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ユーザーが求める「美容・健康のための食」と「地球の健康」は地続き。ミツカン「ZENB」が考える未来

 「ミツカン未来ビジョン宣言」に基づいてパーパスベースで生まれたブランド「ZENB」。美味しさと健康、地球への優しさの実現を目指し、プラントベースフードを提供している。Amazonで売上開始1年目に顧客満足度や売上などの観点で最も活躍した事業者に贈られる「Day One賞」を受賞するなど高い支持を集める。一方で、当初想定していた顧客層との違いも見えてきた。企業が目指すものと顧客が求めるもののギャップと、その対応とは?

「ミツカン未来ビジョン宣言」のもと誕生した「ZENB」

──まずは長岡様の職歴や現職でのご担当について伺えますか?

 ミツカンでマーケティング領域に長く携わり、現在は2019年に誕生したブランド「ZENB」の商品企画やブランドマネジメントなどを担当しています。ZENBは立ち上げ前からマーケティングマネージャーを務め、一時期はPRなども担当していました。

株式会社Mizkan Holdings N.Project マーケティングチーム 兼 株式会社ZENB JAPAN ZENB事業 マネージャー 長岡雅彦氏
株式会社Mizkan Holdings N.Project マーケティングチーム 兼 株式会社ZENB JAPAN ZENB事業 マネージャー 長岡雅彦氏

──ZENBは2018年に発表された「ミツカン未来ビジョン宣言」に基づいて作られたブランドですが、改めてミツカン未来ビジョン宣言の内容と、その中でZENBがどういった立ち位置にいるのかを教えてください。

 ミツカン未来ビジョン宣言は、10年後20年後の未来の食生活へ貢献するため、ミツカンは今何ができるのかを考えて発表したものです。大きく2つのことを掲げています。

 1つは「おいしさと健康の一致」。おいしいけれど体へ負担がかかる食べ物がある一方で、体には良いけれどおいしくないものが世の中には存在します。私たちは、素材そのものの良さを活かしながら、おいしさと健康が一致したものを提供したいと考えています。

 もう1つは「人と社会と地球の健康」です。人の健康だけではなく、地球自体の健康に食生活を通して貢献できるものの提供を目指しています。

 ZENBは、このミツカン未来ビジョン宣言の議論を進めながら生み出したブランドです。豆や野菜の丸ごと食体験を提案し、素材の皮や芯などまで可能な限り余すことなくぜんぶ使うことで、おいしさと栄養を引き出しているほか、地球にもやさしいブランドを目指しています。

顧客の意識は美容・健康が中心

──ここまでの話を伺って、ZENBはフードロスなど食や環境の問題に関心が高いユーザーの購入が多そうだと感じたのですが、いかがでしょうか。

 確かに元々は私たちとしても環境意識が高い方や、プラントベースの食事をしている方に届けることを考えていましたが、実際そのような方たちのニーズはそこまで顕在化していない状況にあります。現在は美容やダイエット、健康維持など機能的なニーズがメインですね。

 具体的な主なユーザー層でいうと、40代や50代の女性で、体の変化を感じ始め、グルテンフリーや糖質制限など健康に投資することに前向きな方々が多いです。たとえばZENB NOODLEは、豆100%でできているグルテンフリーの商品で、豆も薄皮まで丸ごと使っています。また、調味料に関してもプラントベースだったり、添加物をできるだけ使わないようにしたりしているので、塩分や糖質をなるべく抑えたいという方々のニーズに応えられていると思います。

ユーザーのニーズに合わせ「罪なきラーメン」など、「罪なき○○」といったワードを使用することも
ユーザーのニーズに合わせ「罪なきラーメン」など、「罪なき○○」といったワードを使用することも

──御社で展開している他ブランドを利用する方々とニーズの違いはありますか?

 お酢やつゆなど多くの家庭にとって「あって当たり前でストックが切れたら買うもの」と、「自分の体のために少し高くても意識的に選ぶもの」では違いを感じます。グルテンフリーや糖質制限といった強いニーズを持ってらっしゃるので、ミツカンの他ブランドに比べるとZENBはもっと限られた方々に提案しています。

──「少し高くても良いものを」という考えは、自身の健康だけではなく、地球を含めて良くしていこうというミツカン未来ビジョン宣言につながるものがあると感じます。

 そうですね。ZENBを通して、まだ顕在化していない環境に対する意識をユーザーと共に高めていくことを目指しています。

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/04/07 14:56 https://markezine.jp/article/detail/41288

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