リソースが少なくても、クリエイティブを効率的に多様化できるフレームワーク
MarkeZine編集部:リール広告で成果を出すためにはクリエイティブが最重要であることは理解できました。とはいえ、リソースの問題でクリエイティブ制作にハードルを感じる企業は多そうです。
伊東:そうですよね。そこでMetaでは、リールのクリエイティブを効率的に多様化できる「23 to 300」フレームを提案しています。これは、動画の構成を【冒頭】【中盤】【終盤】の3つのパートに分け、冒頭10本、中盤10本、終盤3本のクリエイティブを制作。それら23個のパーツを組み合わせると、合計300本のクリエイティブが制作できるという考え方です。また、パーツを分けることでそれぞれのパートでの効果分析も容易になります。
Metaの検証では、多様なクリエイティブを配信することで、広告効果は32%向上するという結果があります。いきなりバラエティ豊かなクリエイティブをたくさん作ろうと思うと「大変そう」と身構えてしまいますが、「23 to 300」フレームを活用すると、ハードルが下がる気がしませんか?
山田:加えて、リールはパートごとに明確な役割が設定されています。たとえば、冒頭パートではアテンションを最大限に高めることを目指しますし、続く中盤パートはユーザーの商品理解の深化を試みて、最後は実際に行動を起こしてもらうようアクションを促しますよね。「23 to 300」フレームを用いると、こうした各パートの役割設定が自ずとクリアになるので、クリエイティブに対する解像度が高まるのです。
これは、制作時だけでなく、効果検証や競合分析の際も有用です。競合のクリエイティブを【冒頭】【中盤】【終盤】に分解して分析し、各パートでどのような表現手法が採用されているかを体系的に把握するとよいですよ。
一番大切なのは、すぐに諦めず検証期間を乗り越えること。
MarkeZine編集部:「静止画広告に加えて、縦型動画広告もスタートしてみよう」と考えた読者にアドバイスをいただけますか。
伊東:縦型動画で成果を出すためにもう1つ重要なポイントは、手応えが感じられないからと言ってすぐに諦めないことです。実は、縦型動画を数本のみ配信してみて数週間程度で効果判断を行い、施策を中止してしまう広告主様も少なくありません。ですが、これは非常にもったいないことだと思います。
上原:それは重要なポイントですね。縦型動画では潜在層にもリーチするため、成果が出始めるまでに時間がかかりますが、検証期間を越えると、大きく成果が伸びていく傾向があります。2~3ヵ月は腰を据えて取り組む姿勢が大切だと思います。
伊東:最後に、「静止画・動画 vs 縦型動画という視点で一概に成果を見ない」というアドバイスもしたいと思います。冒頭でご説明したとおり、多様なフォーマットを活用することでアプローチできるユーザーを広げられると捉えていただくとよいでしょう。既に静止画広告に取り組まれている場合、別で縦型動画の深掘りを行い、検証に取り組むことで、プラスアルファのリーチ・獲得効果を生み出すことができるというわけです。
新規施策にともなう不確実性への懸念はあると思いますが、確実にブレイクスルーポイントが存在することを認識した上で、まずは効果検証に必要な期間を確保し、挑戦していただきたいです。