CTV広告の効果を正確に測る4つのポイント
エアトリとフジテレビの取り組みから、CTV広告の高い効果が明らかになった。しかし、CTVの広告効果を測定する際、その特性ゆえの注意点があるという。
Adjustの佐々氏は「計測のシステム上、正確に紐づけできるものを優先する傾向があります。こういった計測上の仕様を認識した上で、結果を見ていただきたいです」と指摘する。その上で、CTV広告の効果を正確に測定するためのポイントとして、次の4つを挙げた。
【1】インストール数だけではなく、流入元ごとの継続率やLTVに着目せよ
Adjustのソリューション上ではオンライン/オフラインを問わず、様々な広告のデータをまとめて比較し、流入元ごとに効果の良し悪しを判断可能。単純なインストール数の比較では見えない、ユーザーの質をはじめとする真の広告効果を明らかにできる。
【2】地上波テレビCMとCTV広告の並行分析を行うべし
Adjustはビデオリサーチと連携しているため、オーガニックやCTV広告、その他のキャンペーンとの比較分析の実施が可能だ。メディアミックスで比較分析を行うことで、各媒体の特性や価値を見定められる。また、CTV広告の結果から地上波テレビCMの効果シミュレーションも行えるため、大規模な地上波テレビCMに出稿する際の検討材料にできる。
【3】QRコードを活用せよ
QRコードにより、広告の接触とインストールがデータとして確実に結びつく。そのため、より確定的なデータに基づいた流入数とユーザーの質の分析が可能になる。特にテレビ画面での視聴時は、手元のスマートフォンでQRコードを読み取る行動が自然に発生しやすい。
【4】アシスト力の評価を含む総合的な分析を行うべし
アシスト分析はCTV広告だけでなく、他のデジタル広告、オウンドメディア、QRコードなど、すべての施策において有効。「コホート分析による“ユーザーの質”」「アシスト分析による間接インストール」など、量と質を組み合わせた観点から総合的に分析することが大切。
進化するCTV広告、マス広告との連携にも期待
最後に、CTV広告の今後に関して三者は次のように語った。
「適切な分析を行うためには、やはりデータに基づいた分析が必要不可欠だと感じています。おもしろい結果が様々出ているので、今後も勉強しながら新たなチャレンジをしたいです」(泉氏)
「CTV広告で得られた知見を、マス広告と連動させることに可能性を感じています。たとえば、地上波テレビCMでは困難なA/Bテストも、CTV広告であれば比較的簡単に取り組めます。CTVでの検証結果を基に素材を決めて、そこにガツンと予算を充てるやり方も流行っていくのではないでしょうか」(野村氏)
「日本市場におけるCTVは、欧米と比較すると発展途上の段階にあります。米国では、QRコードの活用が進んでいる一方で、アドフラウド(広告詐欺)などの問題も発生しています。しかし、日本の場合は質の高い民放系OTTサービスが充実しており、信頼性の高い環境が整備されています。CTV広告の活用は広がりつつありますが、今後、施策の成功・失敗事例が活発に共有されることで、可能性がより明らかになるでしょう。私たちは計測・分析ツールの提供を通じて、効果的な活用を支援していきたいです」(佐々氏)