かされることばかりですが、初期のころで大きかったのは「いかに顧客の解像度が低かったか」ということでした。以前から、たとえばユーザーのご自宅を訪問させていただくなど、リアルな生活環境やサービスがどう受け入れられているかを知ろうと努めてきたのですが、全然足りていなかったな、と。
その点は、今もまだまだだと思っています。どのような方々にどのような価値を提供するか明確にしてゆく難しさを、日々実感しています。
西口:花はどんな人に対しても、和ませたり安心感を与えてくれたりするものです。ただ、だからといってオールターゲットでは、正しい投資判断ができません。どういう状況のどんな人が、まず強く望んでくださっているのか。たとえばロイヤル顧客と離脱した顧客にインタビューし、心理の差に注目したりして、顧客の解像度を高めていきました
加えて「何を価値として提供するのか」という部分も、1年の間に掘り下げてきました。街の花屋さんでは、希望通りの花束や豪華なアレンジメントを頼めたりしますよね。bloomeeはその点は難しいですが、買いに行ったり宅急便を受け取ったりできなくてもポストに届くという大きな利点があります。これによって、花のある生活を楽しめる人の幅が広がり、結果として花の市場を広げる一助にもなると考えました。
田部:充実ぶりが伝わってきます。私は先日久しぶりに戸口さんに会ったのですが、1年前とはまったく違う言葉で会話をされていたので、驚きました。