TVer、YouTube、テレビCMの比較から見る、CTV広告の価値
野村(フジテレビジョン):フジテレビは、TVerのセールスも行っているため、TVerの広告価値がどれほど高いかを検証すべく、TVerとYouTube、そしてテレビCMを様々な面で比較してみました。
注目すべき点は、TVerのコンバージョン獲得効率が3年間で大きく向上していることです。これはCTV市場の拡大とほぼ連動しており、CTVの成長がコンバージョン獲得効率を高めている可能性があります。最新の月ではCTVの広告配信数は4割を超えており、2024年はさらに伸びる可能性があります。
ちなみにテレビCMのコンバージョン率は低く見えますが、これはテレビCMの予算規模が圧倒的に大きいため、獲得量自体が多くなっていることに起因しています。
佐々(Adjust):十分な予算があり、とにかく獲得数を増やしたいということであれば、テレビCMの出稿一択となるかもしれませんが、商材やターゲット層などによってはTVerなどCTVを活用するほうが効率が良いケースもあるだろうと感じます。
野村(フジテレビジョン):広告の残存効果に関しては、テレビCMが圧倒的です。そしてTVerが続いています。大画面のインパクトが非常に大きいことが影響していると考えられます。
また、TVerのコンテンツはテレビのコンテンツであることから、TVerにはテレビに近い信頼性があることも無視できないポイントだと思います。
CTV広告ではアシスト効果に注目
佐々(Adjust):まとめとして、CTV広告を活用する際に注目していただきたいポイントとして、アシスト効果を紹介します。
当社をはじめ、モバイルアプリの計測ツールを扱うベンダーは、基本的にコンバージョンに最も近いラスト接触を以て「コンバージョンへの貢献」と見なしますが、実はその前にも多くのユーザーがCTV広告に触れています。そのため、CTV広告のキャンペーンパフォーマンス全体に与える影響を可視化し、「コンバージョンをいかにアシストしているか」を見る必要があるのです。
Adjustのアシスト管理画面のレポートでは、CTV広告に限らず「どれだけアシストしているのか」を可視化します。たとえば、アシストあり/なし別のインストール数の推移や、チャネルごとのインストール割合などがわかります。つまり、各マーケティングチャネルが互いに与えている影響の全体像を把握することが可能です。このレポートを参考に、総合的に分析することで、CTV広告の真の価値を評価することができるでしょう。
佐々(Adjust):そもそも純粋にインストール数で見ると、アトリビューションが付きにくいという特性がCTV広告にはあります。そのため、アシスト効果と、インストール後のユーザーの質を評価することが重要です。後者に関しては、他のデジタル広告よりもCTV広告のほうがインストール後30日間の継続率が高い傾向にあることがEコマースのお客様の事例で明らかになっており、この傾向は多くのCTV広告で見られています。
まだ日本では事例の数や種類が限られています。皆さんもぜひCTVに挑戦し、事例を共有いただければと思います。
改めまして綾瀬さん、野村さん、大野さん、本日は貴重なお話をありがとうございました。
モバイルアプリトレンド2024:日本版
AdjustとSensor Towerが共同調査した本レポートでは、日本市場でのアプリパフォーマンスに関する戦略的なインサイトをお届けします。ゲーム、ファイナンス、Eコマース、コネクテッドTV、PC、コンソールなどのチャネルのデータ分析から、アプリの成長機会を探ります。