アプリマーケで高い効果を期待できるCTV広告の活用事例
佐々(Adjust):CTVの価値を証明すべく、皆さんは様々な検証を実施していると伺っています。野村さんから紹介していただけますか。
野村(フジテレビジョン):当社が出資している古地図アプリ「大江戸今昔めぐり」のインストール数をKPIとし、CTV広告を活用することで数値にどれくらい変化があるかを確認しました。
その結果、どのCM素材で比較してもスマートデバイスよりCTVのほうがインストール数が多いことが明らかに。他の検証でも、たとえクリック数は他デバイスのほうが多かったとしても、インストール数はCTVのほうが多い結果が出ており、パフォーマンスの高さが実証されています。アプリマーケティングではインストール数をKPIとすることのほうが多いので、アプリマーケターの方であればCTV広告の価値がわかると思います。
また、性別・年齢別でセグメントを分けたほうが、CPI(Cost Per Install)を低く抑えられるという結果も出ています。一方、興味関心層で細かく分けた際は、効率の良いものもありましたが、効率の悪いものも見られました。このことから、マーケティングを行う上でセグメントを細かく分けすぎるのではなく、性別と年齢程度で分けることが効果的である可能性が高いと考えられるでしょう。
さらにオーガニックでアプリを入手したユーザーと、TVer経由で入手したユーザーでは、後者のほうがリテンション(継続利用率)が高いことも明らかになっています。おそらくサービスの内容をよく理解した上でインストールしているためだと考えられます。
これまでにない広告体験の創出 新たな広告フォーマットも続々登場
綾瀬(ABEMA):当社の事例も紹介します。「ABEMA」では、スポーツ中継などを中心にCTVに注力している流れの中で、より効果的な広告体験を作り出す取り組みを進めています。その一環として、昨年からスプリットスクリーン型の広告「ABEMA Live Screen Ad」をリリースし、実績が出てきている状況です。試合をライブ視聴している中で注目を集めやすいため、広告認知率も高く、ブランド認知を含めて非常に良好なスコアが出ています。
また、大画面という特性を考慮した、スポーツ中継中の広告としての最適なレイアウト・体験について検討をしていました。その中で、NTTデータ様に協力いただきながら、画面内でユーザーのアテンションがどこに集まりやすいかを分析した結果、「ABEMA Live Screen Ad」の広告エリアに関しては、左側および上側にあるほうがより集めやすいとわかりました。この結果を受けて、今シーズンのメジャーリーグベースボール中継などにおいては、新しい広告レイアウトで販売・掲載を行っています。
そして、コンテンツと連動したクリエイティブを展開することで、視聴者により自然な形で興味を持ってもらえるようにするなど、新しい広告フォーマットの創出にも取り組んでいます。
佐々(Adjust):CTV広告は、視聴者が気になったときに動画を一時停止できる特徴があるため、海外では一時停止したときに表示される特別な広告フォーマットもあります。
このように新しい広告フォーマットが次々と登場していることは、非常に興味深いことだと思います。
モバイルアプリトレンド2024:日本版
AdjustとSensor Towerが共同調査した本レポートでは、日本市場でのアプリパフォーマンスに関する戦略的なインサイトをお届けします。ゲーム、ファイナンス、Eコマース、コネクテッドTV、PC、コンソールなどのチャネルのデータ分析から、アプリの成長機会を探ります。