最大のメリットは真の“横”比較ができること
──エーザイでは博報堂DYMPと協力の上、Metaアドバンスド・アナリティクスを活用したキャンペーン分析を行ったそうですね。分析の概要を教えていただけますか?
飯田(博報堂DYMP):「テレビCMとInstagramのリーチ重複率分析」と「テレビCMとデジタル広告のブランドスコア横比較」の二つを実施しました。
テレビCMとInstagramのリーチ重複率を分析すると、その結果次第でメディア戦略の方向性を定めることができます。たとえば「両メディアの重なり減らして、より広く多くの人にリーチする」という戦略も立てられますし、「あえて重複させてユーザーに商品理解を深めてもらい、購買に近づける」という戦略も立てられます。
テレビCMとデジタル広告のブランドスコア横比較には、博報堂DYグループのテレビ・デジタル横断分析ソリューションである「Tele-Digi AaaS」を用い、「テレビCMのみ当たったユーザー」「Metaのプロダクトのみ当たったユーザー」そして「両方に当たったユーザー」のそれぞれで、ブランドの認知率が高まったか、購買する気持ちが高まったかを態度変容ベースで分析しました。
飯田(博報堂DYMP):ブランドスコアの横比較でMetaアドバンスド・アナリティクスを活用する最大のメリットは、同じパネルデータを参照できる点にあります。これまではメディアごとに態度変容データを集めていたため、メディアを同一の指標で評価できていたかと言われると、疑問の余地がありました。その点、Metaアドバンスド・アナリティクスなら同じ条件で各メディアの情報接触効果を評価することができます。
Instagramのみ接触したユーザーは購買意向スコアが高い
──分析の結果、どのような示唆が得られましたか?
飯田(博報堂DYMP):リーチ重複率分析の結果、テレビCMとInstagramの重複率は想定よりも低かったです。テレビCMとデジタル広告のブランドスコア横比較では、態度変容の項目によって結果が異なりました。認知の指標においては、テレビCM単体よりもInstagramと重複させたほうが高いスコアを示した一方、購買意向スコアはInstagram単体でアプローチしたほうが高かったのです。
佐藤(エーザイ):認知スコアに関してはテレビ×デジタルの重複効果を狙って施策を打っていたため、狙い通りの効果が得られました。一方の購買意向スコアは期待通りの結果とはなりませんでしたが、重複していた場合の結果が極端に悪かったわけではありませんので、目的に応じて重複させる/させないを決める配信設計が今後は必要だと思っています。
佐藤(エーザイ):加えて、SNSを中心とする生活者接点の多いメディアでは、数多くのクリエイティブを作ってコミュニケーションの幅を広げたほうが、購買意向スコアをさらに高められるという示唆も得られました。ここに関してはまだやりきれていないと感じているため、試行錯誤しながら今後進めていきたいと考えています。